中国「過去最悪」の大気汚染に非難集中

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中国東北部の遼寧省瀋陽市で大気汚染が「過去最悪」とも言われる状態になり、国営メディアやネット世論は声高にこの状態を非難している。
国営人民日報によると、8日には瀋陽の一部で微小粒子状物質PM2.5の濃度が一時、1立方メートルあたり1400マイクログラムに達した。これは世界保健機関(WHO)が健康のために推奨する最大基準値25マイクログラム(24時間平均)の50倍以上にあたる。
環境保護団体グリーンピースのドン・リャンサイさんはAFP通信に、「ここ数年の観測データを見ると、少なくとも記録上もっとも高いPM2.5の数値だ」と話した。過去最大値かどうか、中国政府は確認していない。
国営メディアは、濃いスモッグは地元政府のせいだと非難している。
石炭産業など多くの重工業が集中する中国東北部では、公害は慢性的な問題だ。

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「不合理なエネルギー消費」
大気の状態が一気に悪化したのは、石炭を燃やす「集中暖房」が始まったからとみられている。
地元メディアは、住民への警報や、臨時休業などの通達が遅れたと当局の対応を非難している。
英字紙グローバル・タイムズは社説で、地元政府の公害対策の経験が浅く「情報伝達の流れがバラバラだ」と批判し、「エネルギー消費の方式や産業構造が不合理だ」と書いている。

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しかしその上で同紙は、地方自治体は「まだ学習段階にある」のだからと、国民の理解を呼びかけた。
中国版ツイッター「新浪微博」では瀋陽に住む人たちが「#Shenyang Haze#」というハッシュタグを使い、薄暗くけぶる市街地をマスクをして歩く自分たちの写真を次々に掲載した。
BLS-Christineという利用者は10日、「こんな暮らしはもう無理。#Shenyang Haze#がこれ以上続くなら、みんながんになると思う」と書いている。
ほかにも多くの「微博」ユーザーが、濃いスモッグで建物がほとんど見えない中でネオンサインだけがぼんやり浮かんでいるように見える写真を、投稿していた。

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中国政府の環境保護部は今年、国内の主な74都市のうち、2014年に大気汚染に関する政府の基準を満たしたのは、わずか8都市だけだったと発表した。特に大気の状態がひどい都市のほとんどは、東北部に集中していた。
中国は公害対策に取り組んでいるが、依然として主要なエネルギー源は石炭で、産業の石炭依存も続いている。