Kathy Sierra / 青木靖 訳
2007年1月31日
整理された状態というのは私には自然には訪れない。オーガナイザーなら電子的なものも(Palm Pilotと様々なソフト)、昔ながらの紙のものも、いろいろ試してみたが、これまでのところ私に一番役に立ってくれているのは、ローテクかつ高使用率のMoleskine PDAだ。これにはペンと、メモ帳と、付箋と、(おまけで)3 x 5カードが含まれる。
あまり細かいことを書くつもりはない。それというのも、これに関しては私自身がそのアイデアを知ったサイトであるPigPogPDA Moleskine hackで詳しく解説されているからだ。だから私がここに書くのはもう一つの事例というにすぎず、これは私の整理する技術(の完全なる欠如)に合うよう調整したものとなっている。このバージョンは私のライフスタイルとワークスタイルの要求に基づいたものだが、こういうDIYシステムのいいところは、どんなもの向けにでもカスタマイズできるということだ。
一冊のMoleskineを用意し、色分けしたタブを私が気にかける5つのセクションに付ける:
1) 次にとるアクション
2) プロジェクト
3) 旅行 / 予定表
4) メモ
5) 健康 / 馬のこと
6) 内ポケット
私は上で綴じるようになっているレポータースタイルが好きだけど、横綴じの方が便利に思う人もいるだろう。なぜもっと安いメモ帳でなく Moleskineなのかについては、この記事の最後で説明する。
「まっさら」なPDAを使い始めるときは、最初にページ番号を振って、それぞれのセクションを開始するページを決める。たとえば、「次に取るアクション」はメモ帳の最初のページから、 「プロジェクト」は61ページから始める。だから60ページほどをTo Doを書くために取っておくことになり、そこを別な目的には使わない。
それぞれのセクションについて簡単に説明しよう。
60ページを予約しておき、1ページ目か2ページ目から始める。(表紙裏には色分けした凡例/目次を入れ、1ページ目は緊急時の電話番号や連絡先のようなものを書いておくことが多い。)
表紙裏/凡例:
次にとるアクションのページ:
「次にとるアクション」というのはGTD——デビッド・アレンの 「仕事を成し遂げる」システム——に出てくる概念だ。私の場合は、ほとんどただのTo Doリストになっている。1つのページ上の項目がすべて完了した場合、黄色のタブをまだ未完了の項目がある最初のページに移す。だから6ページに未完了の項目があれば、7ページや8ページにもっとたくさん項目があってもタブは6ページにつけられる。次の2ページの項目が全部片づいても消えてくれない未解決の項目がある場合には、それをリストの末尾に書き写す。だからタブはいつでも未解決のTo Doの近くについていることになる。
メモ: 本当のGTDシステムでは、「次にとるアクション」は「コンテキスト」を持っている——これはTo Doをそれが行われそうな状況によってグルーピングするということだ。たとえば、「かけなきゃいけない電話」という次にとるアクションのコンテキストがあるとすると、電話を前にしたときに、電話をかけるTo Doが一カ所にかたまっているので効率的にこなせることだろう。あるいは「用事がないときにする」という次にとるアクションのコンテキスト(リスト)があれば、たとえば出かけたときに買っておくものなんかを、未解決のリストを全部見直すことなく見つけられる。
このシステムにコンテキストを組込むのは難しい。コンテキストごとにページを割り当ててやらなければならないからだ。しかしリストが1つしかなくとも、カテゴリごとに色分けした付箋をそれぞれの項目につけるようにすればうまくやれるんじゃないかと思う・・・たとえば 「赤」の項目は電話をかける用件で、「緑」の項目は医者への相談ごとという具合に。しかしこれはやりすぎという気がする。私には全部目を通すのが問題になるほどたくさんTo Doがあるわけではない。
61ページから始まり、30ページを予約しておく。
プロジェクト概要リストのページ:
個々のプロジェクトのページ:
プロジェクトのセクションは2つの部分からなる。現在やっているすべてのプロジェクトの一覧と、プロジェクトごとに詳細なことを書くセクションで、そこにはマインドマップも入れている。進行中の大きなプロジェクトについては専用のノートを用意するので、PDAのこの部分にはプロジェクトの要約として、基本的なアイデアやマイルストーンやマインドマップなどを書いている。
90ページから始まり、10ページを予約しておく。
旅行のページ:
私は定職に就いているわけではないので、予定というのはごくわずかしかない(出なきゃいけないミーティングはない・・・イェイ)。しかし仕事の関係で山ほど旅行をし、その多くはアメリカ国外なので、予定表には大方旅行に関したことを書いている。私は電子版の予定表のiCalも使っているが、あまり細々したことをわざわざ入れてはいない。
