コーネル大のダリル・ベム(Daryl Bem)教授が大学生1000人を対象に計9回におよぶ個別の実験を行いました。目的はずばり、「PSI(予知・予感)」の証拠を掴むこと!
実験結果を記した論文「Feeling the Future: Experimental Evidence for Anomalous Retroactive Influences on Cognition and Affect(未来を感知:認知・効果に及ぼす異常な遡及的影響を示す実験的証拠)」は出版化に先立ちオンライン公開されてます。教授はPSIをこのように定義づけています。
「psi」という言葉は、現在の物理や生物のメカニズムでは説明不能な異常な情報処理およびエネルギー転換を指す。psiには予知(precognition、意識的認知)と予感(premonition、感情的解釈)の2種類があり、いずれも既知の推論処理では本来予測不能な未来の出来事を予測できるものだ。予知・予感それ自体は、「未来の出来事が個人の現在の反応に及ぼす異常な遡及型影響」という、もっと一般的に見られる現象の特殊ケースとも言える。こうした反応が意識的に起こるか無意識(感情的)に起こるか、という違いはあるが。
さて9回のうち最注目なのは、ポルノを使ってESPを探る実験です。この実験ではビデオスクリーンの各セクターに「非暴力的ながら露骨な、合意の上の性交渉に従事するカップル」の画像が出るか空っぽの写真が出るか当てるよう、被験者に36回お願いしてみたんです。
統計的には当たる確率は半々のはずなのに、いざ実験してみたらポルノ写真が現れる時はなんと50%より大幅に高い53.1%の命中率! やっぱり気合いの違いでしょうか!
...え? 「たった3.1%の違いじゃん...」て? いやま確かにケチな数字ですけど、これだけ違うと単に統計学的な異常だけじゃ説明がつかなくて、それ以上のもっと重要な何かが作用してるって意味らしいですよ。で、とりあえずベム教授は人間には「エロティックな刺激の予知検出能力」と「ネガティブな刺激の予知回避能力」がある、と結論付けているのですね。
ベム氏は著名な社会心理学者で現在はコーネル大学名誉教授を務めています。性的指向とパーソナリティ理論に関する著書多数。この論文に寄せて、psiおよびpsi関連の研究がもっと社会的に受け入れられるようになることを祈っている、と書いてますよ。楽しい人ですね。
批評家もこの論文のことは真面目に取り上げており、例えばブラウン大学の(懐疑論者で有名な)Joachim Krueger心理学教授も「Psychology Today」の記事で、psiは「まだ原因解釈不明な信仰」の域を出ないとしながらも、この論文の方法論と科学的厳密さを賞賛してます。
学会でESPのこととかポルノの予知能力増進作用のことが真剣に議論される時代が本当にくるのかな?
(本稿は、ビジネスの未来を創るイノベーターを支援する「Fast Company」のゲスト寄稿です)
[Image via Flickr user brain_blogger]
Neal Ungerleider - Fast Company(原文/satomi)