オーサリングツール アクセシビリティガイドライン 1.0
オーサリングツール アクセシビリティガイドライン 1.0
W3C勧告 2000年2月3日
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このバージョン[原文]:
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http://www.w3.org/TR/2000/REC-ATAG10-20000203
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([原文の]プレーンテキスト, HTMLのgzip圧縮tarアーカイブ, HTMLのzipアーカイブ, PostScript, PDF)
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最新のバージョン:
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http://www.w3.org/TR/ATAG10
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以前のバージョン:
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http://www.w3.org/TR/1999/PR-WAI-AUTOOLS-19991026
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編集者:
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Jutta Treviranus - ATRC, University of Toronto
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Charles McCathieNevile - W3C
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Ian Jacobs - W3C
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Jan Richards - University of Toronto
著作権 ©2000 W3C® (マサチューセッツ工科大学, フランス国立情報処理自動化研究所, 慶應義塾大学). すべての権利が留保される。W3Cの免責(liability), 商標(trademark), 文書利用(document use), ソフトウェア使用許諾(software licensing)規則が適用される。
この仕様書は、ウェブオーサリングツールの開発者のためのガイドラインを提供するものである。その目的は二群ある。アクセス性の高いウェブコンテンツを生産するオーサリングツールを開発者が設計するのを補助することと、アクセス性の高いオーサリングインターフェイスを開発者が作成するのを補助することとである。
オーサリングツールは、ユーザ(「制作者」)が、プロンプトやアラート、チェック=アンド=リペア機能、ヘルプファイル、自動ツールを通じて、アクセス性の高いウェブコンテンツを作成することを可能にし、奨励し、補助することができる。すべての人がコンテンツを制作できるということは、すべての人がコンテンツへのアクセスを有することと同じくらい重要である。したがって、この情報を作成するのに使われるツールは、それ自体がアクセスしやいものでなければならない。これらのガイドラインを採用することは、さらに広い範囲の読者が読むことのできるウェブコンテンツや、さらに広い範囲の制作者が利用できるオーサリングツールの増殖に寄与するであろう。
この文書は、W3Cウェブアクセシビリティイニシアティブ(WAI)によって公開されている一連のアクセシビリティ文書の一部である。
この節は、公開時点でのこの文書の位置付けを説明するものである。他の文書がこの文書に取って代わることがある。この文書シリーズの最新の位置付けはW3Cにおいて維持管理されている。
この文書は、W3C会員及びその他の利害関係者によりレビューされ、ディレクターによってW3C勧告(Recommendation)として公布されているものである。この文書は安定的な文書であって、参照素材として利用したり、規範的リファレンスとして他の文書からの引用に用いてもかまわない。勧告作成の際のW3Cの役割は、仕様に対する注意を引き、その広範な配備を推進することにある。このことはウェブの機能と相互運用性とを高める。
連続するワーキングドラフトの間での変更のログ[原文]が入手可能である。
ワーキンググループについての詳しい情報については、AUWGミーティングの議事録を参照いただきたい。
この文書は、オーサリングツール アクセシビリティガイドライン ワーキンググループ (AUWG) により、ウェブアクセシビリティ イニシアティブ (WAI)の一部として作成されている。ワーキンググループの目標はAUWG憲章に論じられている。
この文書[原文]についての一般的なコメントは、公開メーリングリスト [email protected] (公開アーカイブ) へお送りいただきたい。
この仕様書は英語版が唯一の規範的バージョンである。この文書[原文]の翻訳についての情報は http://www.w3.org/WAI/AU/ATAG-TRANSLATIONS で手に入る。
この文書[原文]の既知のエラーの一覧は http://www.w3.org/WAI/AU/ATAG-ERRATA で手にはいる。この文書[原文]のエラーは [email protected] へレポートいただきたい。
現行のW3C勧告、およびその他ワーキングドラフトやノートを含めた技術文書の一覧は http://www.w3.org/TR で見ることができる。
この文書の付録 [ATAG10-CHECKLIST] には、簡便に参照できるよう、チェックポイントをすべて列挙してある。
このガイドラインにおいて「オーサリングツール」という用語は、つぎのものを含め、ウェブコンテンツを作成するために使われる広範囲なソフトウェアを指す。
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明確にウェブコンテンツを生産するよう設計されている編集ツール (例. WYSIWYG HTMLエディタやXMLエディタ)
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ウェブフォーマットで素材を保存するオプションを提供するツール (例. ワードプロセッサやデスクトップパブリッシング パッケージ)
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ウェブフォーマットに文書を変形するツール (例. デスクトップパブリッシングのフォーマットをHTMLに変形するフィルタ)
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特にウェブ上での利用を予定されているところでマルチメディアを生産するツール (例. ビデオ制作編集スイート、SMILオーサリングパッケージ)
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サイト管理やサイト公開のためのツール. データベースから動的にウェブサイトを自動生成するツールや、オン=ザ=フライの変換ツール、ウェブサイト公開ツールが含まれる。
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レイアウトを管理するためのツール (例. CSSフォーマッティングツール)
この文書の目標は、以下のように述べることができる。オーサリングツールが、障碍の有無に拘わらず、制作者にとってアクセス可能なものであること。オーサリングツールが、デフォルトで、アクセス性の高いコンテンツを生産すること。オーサリングツールが、アクセス性の高いコンテンツを作成するよう制作者に奨励すること。ウェブのコンテンツのほとんどはオーサリングツールを使って作成されるから、ウェブのアクセシビリティを保証する際にオーサリングツールは決定的な役割を果たす。ウェブは、情報受領と情報交換との両方の手段であるから、生産されるウェブコンテンツもオーサリングツールそのものも両方ともアクセス性の高いものであることが重要である。
これらの目標を達成するためには、オーサリングツール開発者は、アクセス性の高い標準規格 (例. HTML 4) への適合性を保証し、アクセシビリティ問題をチェックして訂正し、プロンプトを出し、適切なドキュメントやヘルプを提供するといったようなステップを踏まなければならない。アクセス性の高いコンテンツを構成するものに関する詳しい情報については、このガイドラインは、ウェブコンテンツ アクセシビリティガイドライン 1.0 [WCAG10] に譲る。同様に、一般的なアクセス性の高いソフトウェア設計を扱う既存の仕様書を直接に再生産するのではなく、このガイドラインは、他のソースを頼りにする。現在のガイドラインは、柔軟な編集ビューやナビゲーション支援、表示プロパティに対するアクセスを制作者に提供するといったような、ウェブオーサリングツールに特有の、アクセス性の高い設計上の考慮事項を扱うのである。
