TOPIC > ARTICLE
細金卓矢と杉山峻輔、tofubeats「No.1 feat.G.RINA」がいかに作られたかを語る
July 24, 2013(Wed)| Article by Akiko Saito
杉山峻輔(左)、細金卓矢(右)
撮影:@electine さん
撮影:@electine さん
アニメ「四畳半神話大系」のエンディング映像から「日本橋高架下R計画」、
NHK Eテレ「デザイン あ」などを手がけ、
新世代の映像作家として国内外から高い評価を受ける細金卓矢と、
グラフィックデザイナーとして数々のアーティストのアートワークを手がけ、
ビデオデッキを用いたVJを行う「VIDEOBOY」としても活動する杉山峻輔(スケブリ)。
同世代からあつい支持を得る、注目のクリエイター2人が共同監督した
tofubeatsのミュージックビデオ「No.1 feat.G.RINA」が公開され大きな話題となっている。
なんともいえない「よさ」を淡々とコレクションした映像は、一見なんということも無さそうだが、
普段見ている世界を、ありのまま姿以上でも以下でもないそのままに記録することは難しく、
編集を経てなおそれを保つのは並大抵のことではない。
果たしてどのようにこの奇跡のような作品が作られたのか、制作の裏側を聞いた。
映像のテンション
ーー「よさ」というものについては伊藤ガビンさん @gabin がズバッとお話されているので読者の方にはこちら(http://modernfart.jp/2013/07/9782/ )を読んで頂くとして、細金くんがRTしていたこの意見、すごく良くわかりました。
外国の人がアート寄りで日本を撮るとエキゾチックさ増し増しになるけど、実際テンションはこれぐらいですよと紹介したい "tofubeats – No.1 feat.G.RINA(official MV)" on Vimeo http://t.co/UAhcyDBUrt
— えふぇ (@effel_tou) July 12, 2013
細金:外国の人が日本に遊びに来て5Dで映像撮りました、みたいなジャンルがあるんですよ。さらにそれを日本人があえてやる、っていうジャンルもあって。雷門とか撮ってるんですよね。もう、そういうのいいんじゃないかって思ってて。外国の人に片言の日本語喋らせたらオシャレ、っていう価値観というか。
ーーありますね。vimeoが出て5Dが出て、それ以降数えきれないほど出てきました。
スケブリ:それ言うとPara OneのMVが、外人が撮ってるのにそういうのがあんまり出てないんだよ。
細金:あれはそうだね。敢えて普通に撮ろうとがんばってる。ひたすら素数を数えながら撮ってるような。本当は撮っちゃいたい、とかあるんだろうけど、あえてテンションを抑えてる。
スケブリ:「何か入れてやろう」って考えてない、みたいな。まあ、Para Oneは生まれがホンマモンの貴族らしいからね。たまに映画監督もやったりして。
ーーなるほど、映像のテンションの話ですか。そう言われると、この作品の根源にあるpokeやinstagramの映像というものも、基本はテンションが低いというか。
細金:他にもおばあちゃんが普通に生活してるシーンをただ5Dで撮ってる映像もあって。雑炊食べたりしてるのをただ撮ってたりする。5Dはマシンとしてスゴイから、外そうとしていくと、その機械でいかにダメなものを撮るかの戦いになってくるんですよ。
スケブリ:モチーフをいかに雑にするかが勝負になってくる。
細金:だから今回全然海外受けしてなくて。日本人だけなんですよ。それが面白い。
スケブリ:vimeo全然だもんね。
細金監督の【IA】日本橋高架下R計画
ーーvimeoで大人気の細金さんが。それは珍しい。
細金:やっぱり雷門とか入れないとダメだったのか。
スケブリ:スクランブル交差点の早送りとかね。新幹線、皇居、寺、お参りみたいな。
細金:申し訳程度にしか寺入ってないから。
ーーモチーフの問題なんですかね。
細金:ていうのはどうでもいいんですけど、個人的に作品の発表がソーシャルと切り離せなくなっちゃってるようなところを感じてるんですよね。「センスがいい俺」を見せるのが目的に見えるようなことも多い。だから映像を作る時に匿名性は意識していて、それが結果的にテンションの低さになってるような気はしてます。ふりがな振り過ぎというか、説明過多な作品は見てる人を信頼してない証だと思うので。
