板垣さん、回転花火銀河に明るい超新星を発見

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山形県の板垣公一さんが5月19日、「回転花火銀河」の愛称で知られるおおぐま座の銀河M101に超新星2023ixfを発見した。板垣さんの超新星発見は通算172個目。

【2023年5月22日 高橋進さん/Transient Name Server】

山形県の板垣公一さんから、5月19日17時27分ごろ(世界時。日本時では20日2時27分)におおぐま座の銀河M101を撮影した画像から14.9等の新天体を発見したとの報告が国際天文学連合の天文電報中央局にありました。

おおぐま座の新天体
おおぐま座の新天体の発見画像(撮影:板垣さん)

M101周辺の星図と、DSS画像に表示した超新星
M101周辺の星図と、DSS画像に表示した超新星。画像クリックで星図拡大(「ステラナビゲータ」で星図作成。DSS画像の版権について)

報告からわずか40分後にカナリア諸島ラパルマ天文台のリバプール望遠鏡で分光観測が行われ、この新天体が大質量星の重力崩壊によるII型超新星であることが明らかにされました。板垣さんの発見直前に撮影された各地での画像からも存在が確認されています。

米・ハワイに設置されているATLAS(小惑星地球衝突最終警報システム)の口径50cm望遠鏡による画像を解析したところ、今回の超新星爆発は5月18日19時09分(日本時間)に起こったとみられています。また、「スピッツァー」宇宙望遠鏡が2004年から2019年に撮影した中間赤外線画像には爆発前の赤色超巨星と思われる天体があり、太陽の15倍の質量と思われるとの報告もあります。

超新星2023ixfの出現前後の比較
超新星2023ixfの出現前後の比較(提供:石川勝也さん)

板垣さんの超新星発見は今年1月以来で、今年2個目、通算172個目(独立発見を含む)となりました。

この超新星が出現したM101は「回転花火銀河」の愛称で知られる渦巻銀河で、おおぐま座のしっぽのあたりに位置します。2100万光年の近距離にあることから約8等と明るく、見かけサイズが大きく、小口径の天体望遠鏡でも見ることができ、美しい姿で天文ファンに人気の天体です。過去に4度の超新星出現が記録されていて、2011年に現れたIa型超新星2011feは9.9等まで明るくなりました。

II型超新星の極大光度にはばらつきがありますが、今回の超新星2023ixfは数日中に12等にまで明るくなる可能性があります。宵の北天に高く上る、見やすい位置の明るい超新星ですので、ぜひ観測や撮影をお楽しみください。

光度曲線
超新星2023ixfの光度曲線(Astro Note、ATEL、ZTF、VSOLJデータより高橋さん作成)

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