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本誌2013年10月号(9月10日発売)の特集は「顧客を読むマーケティング」。これに合わせ、HBR.ORGからマーケティングに関する記事10編をお届けする。第1回は、多すぎる情報と選択肢の弊害について。あらゆるニーズに応えようと豊富な選択肢を提供することは、かえって顧客の満足度を低下させるという。
バリー・シュワルツはその刺激的な著書The Paradox of Choice(邦訳『なぜ選ぶたびに後悔するのか』武田ランダムハウスジャパン)のなかで、製品の選択肢を増やせば増やすほど、購入における消費者の満足度は下がっていくと警告している。同書によれば、選択肢が多すぎると人は何かを見落とすのではないかと心配になり、それが不安や分析麻痺、後悔につながっていくという。
しかし、多くのマーケターはシュワルツの警告を退けてきた。今日の消費者は幅広い選択肢を期待しており、大量の情報を処理する方法も身につけていると考えているのだ。マーケター自身による調査も、これを裏付けることが多い。消費者はこの種の調査で質問を受けると、ほぼ常に「より多くの選択肢がほしい」と答えるのだ。さらに、購入しなかった客に理由を尋ねると、「ちょうどよい選択肢が見つからなかった」が上位に入る。消費者をがっかりさせ売上げを失うのを恐れるマーケターが、SKU(最小在庫管理単位)を削減したがらないのも無理はない。企業は、想像しうる限りのニーズに合うさまざまなニッチ商品を開発し続け、積極的に販促を行っている。
我々のコンサルティング会社、コーポレート・エグゼクティブ・ボード(CEB)は、この無限の選択肢が存在する世界における購買行動について調査を行った。世界各地の7000人を超える消費者にアンケートをとったところ、選択肢について人々は本当のところどう感じているのかについて、新たな理解が得られた(本調査の業界別の結果については、CEBウェブサイト内のディシジョン・シンプリシティ・リソースセンターからダウンロード可能)。