Amazon.co.jp: 自殺の9割は他殺である 2万体の死体を検死した監察医の最後の提言 : 上野正彦: 本

著者の上野正彦は監察医としてかつて2万体の検死を行ってきた。
一言も言葉を発しない死体の声を聴き、死に隠された真相を解き明かしていく……
それが監察医の仕事である。
もの言わぬ死体を検死している監察医からすれば、死体でさえあれほど多くのことを語っているのに
生きている子どもたちを見ていていじめの実態がわからないはずがない。
自我の確立のない子どもが果たして自殺するであろうか。
「自殺は他殺である」ということを、もっと広く世間に訴えていく必要がある。

大ベストセラー『死体は語る』の上野正彦による、最後の提言ともいえる本作。
弱者が疎外され、孤立していく社会の闇、警察や学校、教師の怠慢、自己中心的な考えになっていく若者たちの姿に
憂いを感じている著者が、年間3万人の自殺者を出す“自殺大国”となった日本の現状に警鐘を鳴らす――。

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本の長さ

207ページ
言語

日本語
出版社

カンゼン
発売日

2012/12/7
ISBN-10

4862551599
ISBN-13

978-4862551597
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登録情報

出版社 ‏ : ‎ カンゼン (2012/12/7)
発売日 ‏ : ‎ 2012/12/7
言語 ‏ : ‎ 日本語
単行本（ソフトカバー） ‏ : ‎ 207ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4862551599
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4862551597

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同じ思いで読みました
2023年4月15日に日本でレビュー済み
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自身の思考と同じだったのでうなずきながら読みました。

いじめも他殺です。勝手に死んだのだから関係ないと、いじめた側が普通に生きていくことに社会の矛盾を感じます。未成年であろうが反省して罰を受ける機会を与えるべきです。浅はかな行動であったとしても、取り返しのつかないことをしたのだと。

後半の監察医に関しても、犯罪を見逃さないために監察医制度を見直すべきと思いました。この本を若いときに読んでいれば、監察医を目指したかもしれません。

題名の、提言という言葉がぴったりの内容でした。この提言を取り入れて、教育界や犯罪学や警察組織など社会で重要な場面で治安維持のために変えていかなければいけないと思います。

テキストとして道徳や犯罪について学ぶにも、良い教材になるのではないかと思います。

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虫
本当に他殺という意味ではない
2017年2月14日に日本でレビュー済み
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最初監察医が書いているというから、「本当に他殺という痕跡が9割の遺体にあったのか」と思ったが、そんなわけはない。直接は手を下していないが、自殺するしかない状況に追い込んだという意味で他殺と言っているのだが、介護やいじめという社会問題が遺体からわかるという信憑性は心を動かす。

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コマ君
上野医師の本は驚かされます
2015年8月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
タイトルに驚き購入しました。海堂尊の小説のように、MRIの検視は絵空事ではないのですね。

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ぴーかぶー
問題を介護という言葉で一括にしていいのか？
2021年5月20日に日本でレビュー済み
老人が多いとの事で、また大家族での老人の自殺が多いのなら個々の事例として千差万別なので安易に他殺としていいのだろうか？安楽死が出来ない日本で選択できない面でそうなっているのかもしれない。
介護でそこそこ上手くいっている家庭もいるなかで、介護と一括に言われたら介護に対して水をさすような意見なような気もしますね。

家族とのコミュニケーションと選択肢の少なさが原因なのでは？それは行政など外野が介入するのではなく家族が解決する問題。家族でコミュニケーションを増やすには経済的余裕と労働などの効率性（家庭内での時間を増やすという意味で）が必要不可欠で倫理面も個々人が向上していかなければいけない。

経済や効率性などを疎かにした日本の失われた30年の結果が、この本の内容と直結するのでは？

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中の人はロボ
今死にたいと思っている人に
2020年10月19日に日本でレビュー済み
今、芸能人の自殺者が相次いでいる。自死者の現実、自殺死体はどのように扱われるのか、遺族はどんな反応をするのか、著者が経験した真実がここにある。
コロナ、不景気、イジメ、孤独、病気、貧困、老い
閉塞感溢れる今の時代に、死にたいという理由は無数にあるが、それを否定しうる救いなんて
他社の無関心が人を殺すように、実はまるで存在しないように思う。

