Inkling=わくわくガジェットだった!
編集部がInklingのレビューをしようとしていたので、お願いお願い、ねぇお願いと頼んで、私が使わせてもらうことになりました。だって使ってみたかったんだもん...。
なぜギズライターの私がこんなにInklingを使ってみたかったか。それは、デザイナー業も別でやっているからです。
大学時代や卒業後はプリントデザインが多かったため、常にスケッチブックを持ち歩いていました。プレゼンやミーティングではスケッチブックを見ながら話をすることも。なんせ大学2年生の時はまだZipディスクを使っていた世代ですから、紙が身近な世代。
しかしウェブデザインへと移行する中、だんだんとスケッチブックを持ち歩くことも減りました。とは言っても、今でも、特にロゴなんかを作る時の初めの初めの初めの段階は、やはり紙にスケッチするところからです。スケッチブックの時もあれば、それこそ、その辺の用紙裏の時もあります。初めからパソコンだと、小綺麗にまとまりすぎたり、なんだかカタイ感じ、又は大雑把になる気がします。
ロゴですらこうならば、イラストを描く人はそりゃもうスケッチは重要でしょう。
Inklingはそのスケッチの行程にとっても役立つガジェットなんです。触ってみると「これだ!」と言えるガジェットとしての大きな魅力が2つわかったので、紹介します。
Inklingってなーに?
「Inkling」とは、すごく簡単に1言で言うとデジタルペン。デジタルペンで描き、レシーバーとなるクリップでそのデータを読み取る、それがInkling。絵でも文字でもなんでも簡単にパソコンに取り込むことが出来るのです。どんな紙にも描くことができます、ささーっとね。
...ほほぅ。ここまで聞いて、私がすぐ思った疑問が2つ。紙に描いてスキャンするのと違うの? ペンタブみたいなの? ...違います!
スキャンとは違うのです。Inklingは描いたものをそのままベクターファイルとして書き出すことができます。ペンタブとも違うのです。イラストを描く人にとって、ペンタブは完成まで使える筆となるツール。一方Inklingは、ラフ絵に最適な鉛筆のようなツールです。
例えば、イラストを紙に描いてスキャンし、それをパソコン上でなぞりベクター化するという3行程の作業も、Inklingなら1行程で済むのです。紙に描いているものが、そのまま取り込まれベクター化されるわけですもん。
そもそも、Inklingはペンとレシーバーとなるクリップだけで、絵を描くためのタブレット端末は不必要。紙でいいのです、それこそチラシの裏でもいいのです。
Inklingの大きな魅力を2つ、紹介します。
魅力1:ガジェガジェしさと懐かしい物の同居
腕時計や眼鏡にガジェット好きが興味を惹かれるのはなぜか。それはガジェガジェしさがあるからです。
ガジェガジェしいとは、ガジェットとして「あーんいかにもガジェットぉ」という物としての魅力があるということ。未来夢見る力とか、物としての持ち味とか、あれこれいじれるカスタマイズの楽しさとか、トランスフォームする興奮とか、そういうガジェガジェしさです。あと、物としてのスマートさもあるといいよね。
Inklingにはね、それがあるの。
見て下さい、この小さな箱にギッシリあれこれつまっている様子を。きちんと収まっているその様を。
ガジェットなのに、筆記用具の原点も忘れないという気持ちが伺えます。まるで懐かしの多機能筆箱のようです。デジタルペンのわくわくの根本は、多機能筆箱でしたか!
そしてサイドにペンを収納できるという演出。まるでスケッチブックのスパイラル部分にペンをさしている気分。
ペン自体もグリップがしっかりしていて握りやすい。そもそも、ペンとクリップという絵を描く時になにも違和感のないツールでデジタル化しているのが好印象。今までとこれからがスムーズに融合している。だからこそ、ストレスなく使えるというもんです。
モノとしてのドキドキ、それが魅力1です。
魅力2:簡単便利、その上実用的
ペンで紙に描くのは、昔むかーしからあるやり方。もう身に付いた簡単行為。これにガジェットが入り込んできて複雑になるならば「今まで通り紙でいいわ。スキャンすりゃいいわ」となりがち。つまり、いかにスムーズにガジェットが生活に入ってくるか、ここに一般受けするかのガジェットのハードルがあります。
そして、実用的かどうか。生活を便利にしてくれる物か、豊かにしてくれる物であるか。これが良いガジェットとなる使命です。
例え炊飯器で絵が描けますというガジェットがあり、いかにユニークで技術的に優れていても、生活が便利にならなければガジェットとしての使命は全うできません。
これで言うとInklinkは、簡単、そして実用的。使用ステップとともにみていきましょう。
クリップしてボタン押して描くだけ!
