身分差別社会の真実 (講談社現代新書 1258 新書・江戸時代 2) | 斎藤洋一, 大石慎三郎 |本 | 通販

身分とは何か? 誰が差別されたのか? 被差別民の起源は? 身分制社会の矛盾を追究し、江戸の社会構造を捉え直す。

二つの視点から――江戸時代の身分制度について第二にいなわければならないことは、そうした諸身分が存在するながで、「えた」「ひにん」などと呼ばれた人々が、公家や武士はもちろん、百姓や町人からも一線を画されていたことである。彼らは「人外」、すなわち同じ人間ではないかのようにみられ、人間づきあいから「排除」されていた。…… 私は、江戸時代の身分制度を、二つの視点からみる必要があるだろうと考えている。一つは、将軍を頂点とする武士および天皇・公家を支配身分ととらえ、その他の人々を被支配身分ととらえる視点である。この視点では、「えた」「ひにん」などの被差別民も、百姓や町人と同じ被支配身分にくくられる。…… もう一つは、右にみたように、公家・武士・百姓・町人などの身分(この点では、百姓・町人は公家・武士と同質社会を形成しているとみられていた)と、それとは明らかに別な存在とされた「えた」「ひにん」などの被差別身分とに分けてとらえる視点である。――本書より

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本の長さ

198ページ
言語

日本語
出版社

講談社
発売日

1995/7/17
寸法

10.6 x 0.9 x 17.4 cm
ISBN-10

4061492586
ISBN-13

978-4061492585

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商品の説明

著者について

【斉藤洋一】
1950年、千葉県に生まれる。1977年、学習院大学院修士課程修了。現在、（財）信州農村開発史研究所所員、五郎兵衛記念館学芸員。専攻は日本近世史。著書に『五郎兵衛新田と被差別部落』―三一書房、共著に『東日本の近世部落の生業と役割』―明石書店―などがある。

登録情報

出版社 ‏ : ‎ 講談社 (1995/7/17)
発売日 ‏ : ‎ 1995/7/17
言語 ‏ : ‎ 日本語
新書 ‏ : ‎ 198ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4061492586
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4061492585
寸法 ‏ : ‎ 10.6 x 0.9 x 17.4 cm

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Yōichi Saitō
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amedio
身分とは何か、差別はなぜ起こるのか。
2011年11月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入

他の方のレビューにもあるが、差別というと「下の方の人」というイメージがある(そう学校で教えられていることも一概に否定できないとあった)。
でも武家層には武士の身分の差があり、そちらの方が厳しかったという。
「平人(町人・百姓など)以下」の人たちに焦点をあてると、既に「穢(けがれ)」という漢字は、鎌倉時代にはあったらしい。
「士農工商…」と教わった身分も、はっきりと区別がつかないそうだ。
ただ、武士の子は武士、農民の子は農民という「生まれながら」ともいえる身分は「平人以下」でも同様だった。
これは、フランスの革命前からの、処刑に携わる人たちの話とそっくりで、フランスのそれも世襲で、差別の対象とされていたのと同じだ。
この本には「居住地の制限」や「縁組み」についても書いてあるが、フランスの処刑の職についていた人たちも、同様の制限を受けていた。
後半、差別を受けている人たちの「役割と生業」について、特に興味深く読んだ。その中には、町や村の見回り・犯罪者の逮捕・牢の番人…など、現代では警察が行う役割もしていたというので驚いた。
更に読み進めると、もっと昔にさかのぼれば、こうした人たちは「穢れ(けがれ)」を「清める」役割も果たしていたが、だんだん「清め」が脱落して「穢れ」だけが残ったことも知った。
有名な「タートル・アナヘミア」の話は、吉村昭氏の著書で、杉田玄白らが刑場での解剖に立ち会う場面が出てくるが、実際に手がけたのは、差別された身分の人で、その人は医者だったともいう。
そのあたりも、前述のフランスの処刑の職についた人たちは、刑後の処理から知識を得て、医者として病人を救っていた事と共通点があると思った。
この本は、終わりの方で「差別は廃止できなかった」と締めくくられているが、現代にも確かに差別は存在している。
そうしたテーマの本もこれから読もうと思う。

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レポート
dream4ever
学校で習わないこと
2018年11月9日に日本でレビュー済み
個人的に漂白だとか、放浪だとかという文脈に入り込むのが昔から好きなのでサンカだとか木地師だとか炭焼きだとか興味があって、それに関係する本をたまに読みたくなる。
そうした中で、どうしても不思議（嫌に）思うのが階級社会だとか、身分差別と言われる枠組みである。
そこには権威だとか権力だとかが当然関与するのだろうが、本質的な人間の弱さと狡さがあるように思えてならない。

生まれながらにして区別され、あるいは差別されてきた人々が世界中に存在する。
日本においても未だに出自を差別の対象にしている例がある。
さらに差別されている側が更なる差別を作り出してきた歴史もある。
本書は多くの資料を読み込み、江戸時代以降に焦点をあて（もちろん中正の穢れの問題も書かれている）歴史的な考証を行っている。

本書をすべて理解する器量も才能も小生にはないので、間違った理解をしている可能性もあるが
いくつか備忘録的メモ
徳川家１５代のうち１２人は側室の子供であり、またその側室の出自は重要ではない。
別火と別器（穢れを共有しない、穢れの伝播性）
差別戒名（仏教者が差別側に）や居住地制限
身分、階級を越えての婚姻事例
被差別住民の中の裕福者
立ち上がる被差別民（武州鼻緒騒動、岡山藩の渋染一揆等）
明治政府が廃止した呼称制度、しかし民衆側の反発

