そんなわけで、「大きなリード」というのを納得するには、
ゲーム業界の不思議な力関係を理解しないとわからなかったりします。

ゲーム業界というのは、ハードメーカーとソフトハウスの力関係が数年ごとに入れ替わるという不思議な業界です。

例えば、売れてないハードウェアメーカーはソフトハウスにゲームを開発してもらうためにお金を払ったりします。
逆に、売れてるハードウェアを持っているメーカーは、ゲームを開発したいソフトハウスが寄ってくるので、許諾するライセンスの値段を吊り上げたり、自社工場でしかゲームの製造を許さなかったりとか、殿様商売をし始めたりします。

こういった、力関係の変化というのは、他の業界でもよく起こりますが、ある程度固定化してしまうことが多いです。
例えば、ドンキホーテのような量販店は、メーカーがいらなくなった在庫を安く引き取ったりと足を使う仕事だったりするわけですが、ある程度の規模になってくると、メーカーのほうから寄ってきてくれたりするようになります。
そういった、寄ってくるメーカーの相手をするだけでも仕事になるという力関係は、会社が倒産するとか、市場が壊滅するとかでない限りはそうそう崩れることはなかったりします。

ところが、ゲームハードウェアというのは、寿命が短いので、5年周期ぐらいで弱かったメーカーが強くなって、強かったメーカーが弱くなってしまったりするのです。

現状までのまとめは以下のような感じです。

・任天堂は。スーパーファミコン時代に強気でしたが、ニンテンドー64やゲームキューブで失敗して弱腰になり、
ニンテンドーDSやwiiでまた強気に戻れる状況になりました。

・ソニー（SCE）の場合は、プレイステーションで強気になって、プレイステーション2でも強気で行きましたが、PSPで弱腰になりはじめて、PS3はまだ弱腰体制のようです。

・マイクロソフトのXBOX360はちょっと面白い状況なのですが、海外ではかなり強気ですが、日本国内ではかなり弱腰です。

・セガは、、ハードメーカーでなくなってしまったので割愛。。


さて、強気でいられるか、弱腰になるかというのは、ようするに普及台数の問題だったりするのです。

1000万台普及してるハードウェアだと、10%の人がゲームを買ってくれるとしたら、
100万本のヒットになるわけです。

10万台しか普及してないハードウェアだと、どんなに面白いゲームを作ったとしても、
最高で10万本しか売れないわけです。

つまり、普及台数こそが、ソフトハウスが寄ってくる鍵なのですね。
普及台数を確保してしまうと、ソフトハウスが寄ってきて、
お客さんがお金を落としてくれて、
ハードメーカーは何にもしなくても、
売り上げが自然に増えていくという状態になるわけです。

というわけで、これが今までのゲーム業界の考え方です。


でも、wiiがゲームをやらない人をターゲットにしたように、
現在のゲーム業界は変革の時期だと言われています。

ゲームをやる人もやらない人を広く集めるという方法論 → wii

ゲームをやらない人をターゲットにするというのは目新しいのですが、
普及台数が市場を作るというのは今までどおりの考え方です。

PS3は普及台数が少ないといわれていますが、
ユーザーが市場に払った金額で考えると、
ほぼ同じ状況なわけです。

ゲームにお金を払うのに糸目をつけない人だけを集めるという方法論 → PS3


wiiは普段ゲームをやらない人を市場に引き込む必要があったように、
ゲーム業界は縮小していると言われています。
だから、PS3は高価なゲームという富裕市場を狙っているのではないでしょうか。

業界地図が販売台数ではなく、純粋に利益率で動くようになるとすると、
富裕市場というのは魅力的なマーケットになります。

つまり、PS3は普及台数で勝負をするという業界慣習そのものを変えようとしてるのかもしれません。


通常の業界の考え方でいくと、
薄利多売のwiiと、少数のお金持ち向けのPS3なわけです。

フェラーリとカローラを販売台数で比べてもしょうがないように、
wiiとPS3はもうちょっと行方を見ないと答えが出ないような気がします。