ビジネスパーソンは毎日、多大なるプレッシャーにさらされている。ストレスとの付き合い方は、パフォーマンスを左右するといっても過言ではない。数ある心理学の研究成果から筆者が選りすぐった、「9つのストレス対処法」を紹介する。


 あなたはストレスを感じているだろうか? もちろん、そうだろう。多すぎる仕事を抱え、期日に追われ、人々から当てにされている。そして何より、クリスマス用の買い物がまだ済んでいない。プレッシャーにさいなまれ、自分の仕事の質が落ちているのではないかと思うこともあるだろう。

 それが現代の仕事と生活である。この時代にはどんな職種でも、程度の差はあれ強いストレスを頻繁に感じないでいることは不可能だ。成功している人々とそうでない人々の違いは、ストレスを「感じているか否か」ではなく、ストレスに「どう対処しているか」である。

 私が以前に書いた「目標達成の極意:行動力が変わる9つのコツ」に倣い、ストレスに見舞われた時の対処法として、有効性が科学的に実証されている9つの方法を紹介しよう。

(1)自分への思いやりを持つ

自分への思いやり」とはひとことで言えば、しばし息抜きをすることである。自分の過ちや失敗を、優しさと理解を持って受け止める態度であり、厳しく自己批判したり神経質になったりするのを避けることだ。複数の研究によれば、自分を思いやる人はより高い幸福感を持ち、より楽観的で、不安や憂鬱が少ない(関連論文)。

 ここまでは意外ではないと思うであろうが、驚くべきは、自分を思いやる人は成功する確率も高いということだ。多くの人々は、自分に厳しくなければ最大の成果を上げられないと考えてしまうが、それは完全に間違いであることが研究でわかっている。

 最大の困難に直面した時に自分を大事にすれば、ストレスを軽減できるだけでなく、過ちから学ぼうとする態度が強くなる。それがパフォーマンスを高めるのだ。したがって「人間は間違えるもの」だということを忘れず、休み休み行こう。

(2)「大局(Big Picture)」を忘れないようにする

 あなたがやるべきこと、やりたいことは何であれ、複数の観点から見ることができる。たとえば「運動」なら、大局的な見方をすれば「健康の促進」と表現できる――つまり運動する「理由」だ。もっと具体的に「2マイル走る」と言うこともできる――こちらは運動する「方法」である。

 自分の仕事を大局的に捉えることによって、ストレスや課題に直面した時に、活力を大いに高められる場合がある(関連論文)。特定の行為(多くの場合、些細な行為)を、より大きな意味や目的に結びつけることができるからだ。

 重要にも有益にも思えない何かが、別の視点から見ることで新たな意義を持つようになる。したがって、へとへとに疲れた日の終わりにさらに残業する時は、「あと1時間、メールへの返事に費やそう」ではなく、「自分のキャリアを前進させよう」と考えるようにすれば、もうしばらく腰を落ち着けて頑張る意欲が湧いてくるはずだ。