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レポート
Yum1com
えっ
2015年6月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
おもんなっ！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！

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レポート
八木下滋
江戸時代に於ける「えた・ひにんの実態」
2005年1月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
タイトルは「身分差別社会の真実」であるが、内容は身分差別社会全般を扱っているわけでなく、「えた・ひにんの実態」と言えるものである。学校教育から知ることの出来ないその実態には、以下のことなどが挙げられる。
■えた・ひにんの身分は政治権力のみによって作られたのではない。
■えた・ひにん身分の中にも大地主になり、裕福な暮らしをしている者がいた。
■履き物、灯心、砥石などの生産・販売もえた・ひにん身分の仕事とされていた。
■えた・ひにん身分の人たちは下級警察的役務にも従事していた。
えた・ひにん身分の人たちが差別されていたことは確かだが、それ以外の人たちとの交流を断たれて社会の片隅に追いやられ、惨めな非人間的生活を送っていたと言うわけでもない。えた・ひにんの実態から、江戸時代の身分差別社会を単純にピラミッド化して考えない方がよいと教えてくれる著作である。

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55人のお客様がこれが役に立ったと考えています

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レポート
θ
被差別民はなぜ生まれ、どう生きたのか
2011年11月23日に日本でレビュー済み
江戸時代の身分というと「士農工商・えた・ひにん」と習い、「えた・ひにん」は幕府によって不満そらしのために作られた、などといったことを教科書では教わる。
だが、それは実態に大きく反するものである。

まず「士農工商」の「農工商」については、序列化や身分の固定化は実質なされていなかったと言ってもいい。
実際、農民と商工人同士での身分変更はいくつも起きていたし、重視されたのはむしろ「金の有無」であった。
なので、これらはひとくくりに「平人」とされていたと考えられている。

また「えた・ひにん」は幕府などの権力によって作られたというのも歴史に反している。
中世においてすでに、被差別民としての「えた・ひにん」は存在していた。
幕府は、すでに存在している差別を「利用した」というのが実態に近い。

被差別民は、血や死などの「ケガレ」に関わる仕事につく人たちがその元であったと考えられる。
その「ケガレ」が人々から意味遠ざける要因ともなり、しかし一方で畏怖や崇高さの要因ともなっている。
しかし、この「畏怖」の念の方が次第に弱まり、結果として差別の側の心理が強まる結果となったのである。
そうした「ケガレ」の観点から、被差別民は人づきあいや居住の差別を受け、場合によっては戒名などで死後までも差別を受けることとなっている。

しかし、被差別民が必ずしも貧しかったわけではない。
例えば牛馬の死体を扱う被差別民には、皮革業によって大きく財をなすものもいたという。
また、医師などの高度な技能を有する被差別民も存在していた。

差別は「上が勝手に作って押しつけた」というより「我々一般人の中から出てきたもの」という側面の強さを感じさせられる。
その最たるものは、解放令に対する被差別部落襲撃が各地で起きたことである。
彼らは、解放令によって被差別民と自分たちが同列になることを嫌い疎んだのであろう。
差別の根深さを考えさせられるエピソードである。

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19人のお客様がこれが役に立ったと考えています

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読書散歩
「士農工商」という用語は誤解を生むことを解明
2012年11月6日に日本でレビュー済み
江戸時代の身分制度が士農工商＋「えた」「ひにん」からなっていたという通説が誤解を与えるものであり、不適切な表現という指摘から、本書は始まる。

あえていえば武士階級と平民（農民、町民と商人）と、そして被差別階級があり、それぞれの内部での上下関係は厳しく固定であったという。そして江戸時代には、その時代の身分制度の表現として「士農工商」のような用語はなかったらしく、この用語が妙な市民権を得るのは明治に入ってからのようである。このことが確認され、本書はその後、畿内を中心に全国に広まった中世、近世以降の被差別階級の生活の実態にメスを入れる。

彼らは斃牛馬の処分にあたり、皮革業、雪駄の生産と販売、砥石の生産に従事した。特別年貢納令の枠がはめられたこともあり、平民との婚姻は著しく制限され、下級警察組織、番牢人の役割もになった。ケガレた存在として忌み嫌われ、社会的地位は貶められた。しかし、一面で彼らの生活は必ずしも悲惨なばかりでなく、それなりの豊かさを確保したものもいた。また、被差別階級の地位の改善のために闘った事例の紹介もある。

著者はこれらの被差別階級がどうして存在するようになったのかについて、それがときの権力によって意図的に作られたものとする見解を排し、「みんな」すなわち「社会」によって生み出されたものとする見地に立っている。従来の多くの研究成果をふまえ、実例をあげ、問題に切り込んでいく姿勢は評価できる。

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kengen
蔑視文化
2012年7月26日に日本でレビュー済み
日本は不幸強要社会。お互いに不幸を強要し合う社会。
人種差別よりひどい。同じ人種でありながら差別まみれの思考回路。
他人を蔑視する努力に全力を尽くす民族。現代に通ず。

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たこたこ屋
江戸時代は総差別時代
2008年1月30日に日本でレビュー済み
学校の歴史の授業で、誰もが士農工商というものを習う。しかし、これはあくまで教師が教えやすいように、クローズアップしただけのものである。実際には天皇、公家、将軍、大名、家来、浪人、旗本、御家人、親藩、譜代、外様、名主、組頭、五人組、百姓代などなど身分差別のオンパレードだったのである。学校教育によって生み出される思い込みの恐ろしさを教えてくれる書物。

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身分差別社会の真実 (講談社現代新書 1258 新書・江戸時代 2) 新書 – 1995/7/17

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