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投稿者:南斗勉太 - この投稿者のレビュー一覧を見る
古本屋で本を買ったとき落書きや書き込みがあるとガッカリしたものですが
この痕跡本という新しい古本の読み方に感心しました。
前の所有者の心情を読み解く(勝手に妄想する)楽しさを教えてくれました。
古本屋へ行く楽しみも増えました。
もともと私は落丁乱丁本をコレクションしてたりしてするので何か通じるものがあるんでしょうね。
何か面白い本をお探しの方には、おススメの1冊です。
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投稿者:きりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
本に躊躇なく書き込みできる人だと痕跡本が受け入れやすいのかもしれません。本は大事に、自分のものであっても汚さないように、という方だとキツイと思います。
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痕跡本とは、前の持ち主がその本とかかわった“しるし”が残された古本のこと。書き込みでも、やぶれでも、傷でも貼り込みでも、なんでもいいのです。ただ、前の持ち主と本との関係性がわかるものであれば。
著者は、いわば“痕跡本フリークス”。本の内容よりもそこに残された痕跡に惹かれ、日夜古本屋を俳諧する、痕跡本に人生を捧げた男、古沢和宏。愛知県で「古書五っ葉文庫」という一風変わった古本屋を営む氏が、自身の「痕跡本コレクション」を、写真と文章で解説しています。
たとえば、無数の針の跡が残された日野日出志の『まだらの卵』。意味深な短歌が書かれたカメラの保証書が挟み込まれた『ギリシア神話』。詩人の創作力に刺激されるままに、自作の詩が所狭しと書き込まれた『西脇順三郎詩と詩論』・・・・・・。著者は、残された痕跡を手がかりに、前の持ち主がどんな状況で、どんな気持ちで本と関わっていたのかを推理していきます。もちろん、どの本の読み解きにも、正解なんてありません。だからこそ、そこには無限の物語が存在しているのです。
当のこの本も、家でじっくり読み込むもよし、通勤・通学中にくすりと笑うもよし。本の愛し方は、人の数だけあるのですから
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古本に残された書き込みなどから、ひとの人生の断片をのぞき見して妄想する楽しさを共有しようという本。僕自身は本を汚せないタチなので少しずるいことをしているような背徳感とともに楽しんでしまった。ジャケットを外した装幀がまた昭和のにおいが濃くて懐かしく切ない気持ちになる。著者の写真を見て、あ、高遠ブックフェスティバルで「読んでない本大賞」の司会をしてた人だ!と気がついて購入した。
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古本に残る“痕跡”をピックアップした本。確かに本の内容はさておき、痕跡が強烈に語りかけてきました…
痕跡本ファンが増えそうな本です。
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赤線、書き込み、切り抜きなどのマイナス要素も「なぜそうなったか?」と想像を膨らませれば、そこには前の持ち主の物語が見えてくる…古書・五っ葉文庫店主の妄想が爆裂する、新しい発想の古本読書術。
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古書新参者の私は「ビブリオ古書堂」からの流れで、この本を手に取りました。
物語のひとつでも書けてしまえそうな痕跡の数々…
たまーに図書館の本にも痕跡を残す人もいますね。
ライン引くやつは頭にくるけど、感想なんか書いてあって、それが随分前のものだと、同じ本を時を経て共有したことの喜びを感じてしまったりもします。
古書の痕跡は、どんな流れでここまでたどり着いたのか、その経過を想像させる面白いアイテムですね。
売り物としての価値は下がるかもしれませんが、別の楽しみかたがあります。
学校図書館にはおきずらいヒトネタがあったので☆4つですが、個人的には☆5つ!