このガイドラインで前面に押し出される原理は、障碍はないが類似の必要性を有する多数の人々の役に立つであろう。ここには、音声の利用が現実的でない騒々しい環境や静寂な環境の中で作業する人々や、目が他の作業に忙しくてスクリーンを見ることができない人々、スクリーンが小さくてキーボードがなくマウスもない小さいモバイルデバイスを利用している人々が含まれる。
"オーサリングツール アクセシビリティガイドライン 1.0 用テクニック集" [ATAG10-TECHS] というタイトルの別文書は、各チェックポイントを満足する方法についての提案や例を用意している。また、各チェックポイントをツールがどのようにして満足するかについての追加的な情報を提供するその他の(プラットフォーム特定のソフトウェアのアクセシビリティガイドラインといったような)アクセシビリティリソースへの参照も含まれている。読者は、テクニック集文書だけでなく、「ウェブコンテンツ アクセシビリティガイドライン 1.0 用テクニック集」 [WCAG10-TECHS] や「ユーザエージェント アクセシビリティガイドライン 1.0 用テクニック集」 [UAAG10-TECHS] にも精通するよう強く奨励される。
註: [ATAG10-TECHS] にあるテクニックは参考例にすぎない。[ATAG10-TECHS] で論じられているもの加えて、あるいはその代わりに、他の戦略が使われることがある。
註: この文書に適合するオーサリングツールは、アクセス性の高いウェブコンテンツを普及させ、また障碍の有無に拘わらずどのような人にとって役に立つであろう。また、アクセス性の高いコンテンツを好ましい環境で生産したり、一定の障碍のある制作者に対してアクセス性の高いインターフェイスを提供するが、このガイドラインに適合しないオーサリングツール (例. 熱意ある制作者によって使われるテキストエディタ) もあるであろう。
この文書にある7つのガイドラインは、アクセス性の高い設計のための一般的な原理である。それぞれのガイドラインには、つぎのものが含まれている。
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ガイドライン番号
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ガイドラインのステートメント
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ガイドラインの背後にある理屈
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チェックポイントの定義リスト
それぞれのガイドラインにあるチェックポイント定義は、オーサリングツールがそのガイドラインに従うための必要時要件を規定するものである。それぞれのチェックポイント定義には、つぎのものが含まれている。
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チェックポイント番号
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チェックポイントのステートメント
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チェックポイントの優先度
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場合によっては、参考註、用例の解説、関連するガイドラインやチェックポイントへのクロスリファレンス.
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「オーサリングツール アクセシビリティガイドライン 1.0 用テクニック集」 [ATAG10-TECHS] のうち、そのチェックポイントの実装や用例が論じられている節へのリンク.
チェックポイントはそれぞれ、それを満たすために最も適切な戦略を利用する自由を制作者に認めるために充分に一般的でありながら、検証が可能なほどに具体的なものにしたつもりである。
この仕様書の付録 [ATAG10-CHECKLIST] には、簡便に参照できるよう、チェックポイントをすべて列挙してある。
チェックポイントにはそれぞれ、優先度レベルがある。優先度レベルは、この仕様書の目標に沿うに際してそのチェックポイントのもつインパクトを反映している。この目標としては、つぎのものがある。
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オーサリングツールが、アクセス性の高いものであること。
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オーサリングツールが、アクセス性の高いコンテンツをデフォルトで生産するものであること。
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オーサリングツールが、アクセス性の高いコンテンツの作成を奨励するものであること。
優先度レベルは以下のように割り当てられる。
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[優先度 1]
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目標に沿うためにそのチェックポイントが不可欠である場合。
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[優先度 2]
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目標に沿うためにそのチェックポイントが重要である場合。
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[優先度 3]
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目標に沿うためにそのチェックポイントが役に立つ場合。
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[関連優先度]
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ウェブコンテンツの生成や制作、チェックに言及するチェックポイントのなかには、複数の優先度をもつものがある。優先度は、ウェブコンテンツ アクセシビリティガイドライン (WCAG) 1.0 [WCAG10] における対応する優先度による。
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WCAG 1.0 で優先度 1 の必要条件であるコンテンツ機能チェックポイントを満たすことは、優先度 1 である。
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WCAG 1.0 で優先度 2 の必要条件であるコンテンツ機能チェックポイントを満たすことは、優先度 2 である。
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WCAG 1.0 で優先度 3 の必要条件であるコンテンツ機能チェックポイントを満たすことは、優先度 3 である。
例:
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画像やオーディオに等価テキストをつけることは、それをしないと1つ以上のグループがその情報にアクセスすることが不可能だと思うことになるので、WCAG 1.0 では優先度 1 の必要条件である。したがって、オーサリングツールが、これらのタイプのコンテンツの等価代替物をチェック (4.1) したり制作者に (3.1) 要求したりすることは、優先度 1 の必要条件である。
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ナビゲーションバーの中にリンクをまとめることは、WCAG 1.0 では優先度 3 である。したがって、オーサリングツールが、マークアップではナビゲーションメカニズムとしてグループ化されていないリンクのグループをチェック (4.1) したり制作者に要求 (3.2) したりすることは、要求度 3 にとどまる。
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この文書にあるチェックポイントが WCAG 1.0 [WCAG10] を参照するとき、そのオーサリングツールによってサポートされ、あるいは自動的に生成されるコンテンツに言及する WCAG 1.0 チェックポイントだけが適用される。適用可能な WCAG 1.0 チェックポイントのなかには、(制作者の関与なしに)自動的に満たされるものがあるかもしれないが、プロンプトやドキュメンテーションの形式で、人間の判断やツールからのサポートを必要とするものもある。ツールが違えば、同じチェックポイントの満たしかたも違うことがある。
