9月1日~7日は「美容週間」だ。「NPO法人 美容週間振興協議会」によると、今年は9月4日の「くしの日」を中心に様々なイベントを行い、美容師の増加運動などを通して業界の発展を目指すという。


 一方で、美容師をめぐる状況は厳しい。厚労省の「衛生行政報告例」によると、日本には現在約22万店の美容院があるが、この数はコンビニエンスストア主要10社を合わせた店舗数の4倍以上だ。それでも毎年約2000店のペースで美容院は増えており、過当競争で1店舗あたりの売上高は減少、毎年約1万店が廃業に追い込まれている。


 消費者がヘアカットなどの「理美容サービス」にかける金額が減少していることも、業界にとっては逆風だ(総務省家計調査、2005年~2012年の統計推移による)。デフレ下で「10分1000円カット」などの格安ヘアサロンが市場を拡大していることからも、消費者の金銭感覚がシビアになっていることが分かる。


 競争が激化する中、美容師の雇用環境は決して良いとはいえない。美容師の平均年収は267万円と、他の職業の平均年収(412万円)と比べて圧倒的に低い。福利厚生も充実しているとはいえず、長時間労働が常態化している。離職率は高く、年齢が上がるにつれ、辞めていく人が多いのが特徴だ。


 エイチビイエムの「理美容ニュース」によると、男性の理美容師は20歳~34歳までで約9割を占め、35歳以上は12%、40歳以上となると6%しかいない。


 40代以上の理美容師が極端に少ない理由は、その賃金体系にある。美容師の賃金は40歳~44歳をピークに下降していく。

「一家の大黒柱」であれば人生で最もお金が必要な時期を前に、賃金が下がってしまうのだ。

 つまり多くの男性理美容師にとっては40歳が人生のターニングポイントであり、廃業するか、または独立開業してオーナーになるかの選択を迫られることになる。当然、廃業を選ぶ理美容師も多いことだろう。華やかなイメージとは裏腹に、ヘアサロン業界には「40歳定年説」とでも呼べそうな厳しい競争環境が広がっている。(編集担当:北条かや)

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