私がこれに関してどれほどずぼらか見て取れると思う。全然予定表には見えない。単に旅行関係のメモを書きとめておく場所になっている。ホテルとか、航空会社の予約用の電話番号とか、チェックイン/チェックアウトの日付とか、カンファレンスの情報といったことだ。
100ページから始まり、15-20ページを予約しておく。
メモのページ:
メモのページは、プロジェクトのセクションに書くこと(最初のラフなブレーンストーミングだとかプロジェクトに関するメモなど)以外のあらゆることに使う。私はマインドマップを描くのに紙をたくさん使うので、通常ラフは別なノートに描いて、それから完成度を高くしたものをこのメモのページに書き写している。しかし時には手元にあるのが Moleskineだけということもあり、そういう場合には生のブレーンストーミングをそこでやっている。
私がメモのページに書くのは主として、人の言ったことで覚えておきたいこととか、見て面白かったこととか、ブログのアイデアとか、ランダムな思いつきなんかだ。本を書いているときには、その本のためのノートは別に用意している。
120ページから始まり、5ページを予約しておく。
私は「備忘録」代わりにこのページを使っていて(ただしコンサートチケットやホテルの予約のような、将来の特定の日付にかかわることを書くための、物理的な備忘録も使っている)、健康診断とか、予防注射など 、予約を取っているわけではないが、将来にスケジュールしておく必要のあることを書いている。
このページを定期的に見直して、時期が近づいてきたら「・・・の予約を取る」というTo Doを次にとるアクションに追加し、最終的には予定表に記入する。
メモ帳の内ポケットはすごくいい。私はこのポケットに3 x 5カード(普通のと、ポストイットになっているのと)を入れておき、メモ帳の外で使うメモ用にしていて、それを冷蔵庫や物理的なコルクボードに貼ったりしている。このポケットはまた、レシートやら名刺やら手元に 持っておきたい雑誌の切り抜きやら、集めているものを入れておくのにも使える。
内ポケット:
1) うまいバックアップシステムがない。キャーッ。
電子的なコピーや、複写したコピーを取っておくように努めてはいるが、なかなか難しい。そういったことがやれるための規律を私は欠いているのだ。
2) 新しいPDAは使い始めると融通がきかない(言い換えると、新しいMoleskineのページの振り分けをいったん決めると、私はそれを守っている)。
それぞれのセクションに何ページくらい使うかいつも大ざっぱな予想を立てるが、それでも次にとるアクションやメモのページを使い切ってしまい、他のページは空きがたくさん残っているという状態になる可能性がある。無駄が多いのだ。使い切ったメモ帳が増えていけば、それぞれのセクションに何ページ割り当てればいいかわかるようになっていくと思う。
3) 金銭的な情報について記録しておくところがない。私は本当にミニQuickenみたいなセクションなり何なりを必要としている。これは私が「本物」のPDAを持っていないのを一番残念に思うことだ。
私がこれをやり始める元になった43 foldersとPigPog: creativity anywhereをぜひチェックしてほしい。
ああ、そうだ、なんで高価なMoleskineを使うのかという話をするんだった。これには2つの理由がある。
1) これはMac/iPod対PC/非iPodの問題に似ている。Macユーザは高くつく自分の選択をクオリティの高さで正当化している。あなたはMoleskineの値段は高いクオリティ/耐久性で正当化できるという話を信じるのもいいし、 Moleskineユーザは単にクールエイドの飲み過ぎか、単なる見栄っ張りだと思うのもいい。(クオリティが高いかは実際議論となっていない。問題はクオリティ について論争——Moleskine人と・・・もっと下等な存在の間の——をするのが理にかなっているかということだ。)
Moleskineの頑丈な造りは長く保存するのにも適している。使っている間はしっかりしていて、使った後もずっと保存しておける。
2) 人は多くの金を費やしたものにより高い価値を置くものであり、これは私には大きな意味を持つ。私はいつもペンや安物のメモ帳をなくしている。しかしMoleskineとなると、携帯電話や(私が以前使っていた)Palm PDAのように扱うようになる。この2番目の理由はつまらない当たり前のことに聞こえるだろうが、それでも私は重要なことだと思っている。多くの人は、自分が投資したものに対しては、安物の使い捨ての品よりも気を使うという事実を考えることだ。
傍注: 私の友人のタラ・ハントが、最近Moleskineを 「結構な紙切れの束」と呼ん だことでちょっとした祭になった。タラ、あんたはMoleskineのテイストがわかってないだけよ ; )
今回の話は整理された状態が私には自然には訪れないということから書き始めたが、整理のためのシステムや方法について、コメントや提案やアイデアを私はすごく聞きたいと思っている。どんなことでも私には助けになる!
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