それぞれの優先度レベルは、制作者が、必ずしもそのオーサリングツールの熟達したユーザであるとは限らないが能力のあるユーザではあり、またアクセシビリティの知識をほとんどあるいは全く持っていないという前提に基づいて選ばれている。たとえば、制作者は、ドキュメンテーションのすべてを読んでいるとは期待されないが、アシスタンス用の文書を活用する方法は知っているものと期待される。
この節は、あるオーサリングツールがこの文書に適合しているという正当な主張をする方法を説明するものである。主張は誰がしてもかまわない (例. 自身の製品についてベンダーが、それらの製品について第三者が、製品についてジャーナリストが、など)。主張は、他のどこか (例. ウェブ上や製品のドキュメンテーションの中) で公表してもかまわない。
主張者は、その主張と、適合性アイコンの使用とについてのみ責任を負う。主張の主体 (すなわちソフトウェア) が主張の日付より後に変化した場合には、主張者はその主張を更新する責任がある。主張者は、利用可能な最も新しいガイドラインに適合するよう奨励される。
適合度アイコンについての詳細は、ウェブ上で提供されている ([CONFORMANCE] を参照すること)。
適合主張は、どの適合レベルに沿っているのかを示さなければならない。
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適合レベル "シングルA": 優先度 1 のチェックポイント (関連優先度チェックポイントを含む。) がすべて満たされている。
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適合レベル "ダブルA": 優先度 1, 2 のチェックポイント (関連優先度チェックポイントを含む。) がすべて満たされている。
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適合レベル "トリプルA": 優先度 1, 2, 3 のチェックポイント (関連優先度チェックポイントを含む。) がすべて満たされている。
註: 適合度レベルは、音声としてレンダリングされたときに理解できるよう、テキストで綴られる (例. "AA" ではなく "ダブルA")。
形式適合な主張には、以下の情報が含まれていなければならない。
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ガイドラインのタイトル/バージョン: "オーサリングツール アクセシビリティガイドライン 1.0";
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ガイドラインのURI: http://www.w3.org/TR/2000/REC-ATAG10-20000203;
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満たしている 適合度レベル : "シングルA", "ダブルA", "トリプルA".
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その主張によってカバーされるソフトウェアのバージョン番号とオペレーティングシステム。また、何かのアップグレードやプラグインが要求されるかどうかも示すこと。
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主張の日付.
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選ばれた適合性レベルのチェックポイントのうちで、適用可能ではないと考えられるもの。主張者は、この目的のためにチェックリスト [ATAG10-CHECKLIST] を使うべきである。
この情報は、テキストやメタデータマークアップの中で提供してもかまわない (例. WAI 適合性主張のために設計されたリソース記述フレームワーク (RDF) [RDF10] と RDFスキーマとを使って)。その主張の中にあるコンテンツは、ウェブコンテンツ アクセシビリティガイドライン 1.0 [WCAG10] に従っておりアクセス性の高いものでなければならない。
こちらは、HTMLで表記された主張の一例である。
<p>MyOperatingSystem 用 MyAuthoringTool バージョン 2.3 は、http://www.w3.org/TR/2000/REC-ATAG10-20000203 で入手可能な<abbr title="the World Wide Web Consortium">W3C</abbr>の "オーサリングツール アクセシビリティガイドライン 1.0" のレベル ダブルAに適合している。この主張の詳細は <a href="http://somewhere.com/details">http://somewhere.com/details</a> で提供される。</p>
適合性主張は、つぎの場合に、与えられた適合度レベルに従い正当である。
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主張が形式適正であり、かつ、
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オーサリングツールがそのレベルのチェックポイントをすべて満たしている。
主張者 (または関連する保証者) は、主張の正当性についての責任を負う。この文書の公開の時点では、W3Cは保証者としして行動しないが、将来においてはそのような行動をするかもしれず、あるいは保証者のための勧告を確立するかもしれない。
主張者は、その主張が正当でないことが明らかにされた場合には、主張を修正または撤回することが期待される。主張を完全に自動的に検証することは現在のところは不可能であるのでご注意いただきたい。
適合性主張の一部として、ウェブサイトや製品パッケージ、デモンストレーションなどに適合性アイコンを使ってよい。適合性アイコン(適切な適合性レベルに従って選ばれる。)はそれぞれ、そのアイコンについてのW3Cの説明にリンクしなければならない。適合性アイコンがあることは、W3Cがその主張をレビューまたは検証したことを示すものではない。アイコンには形式適合な主張が随伴していなければならない。
ツールが自動的にマークアップを生成する場合には、多くの制作者は、最終的なコンテンツを検討して手作業で適切な修正をするところまで手間をかけるのでない限り、最終的なコンテンツのアクセシビリティ状態を意識しないであろう。多くの制作者はアクセシビリティに馴染みがないから、オーサリングツールはアクセス性の高いマークアップを自動的に生成し、また適切な箇所では、アクセス性の高いコンテンツを制作者が生産するよう誘導する責任がある。
多くのアプリケーションは、文書を他のフォーマット (例. リッチテキストフォーマット) から、HTMLといったような明確にウェブを意図したマークアップフォーマットへと変換する機能を配している。また、マークアップの変更は、効率的な編集や操作を促進するためになされることもある。ツールがマークアップの変更を制作者のビューから隠すときにはとりわけ、これらの処理によってアクセス性を欠くマークアップが導入されたり、アクセシビリティ内容が除去されたりしないことが不可欠である。
チェックポイント:
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1.1 制作者がアクセス性の高いコンテンツをそのツールがサポートしているマークアップ言語で生産できることを保証する。[優先度 1]
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チェックポイント 1.1 のためのテクニック
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1.2 ツールがオーサリングや変形、変換の間にアクセシビリティ情報をすべて保持することを保証する。[優先度 1]
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チェックポイント 1.2 のためのテクニック
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1.3 ツールが自動的にマークアップを生成するときには、それがW3Cのウェブコンテンツ アクセシビリティガイドライン 1.0 [WCAG10] に適合していることを保証すること。[関連優先度]
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チェックポイント 1.3 のためのテクニック
