iOSとOS X、WPとWindows 8...モバイルとデスクトップの融合が加速する中、グーグルでもアンディ・ルービンがAndroidの長を退き、Chrome&Apps部門スンダル・ピチャイ上級副社長が両部門トップに就任するという大きな動きがありました...が、このChromeとAndroidは他とは少し毛色が違うようです。
アップルは何年も前からiOSとOS Xを徐々に融合する方向で動いてきており、今ではリマインダーもメモもiMessagesもシームレスに移行できるようになってます。
マイクロソフトはWindows 8でさらに一歩踏み込んで、デスクトップをモバイルに近づけるべく全く新しいUIを導入しました。
どちらのアプローチともおおむね狙い通りの成果は収めており、Windows 8はタブレットもノート&タブレのハイブリッドもWindows Phone 8スマホもWindows 8搭載のパソコンと使うと最高ですし、iOS端末(iPhone、iPad)もOS X搭載のパソコンと使うのが一番です。
では、Androidはどうか? Chromeの傘下に入ったらどうなるのか? リマインダーもシンクも全部Chromeブラウザでネイティブで動くようになったら?
...と考えてくると面白いことに気づくはずです。
つまりグーグルはChromeをベースに統合化することで今アップルやマイクロソフトが自社独自OSの境界の中で懸命に進めているのと同レベルの環境をAndroidにも叶えてやることができる、ただし違うのはAndroidの場合、Chromeを搭載したどんなパソコンも母艦になっちゃうんですよ。
Androidスマホやタブレはどんなデスクトップに差し込んでもChromeさえあればその中で、iPhoneをMacBookに差し込んでるのと同じようなアットホームな環境が楽しめるのです。Chromeと1本化すればAndroidは何で使ってもOK。これは結構大きな違いだと思うんですね。
Androidはデスクトップとの連携が今ひとつ...ぶっちゃけ「ない」に等しいので、少なくとも今よりはずっと改善になりそう。
今はファイルの同期とるのも一苦労で、同期アプリも一昔前という感じだし、せっかくDriveとかPlay Musicとか立派なクラウドソリューションがあっても使うアプリがシームレスに作業できるアプリという感じじゃないですもんね。スマホに移動するのでもクラウドに移動するのでもサードパーティーのハック使ってるような感じで。ChromeとAndroid併用してできることと言っても、せいぜいウェブページ保存してブックマークつけるぐらいのことしかできませんものね。
短期的メリット
Chromeと融合すれば短期的メリットもあります。グーグルはあれだけ手広くサービス展開してるのに各パーツの連携がうまくいっているとは言い難いですよね。長年アプリは検索アプリだけでした。AndroidのGmailアプリは最高でも、例えばBlackBerry 10のメッセージ・通知・フィード・カレンダイベント等を一元化したHubみたいなディープな統合化機能からは閉ざされたままです。
あり余るほどのユーザー情報を抱えていながら、それを消化し、各ユーザーの求める情報をカードとして表示し始めたのも、本当にGoogle Nowが出てからですしね。今みたいにGoogle Driveの写真をGoogle に移動できないとかいうのじゃ困るので、モバイルとデスクトップの連携を密にするにはまずこういったサービス間の壁を崩すところから始めなきゃいけませんから、そういう副次的メリットもある気がしますね。
Google Nowと言えばChrome、iOS、Windows 8にも対応することが先ごろ、最新のChromeベータビルドで明らかになりました。あれもただの偶然じゃないと思います。マイクロソフトはデスクトップとタブレットを融合させる落とし所を模索中ですが、ChromeをAndroidと連携させればグーグルにもマイクロソフトを凌ぐSurface風ハイブリッド端末実現の運気が回ってくるやもしれません。そういうポールポジションに駒を進めることも夢じゃない。
Pixelは欠点山だらけ(値段が高すぎ)ですが、ハードだけ見たらゴージャスのひと言に尽きる製品です。縦に長いのでタブレット両用でもいけそうだし、あのまま画面をタップ&スワイプするだけで使えるようなのが出るんじゃないでしょうかねぇ...。他のノート&タブレ兼用のハイブリット端末と違ってPixelは解像度もタブレットで十分いけます。またAndroid版アプリから改造したBB10アプリとか見て思ったんですが、グーグルもAndroidアプリのエクスポート用キットは最近いいの作ってますからね。
Chrome OSなどのデスクトップOS側が享受するメリットは限られてるかもしれませんが、モバイルと連携が進めば今より多くのお客様を引き寄せる材料にはなりますよね。
大局的影響
グーグルはやっぱり検索・Gmailのようなサービスの方がAndroidより人気が高いので、それを全部ひとつの屋根の下にまとめれば、グーグル利用者にとってAndroidはもっと使って楽しいものになる、というメリットがまず考えられます。が、もっと重要なのはAndroidというブランドイメージの改善でしょうか。
Androidはまだ使ったことない人にとっては「複雑過ぎて使いづらい」イメージがあります。生みの親のグーグルからして「Android Market」を「Google Play」にしちゃったり、Androidブランドを嫌ってる節があって子殺しとか書かれてしまってるわけですが、それも「Androidもってんの? だったらChromeに差し込めばなんでもできるよ」という展開に持ち込めれば親しみやすさも増して、イメージ払拭できるんじゃないでしょうかねー。
もちろん一朝一夕に変わることではありません。途中何度も機能追加になるでしょうしね。最初はとりあえずこのAndroid端末に入ってくる通知のゴチャゴチャをChromeの通知ハブで一元管理できるようにしてくれたら最高ですけどね...
いずれにせよ、Androidの未来にChromeあり、Chromeの未来にAndroidあり。これはGoogleにとっても、みんなにとっても良いニュースです。今回のトップ交代でそれが明確になったとの印象を強くしました。
Kyle Wagner(原文/satomi)