専用のInklingレシーバーを紙にとめます。レシーバーはクリップになっているので、らくちん。デフォルトでは紙の上側にとめる設定です。これはあとから変更可能。
レシーバーのロゴ左にある電源ボタンを押します。ライトが赤から緑に変わったらお絵描き開始!
これだけ! なんと簡単。作業工程減らすための道具ですもの。こうでなくっちゃ。ギズの架空の新ロゴを作ろうとしていたはずが、紆余曲折を経て、ギズモードのマスコットキャラクターを描くことになりました。もちろん架空の、ですが。クリエイティビティに任せてやっちゃうこんなとこも物作りの楽しさ!
専用のInklingデジタルペンで描いていきます。デジタルペンと言っても、ペン先は普通のボールペン。何も違いがあるわけでなく、紙につらつらと描きます。デジタルペンの握り心地も良し、違和感なしです。筆圧を1024段階で記録できるので、指に力がはいりますな。マンガばかり描いていた中学生のころ、よく目だけノートに落書きしてました。懐かしい。
近いちかい、目が近い。よく母親に怒られたなぁ。懐かしい。
描いている最中にレイヤーを分けて記録することができます。新規レイヤーにしたい時は、レシーバーのロゴ右にあるボタンを押すだけ。今回はいくつか描いたので、キャラクター毎にそれぞれ別レイヤーにしました。
できた! マスコットを4種類デザインしてみました。ちなみに、左の「ギズ子さん」の目は、二重と眉毛とみせかけたWiFiマークです。
描き終わったらパソコンに取り込みます。これもらくちん。
専用ソフトからイラレ・フォトショに書き出せる
レシーバーを付属のUSB接続ケーブルでパソコンに繋ぎます。専用ソフト「Inkling Sketch Managerソフト」も、このレシーバーの中に入っているので、まずはソフトをダウンロード&インストール。Inkling Sketch Managerソフトを立ち上げると、レシーバーの中に入っているデータを見ることができます。
描いたものがしっかり読み込まれて堂々とした立ち姿のギズ美もいますね。表示の色分けでレイヤー分けされているのがわかります。
レシーバーからの取り込みはレイヤーごとでも、ファイル丸ごとでも取り込むことができます。ファイル丸ごと取り込んでも、Illustratorで書き出す場合はレイヤー分けされたデータになっているので便利。
データを保存すると拡張子が「.wac」のファイルができます。この拡張子ファイルは、次回から専用ソフトInkling Sketch Managerソフトで開けます。また、データ保存時にPhotoshop(JPGやPNG等)やIllustrator(ベクターファイル化)に書き出すことも可能。これが何より嬉しい機能!
出来上がり! ベクター化されIllustratorで開いたファイルと手描きラフ絵を並べてみました。できたぞー! ギズモードの「G」を象ったギズ子もアンカーポイント満載で、描いたまんまにベクターファイルになっています。ここからいくらでも編集できます。使い勝手が楽ちん、そして実用的で作業効率があがる。それが魅力2です。
これがあればなぁ...要望!
使ってみたから、惹かれたからこそ思う「あとコレがコウなら完璧だな」という気持ち。Inklinkにも幾つか感じたのでリクエストとして最後にあげておきます。
・ペン先のボールペンを鉛筆や自分のお気に入りのペン等、好きなものに変えて使えたらなぁ。
・データがうまく読み込めていない時は、レシーバーが点滅する等、警告機能があればなぁ。
ペンを握る際、ペン先のあまりに近くを握るとデータが読み取れていないことがあります。読み取れたかどうかは、描き終わって最後にパソコンに取り込まないとわかりません。
描きながら読み取る=描き終わってからのデータ化不可ということなので、読み取れていなかったと知った時のショックはかなり大きいです。
・これは自分メモですが、使い方のヒント。ラフ絵としてベタ塗りしたい箇所に斜線を描くのではなく、軽い印をつけとくだけにした方がいいです。ベクターデータ化したあと、斜線を消すのが面倒くさかった。
今月から一部量販店で取り扱い開始です
Inklingをすでにご存知の方、使ってる方もたくさんいらっしゃるでしょう。それもそのはずで、Inlking数年前からある商品なのです。
が、今までWacomオンラインストアのみの取り扱いだったのが、今月から一部の量販店でも取り扱われることになりました。今回は、そのタイミングでレポートしてみました。より多くの人の目に触れるチャンスですから。
お値段1万7980円(ワコムストア価格)。そのガジェットとしての魅力をどうぞお楽しみください。
[Inkling]
(そうこ)