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1.4 ツールが用意するテンプレートがウェブコンテンツ アクセシビリティガイドライン 1.0 [WCAG10] に適合していることを保証する。[関連優先度]
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チェックポイント 1.4 のためのテクニック
標準規格に適合することは相互運用性を高め、また、障碍のあるユーザの必要を処理する特化されたユーザエージェントを作成しやすくすることによりアクセシビリティを高める。とりわけ、ブラウザやマルチメディアプレーヤと一緒に使われる多くの補助技術は、規則に適合したマークアップを用いたウェブ文書へのアクセスしか提供できない。したがって、規則に適合したマークアップは、オーサリングツールのアクセシビリティの本質的側面である。
適用可能な箇所ではW3C勧告を利用すること。この勧告は、アクセシビリティと相互運用性とを保証するためにレビューを受けているものである。適用可能なW3C勧告がない場合には、アクセシビリティを可能にする公表されている標準規格を利用すること。
チェックポイント:
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2.1 利用可能で作業に適しているときには、最新版のW3C勧告を利用すること。[優先度 2]
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W3C仕様書は、明確にアクセシビリティにおいて妥協せず、また可能な箇所ではアクセシビリティを拡張することを保証するためにレビューを受けているものである。
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チェックポイント 2.1 のためのテクニック
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2.2 規則に従ったマークアップをツールが自動的に生成することを保証すること。[優先度 1]
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これは、ユーザエージェントが特定のユーザの必要に応じた様式でウェブコンテンツをレンダリングできるために必要である。
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チェックポイント 2.2 のためのテクニック
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2.3 ツールによって生産されたマークアップがW3C仕様書に適合しない場合に、それを制作者に知らせること。[優先度 3]
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チェックポイント 2.3 のためのテクニック
しっかりと構造化された情報や等価な代替情報は、制作者の創造性を制約することなく、ユーザの必要にもっとも適した方法で情報を表現できるようにするものであり、アクセス性の高い設計の礎石である。しかし、画像の代替テキストやビデオの聴覚的解説といったような等価情報を生産することは、ウェブデザインのなかで最も骨の折れる側面であるから、オーサリングツールの開発者は、この処理の作業を促進し自動化するよう試みるべきである。たとえば、制作者に対して適時に等価テキストやキャプション, 聴覚的解説 といったような等価な代替情報を組み込むようプロンプトを出すことにより、制作者の面倒を著しく軽減することができる。そうした情報を機械的に決定して選択肢として制作者に提供できる箇所 (例. 自動生成ナビゲーションバーのアイコンの機能や、辞書にある頭字語の展開) では、ツールは制作者を補助することができる。同時に、ツールは、そうした情報の必要性や、それがそれぞれの実例において適切に使われていることを保証する際の制作者の役割を強化することができる。
チェックポイント:
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3.1 制作者に対して等価な代替情報 (例. ビデオのキャプションや聴覚的解説 , 噛み合いテキスト字幕) をつけるよう制作者に対してプロンプトを出すこと。[関連優先度]
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註: ウェブコンテンツ アクセシビリティガイドライン 1.0 [WCAG10] のチェックポイントのなかには、てはまらないものがあるかもしれない。
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チェックポイント 3.1 のためのテクニック
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3.2 制作者が構造化されたコンテンツを作成し、情報をその表現から分離するのを手助けすること。[関連優先度]
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註: ウェブコンテンツ アクセシビリティガイドライン 1.0 [WCAG10] のチェックポイントのなかには、てはまらないものがあるかもしれない。
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チェックポイント 3.2 のためのテクニック
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3.3 同梱されたコンテンツがウェブコンテンツ アクセシビリティガイドライン 1.0 [WCAG10] に適合していることを保証すること。[関連優先度]
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たとえば、同梱されているムービーと一緒に、キャプションや聴覚的解説 、噛み合いテキスト字幕を組み込む。チェックポイント 3.4 も参照すること。
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チェックポイント 3.3 のためのテクニック
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3.4 等価代替物を自動的に生成しないこと。機能が確実にわかっているときを除き、以前に制作された代替物を制作者の確認なしに再利用しないこと。[優先度 1]
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たとえば、画像の等価テキストを求めて制作者に対してプロンプトを出す。制作者が既に他の文書で使われている同じ画像に等価テキストを付けている場合には、そのテキストの再利用を提案し、制作者に確認のプロンプトを出す。ツールが自動的に「検索」アイコンを生成する場合には、以前に制作されたそのアイコンの等価テキストを自動的に再利用するのが適切であろう。チェックポイント 3.3 やチェックポイント 3.5 も参照すること。
註: 人間が制作した等価代替物をオブジェクトについて利用できることがある (たとえば チェックポイント 3.5 および/または チェックポイント 3.3 を通じて)。ツールがこれをデフォルトとして制作者に提示するのが適切である。
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チェックポイント 3.4 のためのテクニック
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3.5 マルチメディアオブジェクトの等価代替物を管理し、編集し、再利用する機能を用意すること。[優先度 3]
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註: これらの等価代替物は、ツールと同梱されていてもよいし、制作者が書いたりウェブから取り出したりなどしたものでもかまわない。
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チェックポイント 3.5 のためのテクニック
多くのオーサリングツールは、制作者が、基礎にあるマークアップについてほとんどあるいは全く知識がないまま文書を作成できるようにしている。アクセシビリティを保証するためには、オーサリングツールは (可能な箇所では自動的に) アクセス性を欠くマークアップを特定識別して、マークアップそのものは制作者から隠されているときでもその訂正が可能であるよう設計されなければならない。
オーサリングツールがアクセス性の高いウェブコンテンツの作成をサポートする際には、いろいろなオーサリングスタイルを考慮に入れるべきである。通常の作業パターンを支援するようツールのアクセシビリティ機能を制御できる制作者は、アクセス性の高いオーサリング慣習 (ガイドライン 5 参照。) を受け入れる可能性が高い。たとえば、制作者のなかには、アクセシビリティ問題を発生時に警告されることを好むものもいるかもしれない一方、編集セッションの最後にチェックを実行する方が好みであるものもいるかもしれない。これは、正しいコードのチェックを編集中にするかコンパイル時にするかをユーザが決定できるようにしたプログラミング環境に似ている。
