もんじゃ焼きがトレードマークみたいな下町情緒あふれる、けれど、
どこか優雅で物腰の柔らかな独特の佇まいをも持っている月島十六夜。
その小野大輔演じる月島のキャラソンは、文字通りノスタルジックで
身近な故郷を感じさせる、夕暮れ時を連想させる素朴なスローバラード。
都会の喧騒にはぐれた孤独な心をそっと包み込む、そのさりげない優しさに
心癒される。小野自身のあたたかな歌唱が嫌味なく心に響き、何気ない
思い出がきっと人そのものを形作っているのかもしれないと、ふと思う。
「おかえり」...きっといつでも誰にでも、そう言ってくれそうな、
月島の駅に一度出向いてみたいと素直に思わせる温もりを感じる。
さりげない心の襞を表現する、こだまさおりの巧みな歌詞もよい。
c/wは例の「線路は続くよどこまでも」トラディショナル替え歌ながら、
もっとコミカルなものを予想していただけに、合間に挿入される月島の
「駆け込み乗車はおやめください」「発車します...」などの台詞までもが
たおやかに感じる、短いながらも優雅なちょっぴり和風、旅情的な情緒が味わえる。
何より一番終わりの、連続で短く発する自身の声のコーラスのはもり具合に
妙な色気を感じてしまい(笑)これが聴けるだけでも小野Dのファンは絶対に買い?
思わず聴き惚れてしまう、このたおやかさに、やはりよい声をしていると実感。
c/w2の月島トークは、あくまで予想できる範囲内で列車に迷い込んだ淑女を
優しくエスコート。何気にもんじゃへの心意気を心ならずも熱く披露してしまう
一場面もあり、その直後の冷静に内心自身に失笑しているであろう、その声色の
違いに思わず笑ってしまう。そういった新手の熱血下町っ子っぽい風情といい、
同時に優雅なウォーターフロントでもある、どこかほのぼのした癒しの場を
擬人化したこの月島という人柄に上手く転化しており、それを巧みに演じる、
小野自身の演技の懐の深さを改めて思う穏やかで柔らかな色彩を持つキャラクター。