スケブリ:今回の作品にはメッセージとかないですから。
細金:意味で感動しましたっていう人はいない。
スケブリ:ここがよかったっていうのはあって、みんな違うのが面白い。
細金:そういえば昨日、目をデカくするプリクラのアイコンの人に「いい」ってRTされてて。これは一線を超えた、そこまでいったかと思ったね。
ーーそこに一線ありますよね。ていうかカンパニー松尾さんも言及してますからね。個人的には川内倫子さんの映像作品に通じる物があると思いましたけど、なんか今回はすごく映像のリアルさということについて考えさせられました。
どのようにしてNo.1は作られたのか
ーーそれでは作ったきっかけから。始まりは4年前なんですよね。その頃にトーフさんのMVを作り始めたものの頓挫し、今回違う曲で全然違う映像を納品したという伝説になっています。
細金:tofubeatsとは4年前から知り合いで。その時に作ってたのはモーショングラフィックスでした。なぜか広末涼子をひたすらちまちまトレースして。それもスタンプツールで1コマづつ境界線を作ったりしてたら、4年かかって15秒ぐらいしか出来なかった。その残骸はVJの素材に使ってるんですけど。
ーー見せて頂くと、これはこれでかっこいいような。
細金:今回の話でいうと、アルバムが出るので、トーフから「MVを作って欲しい」という依頼があったんです。候補曲が2曲あって、「No.1」は実写で、作らなかった方の曲はモーショングラフィックス系で、という依頼。面白そうなので「No.1」でやってみようと。
スケブリ:僕は細金くんから「tofubeatsのMVで”よさ”映像集を作りませんか」と誘われて、面白そうだなと思ったので参加しました。
ーースケブリくんは、デザイナーやビデオを使ったVJをされていますけど、映像制作の経験はあったんでしょうか?
スケブリ:VJをやっていると、イベントにゲストがいると映像を作らなくちゃいけない。だから5年くらい前にはモーションロゴをAEで作ってました。SO MEが好きだったから、フレンチっぽいうやつを。友達のバスケの撮影とか練習のところの映像も作ったりはしてました。
ーーノーCGですか。
細金:です。カラコレのみ。実写でまともに映像作るのはこれが初めてなのですが、新しい領域でやる時に今までやってきたことを安易に乗っけるような感じでに混ぜてしまうと面白くないなという気持ちがあるので。
スケブリ:CGは不用意に入れると下品な感じになるので、今回は使ってないです。
ーー共同演出はどのように行われたんでしょうか。
細金:映像の案出しを共同でやって、「どういう風にどんな画を撮るか」を僕が決めつつ、配置などのレイアウト的なところを「グラフィック的にちょっと見てよ」という雑な振りで頼んだりしました。
スケブリ:案出しは2人で。撮影は細金くんに任せて、自分は画面のレイアウトを見て修正するような感じで、お互い得意な所はおまかせスタイルです。あとはその場のノリで、「これやろうあれやろう」みたいになってたので、どっちがどっちかわからない部分も多いです。
ーーハイスピード映像にしようと決めたのはいつだったんですか?
細金:曲がスロー感があったのと、単純にカメラ(ソニーのFS700)が欲しかったから。いいカメラなんですよ。ハイスピード云々を抜きにしても。REDと迷ってこっちにしました。
ーーREDって200万円くらいするやつですよね。
細金:FS700は借りる事も可能でしたが、日常的に持っている事によってしか撮れないものに興味があったのでノリで買いました。あんま後悔してないです。そのほか、一部の小型レールを使ったカットはGH2のファームウェアをハックしたものを使っています。こちらは10秒しか撮れないという制約がある代わりに、画質が価格の割にめっちゃ奇麗という特徴があって、今回の企画にぴったりでした。
ーーアーティストの大島智子さんが出演されてて驚きました。
細金:大島さんは、dommuneで一緒の番組に出たのがきっかけでお会いして、その場でオファーして即OKをもらいました。最初は僕らが「tofubeatsのイベントとか街中でスカウトしようか」みたいな話も出てたんですがよくよく考えたら僕らにそのアプローチは無理なんですよね。
ーー女優としての大島智子さんはどうでしたか?