著者の著作には賛否両論あり、それは、
その内容の過激さよりも、皆見たくない現実を突きつけられる恐怖に
怯えている故にも見える。
はっきりしているのは、この医師が、真に死者の尊厳と生きた証を残すために一生をかけたこと。
真に自殺していく人々に悲しさと、救いのない世の中に著しい怒りを感じていること。

そうした命を死者を慰撫するような優しい著者の目は
それでいて、科学的で正確で、わかってしまうから哀しくなる。そんな風に感じる。
”命は自然に産まれたのだから、自然に死ぬのが生物の生き様”という表現、
分かる人にはすごいわかる。

ほんとうにこの世の地獄にあり、ほんとうに死のうとした、死のうとする人にぜひ勧めたい。
自死は理不尽の極みであり実は他殺であるということ＝己が手を汚さず、自覚すらしない殺人。
誰も誰かを死に追いやる権利など持たないということ。
あなたが生きててもまるで構わないということ。目次から引いて気になる項目から読んでみて下さい。

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L
自殺は不幸なことだが、これを「悲しい出来事」で終わらせてはいけない。
2013年2月15日に日本でレビュー済み
　2012年、上野正彦氏の著書です。

　著者は、1929年（昭和4年）生まれ、元東京都監察医務院長、現在は法医学評論家として活躍されている方です。
　ベストセラー「死体は語る (文春文庫)」の著者と言ったほうが、分かりやすいかもしれません。

　監察医は、死体から、他殺・自殺・事故死・病死を見極めたり、死亡時刻・殺害現場・犯人像 etcを割り出していく仕事で、
学問的には「法医学」になります。
　法医学とは、「犯罪捜査のための医学」、同じような事故が2度と起こらないようにする「予防医学」、
またそれを広く社会に訴えかけて生きている人に役立たせる「社会医学」という側面があります。　
　本書では、法医学の持つ上記3つの観点から、自殺、自殺を通じて見える社会的問題 etcについて書かれています。

　著者は、1975年（昭和50年）、老人の検死をして「自殺は他殺だ」と最初に感じたそうです。
　また、老人の自殺を見ると、
「三世代同居の場合」がトップで、次に「独り暮らし」、「夫婦二人暮らし」「子と二人暮らし」という順になります。
　動機は、表向きは「健康問題（病苦）」が多いのですが、実際は「家族・周囲からの疎外」である旨が書かれてます。
　また、いじめ自殺は、老人の自殺と構造が同じであると指摘されています。

　本来、生物というのは、自ら命を絶つようにはできていない。
　自殺とは、「苦しい今の状況から逃れるための手段」であり、結果として命を絶っている。
。。。だから、著者は、「自殺は他殺に等しい」と論じています。

　その他、自殺・他殺・事故死・病死の判別事例や、監察医制度の問題などが書かれています。

　親、教師など教育関連に従事している人は、もちろんのこと、
「死者の人権を擁護する」という観点からは、弁護士の先生方に
制度的な問題（警察・監察医・教育など）の解決・改善に向けて、議員先生方にも読んでもらいたいです。
　まあ、個人的に最も読んでいただきたいと思うのは、年配の方々です。
　理由は、「自分達世代（年配世代）のガード」「孫世代のガード」「多くの票を持っている（政治家は無視できない）」など。