註: マークアップの検証は、コンテンツのアクセシビリティチェックの不可欠な側面である。
チェックポイント:
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4.1 アクセシビリティ問題をチェックし、制作者に知らせること。[関連優先度]
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註: アクセシビリティ問題は、可能な箇所では自動的に検知されるべきである。これが不可能な箇所では、ツールは制作者に対して、決定をしたり、一定の型の問題を手作業でチェックするようプロンプトを出す必要があるかもしれない。
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チェックポイント 4.1 のためのテクニック
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4.2 制作者がアクセシビリティ問題を訂正する補助をすること。[関連優先度]
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最低限、チェックポイント 4.1 で要求されているアクセシビリティチェックには、文脈を反映するヘルプを用意すること。
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チェックポイント 4.2 のためのテクニック
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4.3 ツールが認識しないマークアップは制作者が保持できるようにすること。[優先度 2]
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註: アクセシビリティを拡張するけれどもツールが認識できないマークアップを制作者が組み込んだりインポートしたりしていることがある。
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チェックポイント 4.3 のためのテクニック
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4.4 文書のアクセシビリティ状態を要約したものを制作者に提供すること。[優先度 3]
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チェックポイント 4.4 のためのテクニック
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4.5 制作者が、構造を伝達するために誤用されている表現マークアップを構造マークアップに変形したり、スタイルのために使われている表現マークアップをスタイルシートに変形できるようにすること。[優先度 3]
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チェックポイント 4.5 のためのテクニック
適切な統合を欠いたままで既存のソフトウェアに新しい機能が追加されると、明らかな不連続という結果になることがよくある。カラースキームやフォント、相互作用のスタイル、ソフトウェアの安定性でさえも、それが変わると制作者の新しい機能の受容に影響する要因となりうる。さらに、同じ仕事を実現するためのいろいろな方法の目立ち具合の相対関係は、制作者がそのうちどれを選ぶかということに影響しうる。したがって、オーサリングツールを使っているときに、アクセス性の高いコンテンツを作成することが自然な過程であることが重要である。
チェックポイント:
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5.1 アクセス性の高いオーサリング慣習に関連する機能が、ツールの全体的なルック=アンド=フィールに統合されていることを保証すること。[優先度 2]
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チェックポイント 5.1 のためのテクニック
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5.2 ウェブコンテンツ アクセシビリティガイドライン 1.0 [WCAG10] の優先度 1 のチェックポイントをサポートするアクセス性の高いオーサリング慣習が、最も目立っていて制作者が簡単に始動させるものであることを保証すること。[優先度 2]
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チェックポイント 5.2 のためのテクニック
ウェブ制作者は、ウェブコンテンツを作成するときに生起するアクセシビリティ問題に馴染みがないかもしれない。したがって、ヘルプやドキュメンテーションはアクセシビリティ問題の説明を含んでいなければならず、また用例付きの解決策を提示するものであるべきである。
チェックポイント:
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6.1 アクセス性の高いコンテンツの生産を促進する機能をすべてドキュメント化すること。[優先度 1]
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チェックポイント 6.1 のためのテクニック
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6.2 アクセス性の高いコンテンツを作成することが、用例を含め、ドキュメンテーションの一部として自然に統合されていることを保証すること。[優先度 2]
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チェックポイント 6.2 のためのテクニック
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6.3 アクセシビリティ専門の節の中に、アクセス性の高いコンテンツの生産を促進するツールの機能をすべてドキュメント化すること。[優先度 3]
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チェックポイント 6.3 のためのテクニック
オーサリングツールは標準的なユーザインターフェイス要素をもつプログラムであり、そうすると、関連するユーザインターフェイスのアクセシビリティガイドラインに従って設計されなければならない。カスタムインターフェイスコンポーネントが作成されるときには、補助技術を一緒に利用できるよう、関連プラットフォーム用の標準的なアクセスメカニズムを通じてアクセスできるものであることが不可欠である。
追加的なユーザインターフェイス設計上の考慮事項は、明確にウェブオーサリングツールに適用される。たとえばオーサリングツールは、編集は(編集ビューで)あるスタイル選好のセットを用いてすることができ、公開は違ったスタイルを用いてすることができることを保証しなければならない。目の見えにくい制作者は、編集のときには大きいテキストが必要だが、公開はそれより小さいデフォルトのテキストサイズでしたいと思うかもしれない。編集ビューのスタイル選好は、公開される文書のマークアップに影響を及ぼしてはならない。
オーサリングツールはまた、障碍の有無に拘わらず、制作者が編集註に文書を効率的にナビゲートできることを保証しなければならない。スクリーンリーダや消去可能点字ディスプレイ、スクリーン拡大器を利用している制作者は、文書の構造とコミュニケートし、トラバースの際には標識として働くグラフィカルな構造物を (利用できたとしても) 限られた利用しかできない。マウスを利用できない制作者 (例. 身体障碍のある人々や目の見えない人々) は、もっと効率的なナビゲーション手段が利用できるのでない限り、ほしいコンテンツにアクセスするために、1ステップずつ文書をずっと移動するという遅くて退屈な過程を利用しなければならない。したがって、オーサリングツールは、全体的な構造の意味を伝達し、構造化されたナビけーしょんを可能にする編集ビューを用意するべきである。
註: ドキュメンテーションやヘルプファイル、インストレーションは、ソフトウェアの一部であるから、アクセス性の高い形式で利用できる必要がある。
チェックポイント:
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7.1 適用可能なオペレーティングシステムやアクセシビリティ規格、慣習をすべて利用すること。(アクセシビリティにとって不可欠な標準規格や慣習は 優先度 1, アクセシビリティにとって重要な標準規格や慣習は 優先度 2, アクセシビリティにとって役に立つものは優先度 3.)
