――なぜ、北海道には地域限定のコーヒーが多いのでしょう?
「良い水がたくさん湧き出ているということと、酪農が盛んだからということが挙げられます。実際に『北海道産生乳使用』といった感じで表記されていることが多いです」
――味の特徴はありますか?
「全体的に甘めのものが多いです。ミルク自体に甘味がありますからね」
ミナヅキさんは函館出身ということで、帰省等で帰った時はまとめて買ってくるという。
そこで、ミナヅキさんの独断と偏見で、おすすめの北海道限定コーヒーを選んでいただいた。
ミナヅキさんの「今すぐ北海道に買いに行きたくなる解説」つきです。
○北海道キヨスク『GLAD』
「ニセコ山系の天然水を使っています。砂糖・牛乳も北海道産。『GLAD』を知らない人が普通の缶コーヒーだと思って飲んだら、おそらく、ビックリするほど飲みごたえがあります。北海道の駅にあるコンビニやキヨスク、お土産屋さんにあります。北海道以外では手に入りません」
○北海道ミネラルウォーター『名水珈琲』
「羊蹄山の湧水を使用しています。
○GRANDIA『薫るモカ』
「モカは酸味が強い傾向があるけど、このコーヒーは喫茶店で煎れた美味しいコーヒーに近い味がします。これで88円(2013年現在)は安いと思います」
ちなみに、GRANDIAは『セイコーマート』が製造・発売している商品のブランド名。
甘いコーヒーが好きな人におすすめの逸品も選んでいただきました。
○GEORGIA『ミルクコーヒー』
「なまら甘いです。北海道産牛乳を100%使用しているとあり、ミルクの風味がとても濃厚です。昔、『MAXコーヒー』を初めて飲んだ時のことを思い出しました」
実は、他の地域にもある!「ご当地コーヒー」
北海道並みとはいかないが、実はご当地珈琲は他の地域でも製造されている。ミナヅキさんによると「各地域のコーヒー文化、嗜好(好みが多い傾向)など、さまざまな理由と結びついているからこそ、その地域されないれっきとした『ご当地商品』」なのだそうだ。その中のほんの一部を紹介。
○『徳島珈琲』(徳島限定)
「深煎り微糖です。全国的に売られている缶コーヒーに比べると、味が明らかに違います。使っている豆が違うんだと思いますが」
○GEORGIA『でら!珈琲』(愛知県)
「缶がキラキラしています。
○『龍泉洞珈琲』(岩手限定)
「使っている水が非常に良いんだと思います。こちらは一部の『ナチュラルローソン』でも販売されています」
○『35COFFEE Bitter Sweet』(沖縄限定)
「公式サイトに『風化サンゴを使って、ゆっくりと時間をかけて、じっくりとコーヒー生豆を焙煎するごとでコーヒー豆本来の、まろやかな風味を追求しました』と書いてあるとおり、非常にまろやかです」
※いずれもミナヅキさん推薦。ぜひ、飲んでほしいので味の説明を敢えて控えております。
――私は、缶コーヒーって飲めればいいと思っているような「コーヒー音痴」なのですが、コーヒーによって味はかなり違いますか?
「全然違います。例えば、ブラックの缶コーヒーをひとつとっても、全然違います。使っている水が美味しいと、コーヒーも美味しくなります」
コーヒー通もうなるお店は、どれくらいあるのか?
缶コーヒー好きなミナヅキさんは、自分で淹れて飲むコーヒーも好きである。
「数年前に、たまたま入った喫茶店で飲んだコーヒーが、ものすごく美味しくて。その帰りにコーヒー淹れる機器を扱っているお店に入って、道具を揃えたんです。そこから、自分なりにコーヒーを追求していきました」
まずは形から入ろうとしたということだが、気づいたらコーヒーに関する冊子を何冊も発行するように。喫茶店にもよく立寄るというミナヅキさんに、気になるアノことを聞いてみた。
――コーヒーが大好きな方が好むようなお店って、どのくらいあるんですか?
「コーヒー通の人を案内して満足してもらえるようなお店は、関東でも10店舖あるかどうかといったところですね。もちろん、人によって好みがあるでしょうけど」
そんなに少ないのか!!
ミナヅキさんによると、そういったお店には共通点があって、お店のコンセプトがしっかりしていることが多いそうだ。
「純粋にコーヒーが好きだという人でないと、お店に入りにくいような雰囲気さえあります。そのかわり、コーヒー好きな人にとってはたまらない美味しさが楽しめます」
ミナヅキさんは、コーヒーにまつわることを冊子にまとめている。『うちカフェ入門支援本「珈琲読本」』シリーズ。2010年に発行を開始して、既にVol.7まで発行している。サイトでも閲覧可能だが、ミナヅキさんがコミケ等に出展した際に購入できる。
「書店に並んでいるような入門書は情報量が多いのと、基本の知識がないと理解できない内容のものが多いので、必要な情報だけをまとめました。コーヒー好きな人が一人でも増えたら嬉しいです」
音楽に絶対音感があるように、コーヒー好きな人は、味が少しでも違うと分かるそうだ。いわば「絶対コーヒー感」である。缶コーヒーなら、初心者にも味の違いが分かりやすそうなので、まずは北海道に行って缶コーヒーを買いあさって、「絶対コーヒー缶(感)」を目指したいところだ。(取材・文/やきそばかおる)
●ミナヅキトウヤさんのサイト
『柚子屋茶寮』
http://www2.tba.t-com.ne.jp/minazuki/
さまざまなコーヒーの紹介や、ミナヅキさんが書いた本の紹介も。