細金:大島さんも映像を作っているので、今回の企画はすぐ理解してもらえるなと思いました。何も説明しなくても伝わる、という点ですごく楽でした。演技指導みたいなことは(僕らに出来ないというのもあるのですが)していなくて、素というかお任せ状態です。スタイリストがいないから、「派手目な色の服で」と伝えたらそういうものを買っておいてくれたり。大島さんのキャラクターに映像の性質が自然と近づいて行ったところもあるかも。
スケブリ:後から考えると、出演者を決めた時点でいいものになるのが保証されてるやつでしたね。ジャケ作ってるときに感じる「こんなイイ写真が撮れたらあとは寝るだけ」みたいな感じです。
ーーそれでは実際の制作についてお聞きして行きたいと思います。とりあえず、ものすごく細かいカット割りですよね。
細金:最初はルノアールやらロイホでGoogleスプレッドシートに案を出しまくってその通りに撮影する、ということをやっていたのですが、実際撮り始めると、その場で事故的に「撮れてしまった」ものに良さがあることが多かった。なので、後半になればなるほど成り行きになっていきます。
スケブリ:計画して撮影した映像は4割くらいしか使わなかったのではないでしょうか。使用した映像の選別は、2人ともいいねって思うことが多かったのですんなり進みました。
ーー撮影にはどのくらいの期間がかかりましたか?
スケブリ:1ヶ月半くらいの期間で、2、3日に1回は大量の機材や撮影するモチーフを持って外をウロウロするというのを続けていました。
ーーロケした場所の数って覚えてますか?
細金:細かいところを入れると20箇所くらい?移動含めて3時間くらい掛けて0.5秒しか使わないみたいなのが結構多かったです。人数が少ないゆえの手際の悪さによって、1箇所で時間がすごくかかるのであまり1日でたくさんの場所を撮影できませんでした。
ーー撮影隊はどんな体制で行ったのでしょうか?
細金:最初はスケブリ君と二人で撮ってました。その後に大島さん、稲垣豪君という多摩美の学生さんもメンバーに加わりました。撮影は大島さんを含めこの4人でほとんど行っています。
スケブリ:稲垣くんの渉外力がすごくて、そのおかげでロケのOKをもらった場所も多かったです。稲垣くんは古屋蔵人さんの生徒なんですよ。
古屋蔵人(インタビューをしたボストーク社の自席で話を聞いていた編集者):あいつ学科が違うからモグリなんだけど。心が強いんだよ。
細金:MP(マジックポイント)が高い。
スケブリ:僕らMPないから。
細金:稲垣くんが結構いろいろ交渉してくれて。制作としてめっちゃ優秀だった。カプセルホテルは歌舞伎町で撮ったんですけど、果敢に電話して交渉して、お店の人と仲良くなっちゃったりする。タクシー、ガソリンスタンドもそうでしたね。
ーー撮影のエピソードがあったら教えて下さい。
細金:一番最初に撮ったのは公衆電話のシーン。誰も居ない公衆電話のドアが閉まるのを撮りたくて色々試してたら、慌てて物陰に隠れるところに良さがあったのでそのまま使いました。
スケブリ:一番大変だったのは将棋のシーンかな。
細金:駒を振って放り投げてカメラを上げながらピントをずらす..っていうのを撮影するのが難易度が高くて。投げる系は大体ひどかった。軍手を投げて打ち返すのも、20回ぐらいやってもらってて。
スケブリ:他にはビニール袋が飛ばないからすごい本気で上に投げたり。河原のシーンもあったね。細金くんが電車に乗って撮影して、僕が河原で待ってるんですけど。
細金:「いまから電車に乗ります」っていうLINEを送って、スケブリは写っちゃいけないから隠れて、ずっとタンバリンを叩いてもらったんです。
ーーあの方、素晴らしい存在感ですがどなたなんですか?
スケブリ:スカートというバンドの澤部さんです。バンドも最高なんですが、tumblrでタンバリンを叩く動画( http://www.youtube.com/watch?v=c4tUKk3UiTI )が流れてきてずっと撮りたいなと思っていたので、良い機会だと思ってお願いしたら快諾していただきました。
ーー何カットぐらいあるんでしょうか。
スケブリ:150〜200くらいあります。
細金:撮った素材はほぼ使ってるんですよ。ほぼぴったりくらい。一番おいしいところだけをつまんで、似たようなショットを没にしてる。
ーーそれで編集に入るわけですけど、編集はどうやって進めたんですか?
細金:編集の順番は完全に撮影が終わってから決めました。歌詞に映像の意味が被らないように注意しています。「日本橋高架下R計画」の時もそうでしたが、情報量がそちらの方が立体的になるので。あとは音ハメをキックに合わせるところと歌詞の文節に合わせるところを分散させて、説明的になる(映像と1:1対応であると認識される)ことを避けてる。
スケブリ:歌詞と意味が被らないようにしよう、ということは話してて、あとは細金くんにお任せ。細かい部分で口出ししたところはありますが、下手に俺が俺が!感出してもいいものになるようには思えないので。その後のカラコレは自分がやりました。曲を聴いてなんとなく青とか緑っぽい印象を受けたのでそっちに転ばしてます。
ーーMVということで気を使ったのはどのような点ですか?
