まるで英国版楳図かずおといった風貌のキャプテン・センシブル。伝説的パンク・バンド「ダムド」のメンバーだった方だが、むしろNW的に重要なのはYMOとも親交が深かったトニー・マンスフィールドがヒットメイカーとして初めてその頭角を現した点なのは周知の事実。
古いミュージカル「南太平洋」の楽曲を80年代風に蘇らせた“HAPPY TALK”(全英1位)を収録している点でNEW WAVE好きには広く知られている本作(82年)。80年代風といってもオールディーズ特有の“緩さ”、“暖かさ”はそのまま残され、それに何より原曲の繊細なメロディーをより際立てるシンセによるアレンジメント。派手さよりもメロの良さをいかに最大まで引き出すか、これこそがまさにプロデューサー、トニマンの神髄でしょう。このスタイルをそのまま持ち越し応用したのが「ネイキッド・アイズ」であり、彼にとっては本作の続編的位置付けなのかもしれません。どうしても“HAPPY TALK”ばかり聴いてしまいますが、他のキャプテンのオリジナル曲も、出来はまちまちとはいえパンクからはかけ離れた伝統的な英国ポップで聴きやすいです。