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このチェックポイントのためのテクニックには、数多くのプラットフォームについてのチェックリスト集やガイドライン集への参照だとか、アクセス性の高いアプリケーションについての一般ガイドラインとかが組み込まれている。
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チェックポイント 7.1 のためのテクニック
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7.2 制作者が編集ビューの中で文書マークアップに影響を及ぼさずに表現を変更できるようにすること。[優先度 1]
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このことにより、公開されるときの文書のレンダリングのされ方を変えないで、制作者が個人的な要求事項に従って文書を編集することが可能になる。
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チェックポイント 7.2 のためのテクニック
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7.3 アクセス性の高い様式で、生産者が、それぞれの要素やオブジェクトのプロパティをすべて編集できるようにすること。[優先度 1]
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チェックポイント 7.3 のためのテクニック
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7.4 編集ビューにより、アクセス性の高い様式で、文書の構造を経由したナビゲーションが可能となることを保証すること。[優先度 1]
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チェックポイント 7.4 のためのテクニック
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7.5 アクセス性の高い様式で文書の構造の編集ができるようにすること。[優先度 2]
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チェックポイント 7.5 のためのテクニック
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7.6 制作者が編集ビューの中で検索をできるようにすること。[優先度 2]
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チェックポイント 7.6 のためのテクニック
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アクセシビリティ (Accessibility) または アクセス性の高い (Accessible)
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このガイドラインでは、「アクセス性の高いウェブコンテンツ」や「アクセス性の高いオーサリングツール」とは、障碍の有無に拘わらず人々が使うことのできるコンテンツやツールをいう。
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オーサリングツール設計に関係するアクセシビリティ問題を理解するには、多くの制作者があなたとは全く違った文脈でコンテンツを作成しているかもしれないことを配慮してみること。
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簡単にはあるいは全く、目が見えなかったり、耳が聞こえなかったり、体を動かせなかったり、ある型の情報を処理することができないかもしれない。
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テキストを読んで理解するのに難があるかもしれない。
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キーボードやマウスを持っていなかったり使えなかったりするかもしれない。
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ディスプレイがテキスト専用であったり、スクリーンが小さかったりするかもしれない。
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アクセス性の高い設計は、このいろいろなオーサリングのシナリオにおいて人々の役に立つであろうし、また身体障碍はないが同様の必要性を有する多数の人々の役にも立つであろう。たとえば、騒々しい環境で作業していて、音声情報の代替表現を必要とする人がいるかもしれない。同様に、目が忙しい環境で作業していて、目で見ることのできない情報の等価音声を必要とする人がいるかもしれない。小さいモバイルデバイス(スクリーンが小さくてキーボードやマウスがない。)のユーザは、障碍のあるユーザに類似した機能的な必要性を有する。
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アクセシビリティ情報 (Accessibility Information)
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「アクセシビリティ情報」とは、文書のアクセシビリティを向上させるために使われる情報やマークアップなどのコンテンツである。アクセシビリティ情報としては、等価代替情報があるが、これに限られるものではない。
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アクセシビリティ問題 (Accessibility Problem) または アクセス性を欠くなマークアップ (Inaccessible Markup)
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アクセス性を欠くウェブコンテンツやオーサリングツールは、障碍のあるユーザのなかには、それを使うことができないユーザもいる。ウェブコンテンツ アクセシビリティガイドライン 1.0 [WCAG10] が、アクセス性の高いウェブコンテンツを作成する方法を説明している。
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アクセス性の高いオーサリング慣習 (Accessible Authoring Practice)
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「アクセス性の高いオーサリング慣習」はウェブコンテンツのアクセシビリティを向上させる。制作者もツールもともに、アクセス性の高いオーサリング慣習に携わる。たとえば、制作者は、明快な文章を書き、コンテンツを構造化し、ナビゲーション補助を用意する。ツールは、規則に適合したマークアップを自動的に生成し、また制作者が適切な等価代替物を用意し管理するのを補助する。
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アラート (Alert)
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「アラート」は、イベントや状況に対して制作者の注意を引くものである。制作者からの応答を要求することもある。
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代替情報 (Alternative Information) または 等価代替物 (Equivalent Alternative)
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あるコンテンツと他のコンテンツとが、ユーザに対する表現に関して本質的に同じ機能や目的を満たすとき、コンテンツは他のコンテンツと「等価」である。一定の型のコンテンツ (例. ビデオ、画像、音声など) はすべてのユーザにとってアクセス可能なものとは限らないから、アクセス性の高いオーサリング慣習において等価代替物は重要な役割を果たす。テキストは、視覚障碍や学習障碍のある人物のために合成音声として、また、目が見えない人物のためには点字として、耳が聞こえない人物や障碍のない人物のためにはグラフィカルなテキストとしてレンダリングすることができるから、制作者は、非テキストコンテンツに等価テキストを用意することが奨励される。等価代替物についての詳しい情報は、ウェブコンテンツ アクセシビリティガイドライン WCAG 1.0 [WCAG10] を参照いただきたい。
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属性 (Attribute)
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この文書は「属性」という用語を、SGMLやXML ([XML]) で用いられているとおりのものとして用いる。要素型は任意の数の属性をもつものとして定義してよい。属性のなかには、コンテンツのアクセシビリティにとって肝要なものがある。(例. HTMLの
"alt"
属性, "title"
属性, "longdesc"
属性).