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私が「痕跡本」と出会ったのは,
B!B!S!でのイベントでの五つ葉さんとの出会いでした。
興味本位で参加し,あのおしゃべりと想像力のたくましさに
圧倒しまくられ,終わった1年目。
翌年も参加し,結局,素敵な?「痕跡本」は見つけられず,
再び,五つ葉さんのおしゃべりと想像力に感心し,
終わるのであった。
本の内容も楽しいけど,やはり,あの語りがあったら,
もっと楽しいかな♪
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愛知県は犬山市の古本屋さんが紹介する、前の持ち主の”痕跡”が残された古本を紹介する本。
ホラーマンガの表紙が何十回も針で刺されていて穴だらけだったり、ページの一部が切り取られていたり、意味深なラクガキが残されている本なんかが紹介されています。
うわぁ~、古本の世界ってこんなのもあるんだ、と思わせてくれる、ちょっと変わった視点の本でした。
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ラジオで聞いて痕跡本という存在を知り、書店で見て即買い。ただの中古本という枠を飛び越え、前の所有者がなぜそんな書き込みをしたかなどという、本の内容だけでなくある意味想像をいろいろふくらませてくれる読み方を教えてくれた本。
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自分には本に書き込みをする習慣が無かったので、
痕跡本という存在の深さに驚きました。
でも、それでもなかなか自分の本に痕跡を残すことにまでは
たどり着かないなぁと実感・・
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ずいぶん前、(就職後のことだが)「A10奪還チーム出動せよ」を再読していたら、記憶に無い駅の切符が挟まっていた。不思議に思って良く見たら、”面白かった”と書かれていた。そういえば、大学時代に隣のゼミの女の子に、その面白さを力説して貸した事があったのを思い出した。返してもらった時には気付かなかったようだ。好きになって告白したけど振られて。懐かしい思い出。また、「水上紀行」を読んだ時には、挟んであった紙片に、ミミズののたくったような字で「昨日土砂崩れがあり~」と書いてあるのを見つけて、晩年の父が猿ケ京温泉に行ってみたいと言っていた理由が分かった。本来の痕跡本の楽しみ方とは違うが、そういった体験を思い出す。かつては本の奥付に読了日を書いていた事もあった。「W君て読み終わった日を本に書いているんだね」って、本を返してもらった時に言われたな、確か。そんな思い出ばかり。
以下、引用
●本が古本屋に並ぶ前、その本は必ず、誰かの本棚にあったものです。そして、様々な理由で持ち主の手元を離れ、古本屋へ流れ着くことになりました。(略)そう、すべての古本には、前の持ち主がその本と過ごした時間という「物語」が刻まれているのです。それが目に見える形で残されているもの、それが痕跡本。そこには、本の内容だけじゃない、前の持ち主と本を巡る、世界でたったひとつだけの物語が刻まれています。
●古本屋で本を買ってくると、たまにレシートやチラシなど、様々な紙が挟まっていることがあります。(略)まれに遠く離れた県のものが挟まっていることがあります。それに気づいた瞬間、その本が、実は遥かな旅をしてきたことに驚かされたりします。(略)本と旅。そこには切っても切れない関係があります。そして、古本以外にも旅をする本は存在します。たとえば、バックパッカーに同行している本。(略)それにしても、何故本には、これほどに旅が似合うのか。それは、本がすべてを受け止めてくれる存在だからなのだと思います。バックパッカーの間を旅する本の中に、たまに前の持ち主から「この本を西に運んで下さい」などというメモが添えられている本があるそうです。それは、本に自分の気持ちを託した証。(略)人は、本の旅に自分自身の旅を重ねることができるのです。
●「全ページ妄想」「本来の本の内容にほとんどふれられていない」という、前代未聞のブックガイド
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持ち主が分かったうえでの本の痕跡への想いは、とても理解できる。ただ、破れていたり虫の死骸が挟まっていたりというのは、生理的に無理。眺めるだけの風景にしても、本屋さんだけにしておきたい。
電子書籍への挑戦という点からは、紙の本派として応援したい。
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売られた本に残された痕跡から、元の持ち主のストーリーをあれこれ妄想するエッセイ。
前の持ち主を辿ったり考察したりするのではなく、あくまで想像をめぐらせて楽しむ遊び。
私は本に手を入れることが(折り目でさえも)嫌なタイプだから、他人の残した「汚れ」を楽しむという感覚を知りたくて手に取った。
趣味が合わないなあと思った。
「本にとっての幸せ」という考え方がまず好きじゃない。
取り上げられる本に写った女子の写真の扱いや(半端な伏字と黒線)、持ち主たちが余裕で存命な古さのものをお披露目するデリカシーのなさも嫌。
(と思ったけど最後まで読んだらそうでもないかもしれない。元の持ち主への配慮や、古本屋らしいマナーを呼びかけてはいる)
痕跡の読み方もだいぶ私とは違う。
本当に痕跡だけを見て(地の文を読まずに)書いているみたいだし。
たとえば最初の連続名前はよくある「サインの練習」じゃないのか?
啓発本の書き込みは読んだ人の脳内サクセスストーリーではなくその本の概要じゃないのか?
でも、読んでいるうちに面白くなった。
自分と違う読み方を見るのもまた楽しい。
痕跡本風のあとがきにイライラしたから、やっぱり自分は痕跡本向きではないんだけれど、こういう見方があるというのは面白い。
同性愛という言葉にチェックが入れられた「愛の島々」をネタにした妄想コラムで痛ましい思いがした。
文章自体は妄想で、実際の持ち主が何を思いどんな意図で傍線をひいたのかはわからない。
それでも、こんな風に、こんな僅かでひどい記述くらいしか縋るもののなかった人たちは確かにいる。
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私が初めて痕跡本と出会ったのは父の本棚の本であった。
父は読書が趣味で、若い時は梅田の古書の街の古本屋でもよく買って来ていた。
そこで買ったのか京都の古本屋で買ったのかわからないがある本に大学図書館の蔵書印が押してあった。
これは学生が借りて売ったものであろう。
なんて不届き者!
さてこの本はいろんな古本に残る痕跡を集めている。
著者が本の中身よりも痕跡を探して買い集めてしまう。という気持ちが
すこしわかる気がした。
私が一番印象に残った痕跡本は以前アルバイトをしていた仏教系の大学図書館でインドから取り寄せたらしい本に挟まっていた虫の死骸。
そして先に書かれた金額がひと桁なのに、その上に書き直された金額が
随分と桁違いだった。インチキ?