2006年DCに飛んでって米議会でネット中立性支持を訴えたセルゲイがイチ抜けって...ほんとに?
ニューヨーク・タイムズ(NYT)が今朝付け記事で、グーグルと通信大手ベライゾンがネット中立性を破る方向で内々に話し合いを進めていると報じ、「悪に魂売る気かい」と物議を醸してます(上はイメージ図)。
平たく言うと、自社サービスやコンテンツの読み込みを高速化したい会社(例:VimeoよりYouTubeをサクサク表示したいグーグル)はISP(例:動画で全体の通信速度が落ちて困ってるベライゾン)にお金を払えば「高速レーン」でビュンビュン通信させてもらえる、という密議ですね。グーグルは「それはいかんよ、ISPやり放題になっちゃうから」とずっと反対の立場だったわけですが...もし本当なら貨物トラックも軽自動車もみんな下の道走ってるネット中立性の時代ももうじき終わる運びとなります。ち~ん。
グーグルは夕べ電子版で公開になってからツイートでこれを否定。ギズの取材にも、ほぼ同じ回答をいただいてます。
「NYTの記事は単なる誤報。GoogleやYouTubeのトラフィックに高速通信を有料で買う話し合いなどベライゾンとは一度ももっていない。我々はこれまで通りオープンなインターネット実現にコミットしている」
ベライゾンも報道否定の声明を発表。
「グーグルとベライゾンが討議中というNYTの記事は誤解だ。我々の目的を根本から履き違えている。先のFCCへの申請でも述べた通り、我々が目指しているのは投資と技術改革を続けながらオープン性とアカウンタビリティを保ち、尚且つFCC(米通信委員会)所轄権限まで盛り込んだインターネット政策の大枠づくり。それを両社の商談と示唆するのは完全なる誤ち」
いやあ、FCCに大変な気の遣いようです。
FCCはネット中立性の番犬みたいな役回りだったのですが、ケーブル会社のコムキャストが「BitTorrentのファイル共有の負荷が重くてしょうがないので通信遅らせる権限が欲しい」と言って対立した件で4月に米連邦控訴裁判所からP2Pブロックを規制するのは違法という判決が出てしまって、「FCCにはネット中立性をISPに強制する権限はない」という宙ぶらりんな立場ですもんね。
しかし今回の報道には、ジュリウス・ゲナコウスキーFCC委員長(写真下)自ら牽制球をドカ~ンと放ってますよ。
「消費者・起業家に開かれたオープンで自由なインターネット。その維持に背く取り決めは容認ならない」
ウォール・ストリート・ジャーナルはネット中立性の法案協議を進めているというもっと穏当な表現でこの話を伝えてます。
一方ブルームバーグは、モバイルでは「ISPによる規制やむなし」という線で合意に達したようだと報じました。
ベライゾンとグーグルが米政府ウェブ政策協議参加中、ネットのトラフィック処理をめぐり独自に合意に達した。両社に説明を受けた2名から取材したもの。発表まで実名を伏せることを条件に昨日取材に答えてくれた話によると、この妥協によりベライゾンには自社ネットワークを通るネットコンテンツの配信速度は取捨選別して遅らすことはできないという規制がかかるが、携帯電話からのネット利用に関しては本規制の対象外となる模様。
んー気になりますねー。
「ネット中立性」の議論は、動画・通話はじめネットワークに負荷がかかる接続を制限したいISPと、アプリやコンテンツやサービスによって別け隔てされたんじゃ困る企業との間で長年、話し合いが平行線を辿っています。いつまでも平行線でもしょうがないので、両者落しどころを求めているんでしょうけど、さてさて?