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聴覚的解説 (Auditory Description)
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「聴覚的解説」とは、ビデオの中のアクションやボディランゲージ、グラフィック、情景変化についての情報を提供するものである。聴覚的解説は、低帯域用の等価物としてウェブ上で使われることもあるが、普通は目が見えず、あるいは目が見えにくい人々によって利用される。聴覚的解説は、前もって録音された人間の声であることもあるし、合成音声 (前もって録音されたものもリアルタイムに自動生成されるものもある。) であることもある。聴覚的解説は、ビデオ表現のオーディオトラックと同期していなければならず、たいていはオーディオトラックでの自然な停止の間に置かれる。
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オーサリングツール (Authoring Tool)
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「オーサリングツール」とは、ウェブ上で公開するためのコンテンツを生産するために使われる任意のソフトウェアである。オーサリングツールにはつぎのものがある。
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明確にウェブコンテンツを生産するよう設計されている編集ツール (例. WYSIWYG HTMLエディタやXMLエディタ)
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ウェブフォーマットで素材を保存するオプションを提供するツール (例. ワードプロセッサやデスクトップパブリッシング パッケージ)
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ウェブフォーマットへ文書を変形するツール (例. デスクトップパブリッシング用フォーマットをHTMLに変形するフィルタ)
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特にウェブ上での利用が予定されているところでマルチメディアを生産するツール (例. ビデオ制作編集スイート、SMIL制作パッケージ)
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サイトの管理やサイトの公開のためのツール。これには、ウェブサイトをデータベースからオン=ザ=フライ変換で動的に自動生成するツールや、ウェブサイト パブリッシングツールがある。
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レイアウト管理のためのツール (例. CSSフォーマッティングツール)
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キャプション (Captions)
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「キャプション」は、不可欠な、ムービー音声の等価テキストである。キャプションは、ムービー (またはその他のビデオ表現物) やオーディオトラックと同期した、オーディオトラックのテキスト字幕からなる。キャプションは一般にグラフィック的にレンダリングされ、目は見えるが耳が聞こえなかったり聞こえにくかったりする人々や、音声を聞くことのできない人々の役に立つ。
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変換ツール (Conversion Tool)
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「変換ツール」とは、あるフォーマットから (マークアップ言語といったような) 他の言語へとコンテンツを変形するアプリケーションまたはアプリケーション機能 (例. 「HTMLとして保存する」) である。
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チェックする (Check for)
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チェックポイント 4.1 で使われているとおり、「チェックする」とは3つの型のチェックを指すことができる。
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場面によっては、オーサリングツールが自動的にアクセシビリティ問題をチェックすることができるであろう。たとえば、規則適合性のチェック (チェックポイント 2.2) や、画像がリンクの唯一の内容であるかどうかのテストがそうである。
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場合によっては、問題があることをツールが「疑う」ことや「推測する」ことはできるが、制作者からの確認を必要とすることがあろう。たとえば、意味のある読み順が残っていることを確認するときには、ツールは制作者に対して、一次元化したバージョンのページを提示するのがよい。
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場合によっては、ツールがほとんど制作者に頼らなければならず、制作者にチェックを求めることしかできないことがある。たとえば、ツールは、マルチメディアの等価代替物が適切であることを確認するため、制作者にプロンプトを出すかもしれない。これは満たすべき最小限の基準である。徹底的であるよりも微妙なプロンプトの方が、自動的にアクセシビリティを確認できないところで制作者に対してアクセシビリティを確認することを奨励する上で効果的なことが多い。
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文書 (Document)
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「文書」とは、マークアップ言語 (例. HTML 4 やXMLアプリケーション) によって定義される要素の連なりである。
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編集ビュー (Editing View)
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「編集ビュー」とは、編集を可能にするオーサリングツールによって提供されるビューである。
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要素 (Element)
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「要素」とは、たとえばキャラクタや単語、画像、段落、スプレッドシートのセルといった、文書内部で特定識別可能な任意のオブジェクトである。[HTML4] や [XML] では、要素とは、一対のタグとその内容、あるいは「空」タグ - 閉じタグや内容を必要としないもの - をいう。
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知らせる (Inform)
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「知らせる」とは、アラートやプロンプト、サウンド、点滅その他の手段を通じて、制作者をイベントや状況に気づかせることである。
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マークアップ言語 (Markup Language)
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制作者は、HTML [HTML4] やSVG [SVG], MathML [MATHML] といったような「マークアップ言語」を用いて情報をエンコードする。
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表現マークアップ (Presentation Markup)
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「表現マークアップ」とは、内容について欲する表現やレイアウトについての情報をエンコードするマークアップ言語である。たとえば、カスケーディングスタイルシート ([CSS1], [CSS2]) を使って、フォントや色、音声レンダリング、グラフィック的な位置決めを制御することができる。表現マークアップは、構造マークアップの代わりとして構造を伝達するのに使われるべきものではない。たとえば、制作者は、適切なリストマークアップを用いてHTMLでリストをマークアップし、CSSを用いてスタイル付け (例. 間隔の制御、マーカー、番号付けなど) をするべきである。制作者は、リストに似せて内容をグラフィック的にレイアウトするために他のCSSやHTMLを誤用するべきではない。
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プロンプト (Prompt)
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「プロンプト」とは、情報か決定かの入力を制作者に要求するものである。プロンプトは制作者の応答を要求する。たとえば、等価テキスト入力フィールドが画像挿入ダイアログの中に目立つように表示されていれば、それはプロンプトを構成する。プロンプトを使うと、コンテンツをアクセスしやすくするために必要とされる(alternative 等価テキストといったような)情報をつけるよう制作者に奨励することができる。
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プロパティ (Property)
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「プロパティ」とは、たとえば構造情報 (例. リストの中で7番目の項目であること、プレーンテキストであること。) や表現情報 (例. 太字と指定されていること、フォントサイズが 14 であること。) といった、要素についての情報の断片である。XMLやHTMLでは、要素のプロパティとしては、その要素の型 (例.
IMG
や DL
)、その属性の値、スタイルシートを用いて結びつけられている情報がある。データベースでは、特定の要素のプロパティには、エントリの値や、そのエントリについて受付可能なデータ型が含まれることがある。
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構造マークアップ (Structural Markup)
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「構造マークアップ」とは、そのコンテンツの要素の構造上の役割についての情報をエンコードするマークアップ言語である。たとえば、見出しや節、リストのメンバー、複雑な図の構成部分は、構造マークアップを用いて特定識別することができる。表現やレイアウトを制御するために構造マークアップを誤用するべきではない。たとえば、制作者は、インデントという視覚的なレイアウト効果を実現するためにHTML [HTML4] の
BLOCKQUOTE
要素を使うべきではない。構造マークアップはコンテンツの要素の役割をやりとりするために正しく使われるべきであり、表現やレイアウトを制御するには別個に表現マークアップを使うべきである。
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字幕 (Transcript)
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「字幕」とは、オーディオクリップやマルチメディア表現物のオーディオトラックの音声をテキストで表現したものである。ビデオの「噛み合いテキスト字幕」は、キャプションテキストを、ビデオ情報の解説テキスト (ビジュアルトラックのアクションやボディランゲージ、グラフィックス、情景変化を説明したもの) に組み合わせる (噛み合わせる)。噛み合いテキスト字幕は、目が見えず耳も聞こえず、ムービーやその他のコンテンツへのアクセスには点字に頼っている人物にとっては不可欠である。
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変形 (Transformation)
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「変形」とは、離散的なルールのセットに従い、文書やオブジェクトを他の等価なオブジェクトに変化させる処理である。ここには、変換ツールや、制作者が元の文書について定義されているDTDを他のDTDに変えられるようにするソフトウェア、リストのマークアップを変化させてテーブルに変換する機能が含まれる。
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ユーザエージェント (User Agent)
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「ユーザエージェント」とは、ウェブコンテンツを引き出してレンダリングするソフトウェアである。ユーザエージェントとしては、ブラウザや、特定のメディア型のためのプラグイン、いくつかの補助技術がある。
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ビュー (View)
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オーサリングツールは、同じコンテンツをさまざまな方法でレンダリングすることがある。それぞれのレンダリングが「ビュー」と呼ばれる。オーサリングツールの中には、数個の異なる型のビューを有するものもあるだろうし、一度に数個の文書のビューが可能なものもあるだろう。たとえば、あるビューが生のマークアップを表示し、二つ目が構造樹を表示し、三つ目がレンダリングされているオブジェクトのマークアップを表示し、最後のビューは、その文書が特定のブラウザによってレンダリングされるとどのように見えるかについての例を表示するというものであるかもしれない。グラフィック環境においてビューを区別するための典型的な方法は、それぞれを別個のウインドウの中に置くことである。
レビューとコメントとを通じてご協力くださった以下の方々に心から感謝する。Jim Allan, Denis Anson, Kitch Barnicle, Kynn Bartlett, Harvey Bingham, Judy Brewer, Carl Brown, Dick Brown, Wendy Chisholm, Aaron Cohen, Rob Cumming, Daniel Dardailler, Mark Day, BK Delong, Martin Dürst, Kelly Ford, Jamie Fox, Edna French, Sylvain Galineau, Al Gilman, Jon Gunderson, Eric Hansen, Phill Jenkins, Len Kasday, Brian Kelly, Marja-Riitta Koivunen, Sho Kuwamoto, Jaap van Lelieveld, Susan Lesch, William Loughborough, Greg Lowney, Karen McCall, Thierry Michel, Charles Oppermann, Dave Pawson, Dave Poehlman, Loretta Reid, Bruce Roberts, Chris Ridpath, Gregory Rosmaita, Bridie Saccocio, Janina Sajka, John Slatin, Jim Thatcher, Ir鈩e Vatton, Gregg Vanderheiden, Pawan Vora, Jason White, Lauren Wood.
