病気腎(修復腎)移植問題をめぐり、同移植を批判する日本移植学会の幹部による発言などで名誉を傷つけられたとして、宇和島徳洲会病院の万波誠医師(69)が28日までに、同学会の現元幹部4人に、計4400万円の損害賠償を求める訴えを松山地裁に起こした。
訴えによると、被告らは修復腎移植をめぐる記者会見や2008年の国会議員による同移植の勉強会などで「がんの腎臓を移植するのは常識でもありえないし、医師として許されない」などと発言し万波医師の名誉を傷つけたほか、被告の1人は07年3月、米国での同医師による論文発表を阻止しようと米国移植学会あてに送った手紙の中で名誉棄損を行ったと指摘。それらは「修復腎移植の成果に対する被告らのねたみや嫌悪に基づくと推測される」と主張している。
万波医師は「患者の皆さんが修復腎移植医療を受ける権利を当時の学会幹部の不法行為で侵害されたと裁判を起こしている現状に対し、移植をした当事者として何とかしたいとの思いだった。ただ私が最も優先すべきは、修復腎移植の臨床研究実施に向け全力で取り組むことと考え、提訴公表を控えていた」とのコメントを出した。
一方、被告の1人は「学会の責任として、病気腎移植の医学的判断をして説明しただけで、万波氏の人格を傷つけることを言ったつもりはない」と話した。