エスカレーターは「片側をあけない」のがマナー?
あなたはどんな乗り方をしていますか?
「関東では右側をあける」とか、「関西では左側をあける」とか、地域差もよく指摘される「エスカレーター」の乗り方。

急ぐ人のために片側をあけておかないと、なんとなく舌打ちされたり、邪魔者扱いされたりすることも多いけど、それが近年、変わってきていることをご存知だろうか。


「エスカレーターで歩くのは危険ですので、手すりにつかまり、ステップの黄色い線の内側にお乗りください」
などのアナウンスが、デパートや駅などでされるようになってきているのだ。

かつて「エスカレーターを『高速』にする理由」という記事内で、「メーカーがエスカレーターの追い越しを原則禁止している」と書いたことがあったが、一般的には、ほとんどの駅のエスカレーターで、今も「片側あけ」が行われている。
「片側をあけるのが常識」という考え方と、「片側をあけるのは危険」という考え方の間で、マナーが揺れているようにも見えるけど……。これっていつからなの?
社団法人・日本エレベータ協会に聞いた。

「もともとエスカレーターは片側をあけないで乗ることが基本です。片側をあけ、急ぐ人が歩いて通るというのは、自然発生的に生まれてしまったもの。本来は、ステップの黄色い枠の中に立ち、必ず移動手すりを持つというのが、正しい乗り方ではないでしょうか」
と、事務局長の井出さんは言う。

その理由は、「安全装置が動作した時や停電の時は急停止するから、転倒を防ぐため」ということ。また、なぜ両側に乗るべきなのかというと、「片側だと輸送効率が悪いという理由のほか、移動手すり側の手が不自由な人などもいるから」ということのようだった。

危険がともなう以上、エスカレーターはやはり「片側をあけない」のが、マナーのよう。それでも歩く人が絶えないことに対して、同協会にも「2人乗り用だから片側に寄ってしまうのであって、1人乗り用をたくさんつければいい」などという意見がときどき寄せられるという。

今はまだ、残念ながら、「両側」に乗ると、急いでいる人に後ろから舌打ちされるというのが、現実ではある。

この舌打ちに耐える勇気がない場合、まずは自分で「エスカレーターで歩行しないこと」から、始めてみてはいかがでしょうか。
(田幸和歌子)
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