iPhoneの裏にもあるこれ、何なんでしょ?
iPhoneをはじめ、ほとんどすべてのガジェットの裏側には、丸っこい小さなマークがごちゃごちゃっと寄せ集まって記されています。これ実は、輸出入されるガジェットにはほぼ不可欠で、すごく大事なものなんです。それぞれどんな意味か、以下に説明していきます!
ULはUnderwriters Laboratories、つまり米国保険業者安全試験所の略称です。同所は独立・非営利の「安全科学企業」で、米国・カナダ・メキシコで販売されるさまざまな製品について、所定の状態や米国の安全基準を満たしているかをテスト・分析・監査しています。デジカメでもエレキギターでもヘッドフォンでもOLEDディスプレイでも、北米で販売されるほとんどの製品について、ULがテストしています。このマークは、保険会社がある製品について通常の条件で使用した際の信頼性を示すためにも使われています。CSA Internationalも、独立のテスト・認証機関で、消費者向け・産業向け製品の両方を対象としています。配管部品でも空調システムでも電化製品でも、米国またはカナダの市場で販売されるものを扱っています。CSAのスタンプによって、製品が所定の基準を満たしていることが証明できます。モバイルコンピューティングが爆発的に伸びている今、無線の周波数はどんどん混雑してきています。なので、最新の無線ガジェットでも他のガジェットと干渉しないように、FCC(米国連邦通信委員会)がルールを決めています。そして、無線を使う全商用電気デバイス(マイクロプロセッサのあるものはすべて)に関してチェックし、認証を行なっています。米国で製造または販売されるガジェットは、FCC Rules and RegulationsのTitle 47、Part 15、Subpart Bに従う必要があります。その規制対象は、以下のようにふたつのクラスに分かれています。
クラスAに含まれるのは、特に住居地域外で使うために設計され、干渉がさほど問題にならない全産業用・法人用デバイスである。クラスBに含まれるのは、家庭用に販売されるものすべてである。パソコン、タブレット、携帯電話、プリンター、ステレオ、ホームシアターなどである。
EUの地域内で製造・販売・輸入される製品は、CE(Conformite Europeenneの略)マークが必要です。製品にこのマークが付いていれば、EU経済圏での販売に必要な基準をすべて満たしていることになります。ULマークと違って、CEマークは製品のクオリティを表すものではありませんが、これがあることでEU加盟国向けの輸出がすごくやりやすくなります。ひとつの基準に合格すれば、基本的には27ある加盟国すべての要求水準を満たすことができるので、メーカーが輸出先それぞれの国から個別に証明を貰う必要はなくなるのです。CEマーク付与に必要なテストは第三者企業がすることになっていて、CEマークの横の4ケタの数字(すごく小さい字、初めて気づきました!)が実際に証明した会社を表しています。
このマークは、公式にはCEのR&TTE指令の「注意記号」として知られています。iPhoneにも付いているんですが、実はこのマークが付いていると、EU加盟国のどこかで無線の規制に抵触していることを意味するんです。iPhoneの場合は、フランスの「全無線デバイスは、屋外で使う際に2.4GHzから2.454 GHzで通信すること」とい規制に反しています。そのためiPhoneは「クラス II」のデバイスとされていて、このマークが付いているんです。この「調和周波数帯(harmonized frequency bands)」の範囲内で通信するデバイスは「クラス I」と分類されるため、この注意記号は付いていません。
もうひとつCE関連では、デバイスの捨て方にも規制があります。WEEE(Waste Electric & Electronic Equipment)指令によるこの記号がデバイスに付いていたら、それはEUが設定した廃棄物に関する基準を満たすことを示します。そしてその場合、デバイスは任意の場所に捨てるのではなく、指定された回収施設でリサイクルされなくてはいけません。
CEのマークは、基本的にはヨーロッパで販売される製品に関してすべてカバーするのですが、一部の国(たとえばドイツ)では追加のテストと証明が必要です。そのドイツが発行する独自の認証マークがこのTUV Rheinland GSマークです。これが製品に付いていれば、それはTUV Rheinland(前述のULのヨーロッパ版みたいなもの)などの独立機関によりテストされ、ドイツの厳しい安全基準を満たしていることを示します。
China Compulsory Certificate (CCC、中国強制認証)は、中国にかつてあったふたつの安全認証システムが合わさったものです。ひとつはCCIBで、ベーシックなコンシューマー向け製品の安全性のためのもの、もうひとつはCCEEで、電気製品に適用されていました。現在は、中国で製造・販売・輸入されるほとんどすべてのコンシューマー向け製品にはこのCCCマークが必要です。いくつかの非電化製品、たとえば自動車のタイヤや農業用の道具などだけが例外です。[BKSV、Wikipedia 1、2 、CSA、UL、FCC、Intertek、CC Lab、WEEE]
Andrew Tarantola(原文/miho)