キルミーベイベー新作アニメDVD付きベストアルバム。メイト完売ほかアキバほぼ全滅 - アキバBlog
アニメ『キルミーベイベー』のベストアルバム『キルミーベイベー・スーパー』が、売れています。
オリコンでは週間9位、デイリー最高3位。
枚数的には7000枚くらいです。
とまあ、ここまでは「最近のアニメCDだとよくあることだよねー」とか「7000枚でオリコンベストテンはいる時代なのか……っていうか売れてるうちに入るの?」とかの感想で終わってしまうのですが、この出来事がわざわざニュースになるのには理由があります。
それは、ぶっちゃけますと、このアニメ、BDが全然売れなかったからです。
明確な数字は出ていませんが、公表された数字だけだと1巻につき、1000枚売れてません。
だから、この売れ行きにみんな驚いているのです。
しかもほぼ二年越しのベストアルバムってのが追い打ちです。
なんでいまさら!?
経緯を書いていきます。
『キルミーベイベー』は放映時も、人気自体はあるアニメでした。
原作自体、ファンの多い作品です。
ギャグアニメとしてはかなりの異色作。登場人物は主に二人。
金髪の少女ソーニャは殺し屋。そんな彼女が大好きで、しつこくつきまとっているアホの子やすな。
この二人の、ドタバタのんびりコメディです。
シンプルにまとめられた絵柄と展開、そして詰め込みすぎのOPとED。特にOPのプログレッシブっぷりはあまりにもめちゃくちゃで、かなり話題になったものです。一度聞いたら忘れないよ。
ぼくもこのアニメ大好きで、別の媒体で密かに激推ししていたのですが、放映された2012年1月、そしてブルーレイが発売された当時は、色々な要素があって埋もれてしまいました。
女の子が出てきて30分わいわいやるアニメは数多く、飽和していた時期です。
その中にあって、2010年以降『ミルキィホームズ』を筆頭に、やりすぎじゃないの!?っていうアニメが増えました。
しかし、『キルミーベイベー』はそこまで派手に動いでギャグも激しくて……というアニメではないです。わりとまったりしていて、二人で「普通」を過ごすことに重点を置いた作品。丁寧に描かれていますが、確かに目立ちません。
また、このあたりから15分や5分のショートアニメが増え始めます。
同じ女の子がいっぱい出てくるものでも、短い時間に激しく尖ったものを一気に見せる。極北は『てーきゅう』『あいまいみー』『gdgd妖精s』など。
じゃあ『キルミーベイベー』は15分や5分だったらよかったのか?
そうは思いません。なぜなら少しでも長く、この時間が続いて欲しいとやすなが願い、それがいつかすぐにでも終わってしまうことをソーニャは知っている、だから少しでも長く、普通に過ごしたい、というのがこの作品だからです。
少なくともネットでは話題にはなった作品です。しかしなぜか売れなかった。
話題の真価は終了後にありました。しかも結構間を置いてから。
「キルミーは面白い!」「キルミーは神!」と、不思議な持ち上げられ方でした。
半分は、『キルミーベイベー』の存在自体を話題のネタにしている人。
それもそのはず。あまり売れなかったBDですが、なぜか後半にしたがって右肩上がりに売れたという変な現象が起きていたからです。
一巻買わずに途中から買う人がいたのか、はたまた途中からはまってまとめて買ったのか……?
おかげで「おすすめアニメは?」という問には「キルミーベイベー」が反射的にあがったりと、何かというと引き合いに出され、相対的に『キルミーベイベー』の名前をよく見かける、という変な現象がおきます。
最もよく見かけるのは、チャーリーブラウンが「キルミーベイベーは死んだんだ」「キルミーベイベーは復活するんだ。」というAAでしょう。
もう半分は、『キルミーベイベー』の魅力に気づいて、中毒になった人。
日常系アニメ、という枠はよく言われますが、ここまで本気で何も変わらないのはすごい。アニメは全く変わらず最終回を迎えました。
ほんっとに何もないアニメなんです。二人でドタバタする、やすなが頭が悪くて、うざくて、かわいい。ソーニャがクールで、振り回されて、かわいい。
なんともいえないシュールな演出とプログレッシブなBGM、ハイテンションに見えて実はダウナーな部分を秘めた躁うつ的アニメ。
この時点でクセになる作風なんです。
しかし、やすなは言いました。
「殺し屋なんてやってちゃダメだよ。いつか……酷い目にあっちゃうよ。そしたら、私、ソーニャちゃんと遊べなくなっちゃうよぉ……」
この日常は明日はやって来ないかもしれない。明日は隣の席に、ソーニャはいないかもしれない。
『Baby,please kill me. 「キルミーベイベー」ファンブック&アンソロジーコミック』では特にその点の刹那感に気づいた作家が集まっているため、ハイテンションの裏側の、殺し屋ソーニャの切なさ、悲しさ、どうでもいいような日々の儚さが描かれています。
これキルミーファンなら本気で必見。もし感動しなかったら樹の下に埋めて貰っても構わないよ! (ババーン)
儚さに気づいた瞬間、このアニメの中毒になります。
両方の層がふくらんで、気づいたら流行り廃りと別の次元で、『キルミーベイベー』は多くの人が知っているアニメになった、という奇妙な状態が起きました。
根強い人気と、ネタ便乗の人気で、という感じ。
主観ですが、ぶっちゃけ放映時より今のほうが有名なんじゃないかと思うほど。
それから約2年たってのCDが、売れた。
だからすごいんです。当時からのファンも、見ていなかった人も、聞きたいと思うようになった。
DVD付きだから売れた、というのもあると思います。まるまる一話収録されています。お得!
中身は……はい、なんにも変わりません。ちょっとテレビ版よりも予算がないのかなと感じるところはありますが、二人でワイワイやって笑えるというのは今までどおり。普通。
この普通ってのが大事。
そして、12月4日には『キルミーベイベー』のBD-BOXが発売されます。まじで!?
ほんと『キルミーベイベー』は続けて見ると、ハイテンションなくせにどんどんクールダウンしていく変なアニメ。中毒になります。
この機会に是非おすすめしたいけど、なにもないのが魅力って、伝えづらいものです。
CDですが、一番のオススメは『キルミーのベイベー!』ライブバージョンです。
嘘つけ!ライブなんてやってねえだろ!
音楽はもともと「起盤」「承盤」「転盤」収録のものと、キャラソンアルバムのものを集めています。
音楽的に悪乗り感あふれるものなので、これ単品でも楽しめるはず。
公式イベント「キルミーベイベー 殺し屋祭」も開かれるそうなので、キルミストとしてはわさわさしてきますね。
見たことない方は、せっかくなので、これからわさわさしましょう。
『キルミーベイベー・スーパー』
『Baby,please kill me. 「キルミーベイベー」ファンブック&アンソロジーコミック』
『キルミーベイベー』BD-BOX
(たまごまご)