細金:最初と最後を奇麗に纏めておけばいいんじゃないの、という点ですかね。
ーー最初と最後には鰹節が舞い落ちていますよね。
スケブリ:終わりに本人出しときゃいいじゃん。tofubeatsだから醤油かければいいじゃん。あ、歌ってるG.RINAさんに醤油かけてもらえば完璧じゃん。じゃあ最初は鰹節が舞ってる絵だね。っていうMVのカギ括弧部分が初期の段階で決まっていたので。あとは好き勝手やりました。
2人の出会い
ーーそもそも2人が出会ったきっかけは?
細金:もともとネット上の活動は見てて、スケブリくんの存在は知ってたけど話す機会がなくて。共通の友人の漫画家(見富拓哉)がスケブリをイベントに呼んで、芋づる式に繋がったんです。
ーーそこから友達になっていったと。最初に2人で組んだのは、VJユニット「チルノのパーフェクトさすう教室」ですよね。
スケブリ:mogra(秋葉原のクラブ)で行われたエヴァンゲリオンのイベント「禁色」でのVJの依頼でした。イベントのコンセプトがB2B(交わりばんこに曲をかけるシステム)だったので、2人でやることになったんです。
細金:「エヴァンゲリオンQ」が公開されてすぐのイベントだったんですよ。映画の中でシンジくんとカヲルくんがキーボードを連弾しているシーンをやろう、とすぐに決まって、会場にでデカい鍵盤を持ち込みました。その上にMIDIコンを置いてVJしてます。
ーー鍵盤、デカいから邪魔だったでしょうね。
もうネットはサーフィンされていない
ーー2人ともインターネット的なものが身についてて博覧強記な感じがありますけど、普段はどんな感じで情報収集してるんですか?
細金:どんどん見る場所が狭くなってます。TwitterとFacebook、InstagramとかのSNSの他にはTumblrとYouTubeくらいしか見てない。ブックマークもここ4年くらい一切使ってないし、ニュースサイトも見ないし。どんどんネットというか自分の観測範囲が狭くなってる。もう今ネットってサーフィンじゃなくなりましたよね。なんかこう、釣り堀感がある。
ーーサーフィンじゃなくて釣り堀っていいですね。SNS以降はそれを強く感じます。
スケブリ:僕もSNSの他はYouTubeでチャンネル登録してる人と、その関連動画くらいしか見てないです。
細金:むしろ「おもしろ動画」で普通に検索すると面白いの出てきますよ。自分で「おもしろ動画」ってタイトルを付けられるのはレベル高い人しかいないから。
スケブリ:狙ってる人だと、そのタイトルつけられないんですよ。
ーーみなさん雑誌とかも読まれないんでしょうね。
細金:定期購読ってしたことないし、漫画雑誌を毎週読もうと思って買ったこともないです。マンガも人並みには読むくらいで。アニメも最近は見てないですね。
スケブリ:僕もアニメは惰性で見てる感はある。
細金:分解系の人たちは好きだよね。
スケブリ:だからなんか新世代とか言われるけど、僕達は旧世代ですよ。カワイイのはカワイイけど、萌えに走れない。特撮は好きなんですけど。自分でもお金がめっちゃあったら特撮やりたいかも。
VJってなんだろう
ーーそもそも2人の共通点は「VJ」ということなので、ちょっとVJカルチャーについてお聞きしたいのですが。どのくらいのキャリアがあるんでしょうか。
スケブリ:8年ぐらいですね。
細金:僕もなんだかんだ7、8年やってる。VJってずっとやってるのでもないし、やめてるわけでもないし、経歴が長いからといってどうということはないんですが。上がるのはパソコンのスペックであって、自分はあんまり関係ないというか。
ーなるほど。長年やってるとスキルが上がるというものでもないのかもしれない。スケブリさんは、最初は普通のVJだったんですか?
スケブリ:ビデオボーイを始めたのは東京に引っ越してからです。それが4年ぐらい前。静岡の時は、ノートパソコンを持ってなかったんですよ。だからVJする時は家で作った素材をDVDに入れて、他の人のパソコンに入れてやらせてもらってた。手ぶらで行けるから楽ちんでしたよ。交代も楽だし。
ーーまあ、それでできちゃいますからねえ。
細金:スキャコン(※VJ機材)貸すと最後までいなくちゃいけないから最悪ですよね。
スケブリ:僕はスキャコンなんか持ってないです。
ーーどうしてVJを続けたんですか?
