CIA長官のクビが飛び、アフガン駐留米軍トップの司令官に飛び火し、不倫暴いたFBI捜査官までもが通報した女性に上半身裸の写真送って捜査を外されるなど、斜め上をゆく展開を見せているCIA長官不倫スキャンダル。
ジョン・ル・カレのスパイ小説からヴィンス・フリンの右派スリラー、そしてコーエン兄弟の笑劇へと迷走を続ける事件の全容をゴーカー社内イラストレーターのジム・クック(Jim Cooke)がチャートにまとめてくれましたよ。
これを見ればスッキリ(たぶん)。
*チャートはクリックで拡大します。
主な登場人物
デヴィッド・ペトレイアス(David Petraeus):中央情報局(C.I.A.)長官。元陸軍大将。不倫の責任をとって金曜午後辞任。ポーラ・ブロードウェル(Paula Broadwell):ウェストポイント陸軍士官学校出、ハーバード大で博士号取得。ペトレイアス将軍の伝記本執筆のため2010年アフガニスタンに同行取材した。不倫が始まったのは2011年4月に氏がCIA長官に任命されて以降とされる。長時間共に過ごす二人の関係はずっと噂になっていたが、FBIの捜査が入ったのはブロードウェル女史が長官周辺の女性に匿名の嫌がらせメールを送ってから。
ジル・ケリー(Jill Kelley):ペトレイアス長官がアフガニスタン転任まで駐留したフロリダ州タンパでボランティアで働いていた軍連絡役・宴会プランナー。既婚。長官に馴れ馴れしくするなと非難するメール(Daily Beastによると、「自分なに様のつもり? ...基地界隈いそいそ歩いて... 少しは身の程わきまえろ...」と威嚇するような内容だった。あるメールでは「テーブルの下で長官に触るな」と書いていた) がくるようになり、薄気味悪く思って、知り合いのFBI捜査官に相談する。
ともだちのFBI捜査官(an FBI agent friend):未だに氏名不詳。 ケリーさんから相談を受け、サイバー犯罪捜査部隊に報告。送信者の身元を突き止める捜査の過程でブロードウェルさんと長官の不倫の証拠を掴む。本来なら大手柄になるはずだが、捜査に「のめり込み」過ぎた勢いでケリーさんにシャツを脱いだ写真を送り、それが上司にばれ捜査から外されてしまう。渾身の上半身写真も他の男性とのメールのやり取りで忙しいケリーさんに無視される。*
ジョン・アレン将軍(General John Allen):ケリーさんのメル友。ペトレイアス将軍の後釜としてアフガニスタン駐留米軍司令官に就いた人物。「何万ページ」(国防省発表)にものぼるメールをケリーさんと交わしていた。「相手の気をひく」程度のマイルドな内容で、不倫が成立したようにはとても見えないため、オバマは留任の方向。念のため機密漏洩がないか国防省監察官はアレン将軍の周辺も洗っている。
わき役
ナタリー・カワム(Natalie Khawam):ケリーさんそっくりの双子の姉妹。親権争いのときペトレイアス将軍が応援の手紙を書いたが、「精神的に不安定」(ニューヨークポスト)なため親権は勝ち取れなかった。デイビッド・ライヘルト(Dave Reichert):ワシントン選出の共和党国会議員。裸のFBI捜査官はオバマ政権に不倫が途中で揉み消されることを恐れ、彼とカンター院内総務に情報をリークした。エリック・カンター(Eric Cantor):下院院内総務。裸のFBI捜査官とライヘルト議員からリークを受け、10月31日ロバート・S・ミュラー 3 世FBI長官に電話をかけた。「どうなっとるんだ!」などと詰問したものと思われ。チャック・クロスターマン(Chuck Klosterman):このチャートでひとり浮いてる人。ニューヨーク・タイムズ人生相談欄担当。7月に「妻がやんごとない人物と浮気してます。どうすればいいですか」とチャックに相談したのは「もしやブロードウェル女史の夫ではないか!!!」とネットで8時間ぐらい噂となり渦中の人となる(13日Grantlandに長文記事を書いて否定)。いやあ...すさまじい‥このチャック・クロスターマンも最後に書いてますけど...
何ひとつ学ぶことがない、何ひとつ。
まったくだ...。
*UPDATE: このFBI特別捜査官は辣腕で知られるフレデリック・W.・ハンフリーズ(Frederick W. Humphries)氏、送ったのは2010年マクディル空軍基地SWATと訓練後ダミーと一緒に撮った写真(右)。シアトル・タイムズが本人から聞いた話によると、夫婦共用アカウントから友人多数に冗談で送ったものなのですが、議会にリーク後、問題になってしまったようです。[illustration by Jim Cooke, hat tip to Hilary Sargent Ramadei]
Max Read(原文/satomi)