W3C仕様書の最新バージョンが必要ならば、http://www.w3.org/TR にあるW3Cテクニカルレポートのリストを参照されたい。
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[ATAG10-CHECKLIST]
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この文書の付録では、チェックポイントがすべて優先度順に並べて列挙されている。チェックリストは、テーブル形式 (http://www.w3.org/TR/2000/REC-ATAG10-20000203/atag10-chktable) と リスト形式 (http://www.w3.org/TR/2000/REC-ATAG10-20000203/atag10-chklist) とのどちらでも入手できる。
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[ATAG10-TECHS]
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"Techniques for Autoring Tool Accessiblity Guidelines 1.0", J. Treviranus, J. Richards, I. Jacobs, C. McCathieNevile 編. 最新版は http://www.w3.org/TR/ATAG10-TECHS で入手できる。
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[CONFORMANCE]
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"Conformance icons for ATAG 1.0". ATAG 1.0 適合性アイコンについての情報は http://www.w3.org/WAI/ATAG10-Conformance で入手できる。
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[CSS1]
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"CSS, level 1 Recommendation", B. Bos, H. Wium Lie 編. 1996年12月17日. 1999年1月11日改訂. このCSS1勧告は http://www.w3.org/TR/1999/REC-CSS1-19990111 である。CSS1の最新版は http://www.w3.org/TR/REC-CSS1 で入手できる。註: CSS1はCSS2によって取って代わられている。ツールはCSS2カスケードを実装するべきである。
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[CSS2]
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"CSS, level 2 Recommendation", B. Bos, H. Wium Lie, C. Lilley, I. Jacobs 編. 1998年5月12日. このCSS2勧告は http://www.w3.org/TR/1998/REC-CSS2-19980512 である。CSS2の最新版は http://www.w3.org/TR/REC-CSS2 で入手できる。
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[HTML4]
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"HTML 4.01 Recommendation", D. Raggett, A. Le Hors, I. Jacobs 編. 1999年12月24日. この HTML 4.01 勧告は http://www.w3.org/TR/1999/REC-html401-19991224 である。HTML 4 の最新版は http://www.w3.org/TR/html4 で入手できる。
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[MATHML]
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"Mathematical Markup Language", P. Ion, R. Miner 編. 1998年4月7日. 1999年7月7日改訂. この MathML 1.0 勧告は http://www.w3.org/TR/1998/REC-MathML-19990707 である。MathML 1.0 の最新バージョンは http://www.w3.org/TR/REC-MathML で入手できる。
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[RDF10]
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"Resource Description Framework (RDF) Model and Syntax Specification", O. Lassila, R. Swick 編. 1999年2月22日勧告は http://www.w3.org/TR/1999/REC-rdf-syntax-19990222 である。RDF 1.0 の最新版は http://www.w3.org/TR/REC-rdf-syntax で入手できる。
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[SVG]
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"Scalable Vector Graphics (SVG) 1.0 Specification (ワーキングドラフト)", J. Ferraiolo 編. SVG仕様書の最新版は http://www.w3.org/TR/SVG で入手できる。
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[UAAG10-TECHS]
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"Techniques for User Agent Accessibility Guidelines 1.0", J. Gunderson, I. Jacobs 編. ユーザエージェント アクセシビリティガイドライン 1.0 用テクニック集の最新版は http://www.w3.org/TR/UAAG10-TECHS/ で入手できる。
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[WCAG10]
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"Web Content Accessibility Guidelines 1.0", W. Chisholm, G. Vanderheiden, I. Jacobs 編. 1999年5月5日. この勧告は http://www.w3.org/TR/1999/WAI-WEBCONTENT-19990505 である。ウェブコンテンツ アクセシビリティガイドライン 1.0 の最新版は http://www.w3.org/TR/WCAG10/ で入手できる。
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[WCAG10-TECHS]
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"Techniques for Web Content Accessibility Guidelines 1.0", W. Chisholm, G. Vanderheiden, I. Jacobs 編. ウェブコンテンツ アクセシビリティガイドライン 1.0 用テクニック集の最新版は http://www.w3.org/TR/WCAG10-TECHS/ で入手できる。
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[XML]
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"The Extensible Markup Language (XML) 1.0", T. Bray, J. Paoli, C. M. Sperberg-McQueen 編. 1998年2月10日. この XML 1.0 勧告は http://www.w3.org/TR/1998/REC-xml-19980210 である。XML仕様書の最新版は http://www.w3.org/TR/REC-xml で入手できる。