解説
著作者の死後70年を経過するまでが原則
著作権法は、著作者の権利を定め著作物を保護する一方で、一定期間を経過した後は権利を消滅させ、著作物を社会全体の共有物と位置づけ(このことを「パブリック・ドメイン」といいます)、誰でも自由に利用することができるようにしています。
日本では、著作権の原則的保護期間は、著作者が著作物を創作した時点から著作者の死後70年を経過するまでと定められています。
また、無名・変名の著作物、団体名義の著作物、映画の著作物の保護期間は、下の表のように定められています。
著作権の保護期間(第51条~第54条)
実名(周知の変名を含む)の著作物 | 死後70年 |
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無名・変名の著作物 | 公表後70年 (死後70年以内に公表されなければ、創作後70年) |
団体名義の著作物 | 公表後70年 (創作後70年以内に公表されなければ、創作後70年) |
映画の著作物 | 公表後70年 (創作後70年以内に公表されなければ、創作後70年) |
※保護期間の計算は、計算を簡便にするため、死亡、公表、創作の翌年の1月1日から起算することとされます(第57条)。また、著作権者に相続人がいないときは、保護期間中であってもその著作権は消滅します。
なお、これらは財産権としての著作権の保護期間であり、著作者人格権の保護期間は、著作者が死亡することにより消滅すると定められています。ただし、著作者人格権を侵害する行為は、著作者の死後も禁止されています(第60条)。
Q&A
- 手塚治虫さんの作品はいつまで保護されますか?
- 手塚治虫さんは1989年に亡くなられました。手塚治虫という名前はペンネームですが、周知の変名であるため、その作品は死後70年まで保護されます。つまり、1990年1月1日から起算して70年後の2059年12月31日まで保護されます。
- TPP協定の施行により著作権の保護期間が50年から70年に延長されましたが、延長される前に著作権が消滅している著作物の保護期間はどうなりますか?
- 著作権法においては、一度著作権が消滅した著作物については、その保護を後になって復活させるという措置は採らないという国際的なルールがあるため、TPP協定の施行により著作権の保護期間が延長された2018年12月30日の前日において著作権等が消滅していない著作物についてのみ保護期間が延長されています。したがって、この時点で著作権が消滅していた著作物については、保護期間は延長されていません。
- 共同著作物の保護期間はどのように計算するのですか?
- その著作物の著作者の中で最後に死亡した人の死亡時を基準に計算します(第51条第2項)。