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Green Room
知人が自殺した人も、読んでほしい
2016年7月11日に日本でレビュー済み
日本だけで年間約3万人が自分の命を絶っている。3万を365で割ると、毎日82人以上という、とんでもない数だ。
高齢者の自殺について書かれた部分が心に残った。思いも寄らなかったが、高齢者の自殺は三世代同居､最近では四世代同居もあるそうだが、大家族の中の老人の自殺がトップだという。私は一人ぼっち老人がトップだと思っていたので驚いた。
遺書には、病苦とあるが、それは家族を思いやってのことだ、と上野さんは書いている。（自分さえいなくなれば、まわりの皆が楽になるだろう）という老人の呟きが聞こえるような気がした。
監察医は、死体を見て人を救うこともあるのだ。高齢の男性が、妻を殺したと自首して逮捕された。その検死。病妻は湯槽の中で死んでいた。湯槽内で殺すには、頭を抑えて沈めるのだそうだが、この死体には、腕に掻き傷がたくさんついていた。これは湯から引き上げようとした夫の指の跡だった。殺したのではない、逆に沈んでゆくのを助けようとして果たさなかったのだった。検死の力で、事件ではなく事故と修正されたという。亡くなった奥さんも救われたことと思った。優しい人たちの姿も浮き彫りになる。
上野さんが我慢ならない思いをぶつけているのは、子どもの自殺だ。まだ人格が未熟である子どもが死を選ぶのは、出口を見つけることが出来なかったからだ、まわりにわずかの隙間があればという無念さの背景に、学校、家庭、社会、すべての無関心さを見ていられる。周囲の全員、一人残らず、すべてのひとたちが殺しに荷担したのだ。
ジュール･ヴェルヌの『タイムマシン』という小説の映画で、未来へ行った主人公が眺めた風景の一場面を思い出した。
ゆったりと寛ぐ人々の傍らを流れる川を、溺れもがき流されてゆく人がいる。ところが、寛ぎ憩う人々は、眼に入れていながら何もしない。誰一人表情も変えない。振り向きもしない。腰も上げない。心地よい憩いの、自分のひとときを続けているのだ。大昔のモノクロ映画のこの一場面は、現在にタイムスリップしてきているのではないか。

上野さんの深い愛情が伝わってくる『死体は語る』に優る良書。

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憲政主義者
老人の自殺と子供の自殺は同じではない！（遺族を苦しめる鬼医師！）
2018年9月23日に日本でレビュー済み
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著者は老人の自殺について、家族と同居している老人の自殺が多いことをあげて、「家族から疎外され、孤独になったことが原因」として、自死老人の遺族を責め立てている。しかし、高齢の親を引き取り、世話をした息子夫婦、娘夫婦に対してひどい仕打ちではないか？

大人である老人の自殺と、子供の自殺は全く違う。そして、この全く異なる自殺を同じものとしているところが、愚かであり悲劇である。

まず、高齢者にはうつ病が多いが、うつであることに気づかないで悪化し、自殺をしてしまっている例が極めて多いことを知っているのか？　これはうつに対する知識が普及していないことが原因であり、医者でもうつを見逃すことが多いからだ。まして、子供夫婦がそれを見つけられるわけがない。それなのに、高齢者がうつで自殺をしたら、それは家族の疎外が原因だと言うのか？

それから、家族の疎外からの孤独が原因だとしても、それは家族だけが責められることなのだろうか？　そもそもが二世帯、三世帯同居で老親と子供夫婦との間で争いが多いことはよくあることであり、そこで高齢で自分の感情を上手くコントロールできない高齢者の方が死を選んでしまう確率は高いだろう。

さらに、親の中には子供にストレスを与えるだけの「毒親」が存在する。親との葛藤を抱えている子供は多く、毒親の数は思ったよりも多そうだ。子供にしてみれば、嫌で仕方がないのにも関わらず我慢して毒親を引き取ったのに、文句ばかり言われているなどという例もあるのだ。そんな親が自分の無理な要求を聞かない子どもへの見せしめのために自殺をしても、やはり親に絶対服従しなかった子供が悪いのか？

この著者は自分自身が高齢で、昔の「子供は親に孝行すべき。親の面倒を見るべき」という価値観を絶対視しているために、老人が自殺したら、それは同居家族が疎外し、責め立てたからに違いないと非難する。がんばって親の面倒を見てきた同居家族にしたら、傷口に塩を塗り込まれるようなものだ。

この本は自死老人の同居家族を苦しめている。今からでも、その部分を削除して、改訂すべきだ。

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