参院決算委員会で26日、2011年度・12年度の政府決算に関する準総括質疑が行われ、民主党・新緑風会の前川清成議員が質問に立ち、(1)裁判官弾劾裁判所の職員の業務(2)委員会調査室への職員配置(3)議員会館業務のPFI業務導入――等の課題を取り上げ、参院事務総長らに質問した。
前川議員は「現場で働いている職員の皆さんの目線で質問したい」と述べ、まず参院の裁判官弾劾裁判所の職員数・訴追事件が係属しない時の職員の業務内容・職員のやりがいをどう実現するか等についてただした。
質疑では裁判官弾劾裁判所には11人の職員が配置され、年間予算は約1億円で、その大半は人件費であることを確認。前川議員は「戦後係属した訴追事件は合計9件、平均すると7年3カ月に1件の割合。訴追事件が係属していないときに職員は何をしているのか」と述べ、戦後に係属した訴追事件について列挙して、「平成20年の12月24日から24年の11月13日まで約4年間、弾劾裁判所の職員の皆さんの仕事はなかったということになる」「さらにその前は平成13年11月28日に訴追事件があり、20年9月9日までの約7年間仕事がなかった」「昭和30年9月30日から52年4月2日まで20年間、訴追事件が係属しなかった時期もある」と指摘した。
そのうえで前川議員は「憲法が要求する機関なので日ごろ仕事がないからこの仕事をなくせと言っているつもりは全くない。しかし、国権の最高機関で働きたいという高い志をもって難しい試験を通ってきた優秀な職員が就職して来る。その方々が弾劾裁判所に配属されたばっかりに7年間仕事がない、あるいは20年間仕事がないというのはあまりにも気の毒だ」と述べ、例えば日常は他の仕事をしながら訴追事件が係属した場合には弾劾裁判所の職員としての業務に就くといった人事の工夫が必要ではないかと問題提起した。
前川議員は続いて、参院の委員会調査室の繁忙度の違いについて厚生労働委員会と行政監視委員会を例に比較した。それぞれの調査室の職員は厚生労働委員会13人、行政監視委員会は8人配置され、この通常国会中の委員会の開催は厚生労働委員会が15回で行政監視委員会は2回、付託および付託予定の法案は厚生労働委員会が18件に対し行政監視委員会はゼロ、議員からの問い合せに応える昨年度のレファレンス件数は厚生労働委員会が601件なのに対し行政監視委員会は19件であることが質疑を通じて明らかになった。前川議員は「忙しすぎる部署はワークライフバランスやディーセント・ワークを損なう。余暇を自己研修に充てることも専門性を高めることもできない」「また高い志をもって難関の試験に合格された方の志や能力に応じた実現自己実現ができない。それでは国家としての損失ではないか」と述べ、部署ごとの繁忙度の調整を求めた。中村参院事務総長は「勤務体制を柔軟に思考するなどして、人事配置に工夫して効率的な運用に努める」と応じた。