バーで出会った女の子が、僕の手首にはめられた未来っぽくてスリムで黒いものを見て、指をさして「これは何?」と尋ねてきました。「もしかして袖にビールでもこぼしちゃったかな?」と一瞬思ったけど、彼女は僕の「Nike Fuelband」に興味を示したようです。
彼女にNike Fuelbandを見せてあげるために、リストバンドにひとつだけあるボタンを押してLEDライトを起動させます。グリーン、イエロー、レッドのライトが「GOAL」という文字を照らしながらチカチカ光りました。
「やった!今日のフィットネスアクティビティの目標を達成したみたいだ。Nike Fuelbandは祝福のためのデジタル花火を打ち上げていていて嬉しい!」
その女の子も眉を上げた素振りで喜んでくれているみたいだけど、まだ良くわかっていないみたいです。了解、Nike Fuelbandについて説明させてもらおうじゃないですか。
何がすごいのか
Fuelbandは「フィットネス活動履歴記録デバイス」の死屍累々な世界に乗り込んできたナイキの新しい製品です。昔、素晴らしくひどかった「Jawbone UP」という製品が存在していましたが、どちらかというと「Fitbit」という製品に近いですね。
しかしFuelbandは腕にリストバンドとして装着し、24時間自分のアクティビティの記録を常に測る事ができるのが違うのですね。ランニング、洗濯、皿を洗う、さらにはセックスまで、自分の行動の全てが測定され合計されることで、自分が1日にどの程度活動しているのかわかるようになるのです。Fuelbandがあれば、自分のライフスタイルを絶えず定量的に確認できるようになるということです。
実際に使ってみて
Fuelbandの最も優れている点は、「使っているということを全然感じさせない」こと。日々のゴールをセットして、装着して、あとは何も考えなくて良いのです。なんて簡単! Fuelbandの加速度センサーが、自分の活動をひたすら記録し続けてくれます。
自分の現在の数値の統計を確認したい時は、FuelbandのボタンをタップするとLEDライトが光り、現在のカロリー消費量、歩数、現在の時刻、そしてどのくらいNikefuelを得ているかを教えてくれます。
え、そもそも「Nilefuel」の意味が分からないって? ナイキによれば、特定のアクティビティとFuelbandの加速度センサーの動作が相互に関係し、それを「Nikefuel」という単位を用いて計算しているのだそうです。つまりNikefuelとは、誰でも全く同じ単位で計測可能な、Nikeブランドによる新しいアルゴリズムです。これは誰でもひとつのアクティビティに対しては同じ数字になるということで、例えば五輪選手が走っても自分が走っても、同じNikefuel数を得ることになります。
さらに僕がNikefuelが好きな理由として、カロリー消費バランスという考え方を忘れる事ができるのも良いと思っています。どれだけNikefuelを稼ぐかという点に集中できるようになります。ネガティブな事をポジティブに改めるイメージ。活動的になるのはとにかく良いことで「体重が減る」というのはあくまで結果なのです。
FuelbandはBluetoothを通してiPhoneアプリとNike のウェブサイトと同期し、年、月、週、日毎にグラフで自分のアクティビティの履歴を確認することができます。とにかくFuelbandは簡単に使うことができるし、さらにバッテリーの持ちも良いですね。1回の充電だけで1週間以上使うことが可能です(4日間腕につけっぱなしでも大丈夫でした)。良いところ
まさに未来を見ているよう。例のサイエンスフィクションみたいなGoogleグラスとは違うけど、もっと実用的でこれぞ本当の未来なんじゃないかと思えます。
マットな黒の質感のバンドにシルバーの接合部分。バーで出会った女の子のように、人の興味を引くような外観であるのは間違いありません。このフィットネスリストバンドは、ただ腕に装着するだけで役に立っているというのも素晴らしいですね。
さらにFuelbandの良いところは、自分の行動に対して常に気を使えるようになるところでもあります。ディナーの後はタクシーで帰りたい気分? ちょっと待った、歩いた方が良い。ランチはデリバリーにしたい? いや、レストランまで行ってテイクアウトした方が良い。
このように自分のライフスタイルをより活動的にするために、Fuelbandは常にリマインドしてくれるのです。まるで自分の腕に宿ったフィットネスの天使のようです。律儀にも「もっと歩こう」なんて思ってしまいかねないのです。近道が好きでちょっとずぼらな同僚ですら、行動に変化が現れている位ですからね。ゴールを達成したいのは当然ですし、Fuelbandにがっかりさせられたくないのです。いかに自分がだらしないか、常に証拠を突きつけられている気分です。
良くないところ
まだ完璧な製品ではありません。Fuelbandは完全無欠のパフォーマンス...というわけではなく、基本腕に装着する加速度センサーなので、いくつかのエクササイズは正しく測ってくれません。例えばヨガやウェイトリフティングは、うまく計測しているとは思えません。
バイクマシンで運動している時も同様で「動きのある」エクササイズをしている時と比べ、正確に運動量を計測できていないようです。泳ぐ人やサーファーは、装着することすら出来ません。Fuelbandは生活防水ではありますが、防水では無いからです。
またGPSもないので、ランニングした場所などの履歴は残せません。そしてアプリは(今後必ず改良されていくと思いますが)、制限が多すぎるのも今のところ残念です。
買うべきか
買うべきです。何とかして健康になりたいと思っている人、運動することに対して何とかモチベーションを得たいと思っている人、もしくは単純にアクティブになりたいと思っている人は、Fuelbandを買うべきですね。怠け者の自分から脱却できるはずです。もちろん運動オタクにとっても、Fuelbandは新しい楽しみを与えてくれる事間違いなしです!Nike Fuelband価格:150ドル(約12000円)
センサー:3軸の加速度センサー、アンビエントライトセンサー
ディスプレイ:100個の白LEDライト、20色のLEDライト
サイズ: 14.7センチ (S)、 17.2センチ(M)、19.7センチ(L)
重さ: 27グラム(S)、30グラム(M)、32グラム(L)
※日本での発売は今年の秋を予定しているそうです!
CASEY CHAN(原文/mayumine)