【米大統領選2016】移民に厳格な思想テストを トランプ氏提案

画像提供, Reuters
米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏は15日、新たな移民に対する「非常に厳しい身元調査」が必要だとし、思想テストを実施すべきとの考えを示した。
トランプ氏はオハイオ州での演説で、どのようにイスラム過激主義と戦うか提案し、思想テストによって、移民がLGBT(性的少数者)や信仰の多様性への寛容の精神など、西側自由主義的な価値観を共有するかチェックすべきだと述べた。
対してクリントン氏はトランプ氏の演説を受けて、「この『政策』だというものは、とても真面目に受け止められない」と反応。
「結婚の平等(=同性結婚)に反対するトランプが、いったいどうやって真面目な顔でこんな提案ができるのか。インディアナ州でLGBT規制法に署名した人物(マイケル・ペンス同州知事)を副大統領候補に選んでおきながら」とクリントン氏は批判した。
トランプ氏はこのほか、テロ対策にも言及。一部の国については入国査証を発行しないと述べたが、対象国を特定しなかった。また、過激派掃討のための具体的な軍事戦略は提示しなかった。
トランプ氏はイラク戦争について、2003年に始まる前から反対だったと述べたが、2002年9月に支持する考えを示していたと一部のメディアが指摘している。
トランプ氏はさらに、イラクの石油生産設備を米国が掌握していれば、イスラム過激組織「イスラム国」(IS)に奪われることもなかったと主張した。
15日の主なトランプ氏提案は以下の通り――。
・テロが横行して身元調査が不十分な国からの移民を禁止。
・テロと戦うすべての国の同盟を形成。
・米国への新たな移民に思想テストを実施。
・グアンタナモ米軍基地のテロ容疑者収容施設の運営を継続。
・イスラム過激主義によるテロリズムについて調べる大統領特命委員会を設置。
・北大西洋条約機構(NATO)と協力。トランプ氏は以前、NATOは「時代遅れ」だと批判していた。
トランプ氏はこれまですべてのイスラム教徒の米入国禁止を提案していたが、国名を特定せずに、テロを他国で行う国からの入国禁止に変更した。
思想テストは、信教の自由や性の平等、同性愛者の権利擁護など米国の価値観についての意見を調べることを目的とする。トランプ氏は、「われわれの憲法を信じない人物、もしくは偏見や憎悪を支持する人物は、この国への移民を許されない」と語った。
トランプ氏は、思想テストが、テロを支持する意見だけでなく、「我々の国やその原則に対する敵対的な姿勢」もあぶり出すとしている。
シリア難民の受け入れ数を増やす計画を批判し、受け入れによる費用が4000億ドル(約40兆4000億円)に上ると主張した。
トランプ氏は15日の演説でこのほか、クリントン氏を激しく批判し、クリントン氏がIS打倒に必要な「精神的かつ体力的なスタミナ」に欠けると語った。オバマ大統領とクリントン氏がISの創設者だとする最近の主張は、今回繰り返さなかった。
オバマ大統領とクリントン氏に関するトランプ氏の発言に対しては、批判の声が相次いでいる。クリントン氏の支持者集会で登壇したジョー・バイデン副大統領は、トランプ氏の発言は「危険」で「米国らしくない」とし、イラクで活動する米軍兵士の安全をすでに脅かしたと批判した。
最近の世論調査によると、複数の主要激戦州の支持率でクリントン氏がトランプ氏を大きくリードしている。