スケブリ:クラブの音楽が好きだし、クラブにタダで入れるし、年下だからみんながお酒をおごってくれるし。
細金:じゃあ、mixiのVJコミュニティとか入ってた?あのGIF凝ってたよね。
スケブリ:ayato@webみたいなね。
ーーまあ楽しいから続けていたわけですよね。
細金:うーんでも、僕らの年代だとあまりVJが華やかだったことって無いと思いますね。90年代後半の、CGがコンピューターグラフィックスって言ってた頃は良かったのかもしれないけど。flapper3がやっぱり転機だったんじゃないすか。
スケブリ:モーションダイブ(※VJソフト)のプリセットですよ。すごいなあ。最初に矢向さん@yako_flapper3 に会った時は秋葉原のmograで酔っ払って倒れて「おれがflapper3だ〜」って寝ながら叫んでて。「これが東京か..」と思いましたけど。
ーー影響を受けたVJはいますか?
スケブリ:筒井さん @masato221 です。ケーブルを借りたら全部きちんと巻いてあって名前が書いてあった。
細金:ケーブルを締める奴も締め直せるやつでちゃんとしてるんですよ。
ーーケーブルじゃなくて映像はどうなんですか。
スケブリ:映像も感動したんですよ。筒井さんのVJを見て「こんな人がいるなら真面目な方にいってもダメだ。やめます」と思ったのがVIDEO BOYを始めたきっかけでもある。マドラウンジでやったREPUBLIC vol.4のことでした。すごいでかい画面でやってて、解像度も高くって。
ーーなるほど、細金さんはVJというものをどう捉えてらっしゃいますか。細金さんが本気を出したVJはものすごくかっこいいですけど。
細金:VJって不思議な言葉で。VJを突き詰めて、職業としてやろうとするとライブや映像の演出家になるんですよ。職業VJというのは成立するのが難しいという。僕は年数はけっこうやってるけど、レギュラーイベントをやったことがない。
スケブリ:レギュラーは僕もほぼない。練習とか全然やらないからなー。
細金:まあ、日々修行ですよ。
スケブリ:よく言うよ。
ーー2人のVJ活動とこの作品に関連するものはありますか?
細金:あると思います。さすう教室でやってることと、インターネットは不可分で、Tumblr、youtubeその他諸々でやっていることとの関係もあると思います。パイレーツオブカリビアン(※1)が鍵でした。
スケブリ:VJでもこのMVでも、選んでいる映像などが似ているので、関係はあると思います。
ーパイレーツオブカリビアンは何が衝撃だったんですか?
細金:僕は前々から、映像においては「でかい」「まぶしい」が正義だと思ってるんです。それに全裸が加わったから、もう最強。
スケブリ:もう勝てない。サスケの全裸(http://www.youtube.com/watch?v=rWkDTG1v-8o )も最高だったし。
細金:最終的に人は全裸にいくしかないんですよ。
スケブリ:森さん @morisatoh も20年ぐらいたったら全裸になってるかも。
細金:ありえる。
ーーそれはないんじゃないでしょうか。最後に今後やりたいお仕事などを教えて下さい。
スケブリ:今回は予算があまりなかったので、次回は予算がたくさんあって、かつ何も言われないというものがあったらいいですね。
ーそんな石油王みたいなことあるといいですね。
細金:トーフの実家に石油が出ればいいんだよね。
スケブリ:それより自分ちの庭から出てほしい。
ーーありがとうございました。細金さんがアメリカに行くのはさみしいですが、ご活躍期待してます。アメリカにいても作品は作れるということなので、またお二人が何か作ってくれることを楽しみにしています。
1 注:ロシアのインターネットポルノスターAleksandr PistoletovさんがYouTubeにアップしている動画。「パイレーツオブカリビアン」や「モータルコンバット」などのメジャーな映像にギリギリの姿を合成して全世界に衝撃を与える。そのビデオのタイトルがなぜか「チルノのパーフェクトさすう教室」だった。Pistoletovさんはある時から完全にアウトの映像をあっけらかんとアップするようになり、さらに衝撃が走っている。名前でググると映像が出てくるので、好事家の方はチェックしてみて下さい。
Article by Akiko Saito