バングラデシュ襲撃、実行犯はISと無関係と内相

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バングラデシュの首都ダッカで20人が死亡した1日の襲撃事件について、政府当局は3日、実行犯5人の名前を公表し、以前から警察が把握していた人物だと明らかにした。
バングラデシュ政府は、犠牲者のために2日間、国として喪に服すと発表した。
犠牲者20人のうち、9人はイタリア人、7人は日本人だった。米国人1人とインド人1人も犠牲になり、イタリア人1人が消息不明。
事件ではイスラム過激主義の武装集団が、グルシャン地区のカフェを襲撃。主に外国人の人質のうち20人が死亡した。警官2人も死亡し、30人が負傷。12時間にわたる立てこもりの末、機動隊が突入し13人を救出した。
グルシャン地区のカフェ「ホーリー・アーティサン」を襲撃した武装集団のうち6人は、機動隊の突入時に死亡した。7人目の男が逮捕され、取り調べを受けている。襲撃にどのように関与したかはまだ不明だ。
ISとの関与は
アサドゥザマン・カーン内相によると、武装集団のうち3人は22歳未満で、半年前から行方不明になっていた。
シャヒドル・ホク警察長官は、実行犯5人の名前を、姓を抜かしてアカシュ、ビカシュ、ドン、バンドン、リポンという名前だけ公表した。
過激派勢力のいわゆる「イスラム国」(IS)が事件について犯行声明を出しているが、バングラデシュ政府はこれを否定している。
カーン内相は3日、襲撃犯たちは10年以上前から非合法指定されている武装勢力「ジャマエトゥル・ムジャヒディーン・バングラデシュ」(JMB)の一員で、「イスラム国とは何のつながりもない」と述べた。男たちは立てこもり中、何の要求もしてこなかったという。
ISはこれに先立ち、黒いISの旗の前でポーズをとる男たちの写真を公表し、これが実行犯だと主張していた。
武装集団の男たちは地元出身の裕福な家庭出身で、私立学校や大学に通ったとされている。イスラム過激派が戦闘員を勧誘する、イスラム教神学校に通った形跡はないという。
バングラデシュでは昨年来、イスラム教から距離を置く世俗主義のブロガーや無神論者、LGBT(性的少数者)が殺害されるなど、小規模なテロ攻撃が相次いでおり、JMBによるものとみられている。
2008年にバングラデシュの全64県でほぼ同時に起きた爆弾攻撃を実行した罪で指導者2人が逮捕され、死刑を執行された。
シェイク・ハシナ首相はこれまで繰り返し、ISの国内浸透を否定している。

ダッカで取材するBBCのサンジョイ・マジュムダー記者によると、写真の男たちの中に元級友がいるという書き込みが、ソーシャルメディアに相次いでいる。

<犠牲者は>
イタリア人9人――イタリア外務省によると、クリスティアン・ロッシさん、マルコ・トンダトさん、ナディア・ベネデッティさん、アデレ・ピュグリシさん、シモーナ・モンティさん、クラウディア・マリア・ダントナさん、ビンチェンツォ・ダレストロさん、マリア・リボリさん、クラウディオ・カペッリさん
日本人7人――男性5人と女性2人。日本政府関係者によると、このうち4人は小笠原公洋さん、岡村誠さん、酒井夕子さん、下平瑠衣さん。
バングラデシュ人4人――現地報道によると、このうち2人は米エモリー大学生のファラーズ・アヤーズ・ホッサイさんとイシュラト・アコンドさん。ほかの2人は警察官だった。
米国人1人――エモリー大学生のアビンタ・カビールさん
インド人1人――米カリフォルニア大学バークレー校の学生タリシ・ジャインさん(18)。