ジカ熱感染女性の世界的データベース作成へ、スイス医師
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【8月17日 AFP】ジカ(Zika)ウイルスに感染した女性の世界的な登録名簿を作成するため、スイスの医師らが、各国の医療関係者にデータの提供を呼びかけた。チームの主任研究者が16日、明らかにした。
ローザンヌ大学病院(University Hospital in Lausanne)産科研究部のデービッド・ボー(David Baud)医師は、ウイルスとその感染についての理解を深めるために、このようなデータベースが喫緊に必要であると指摘する。
ジカウイルスをめぐっては新生児の先天性異常の原因とされているほか、その他の神経障害を引き起こす恐れもあると考えられている。
ジカ熱への感染で発症するジカ熱は、2015年以降に中南米およびカリブ(Caribbean)海地域を超えて広がった。これを受けて世界保健機関(WHO)は今年2月、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した。
8月初めの時点で、65か国が過去20か月間での蚊を媒介した感染について報告している。
当初は、蚊を介してのみ感染するとされたジカ熱だが、現在では、性行為や輸血でも感染すると考えられている。ただ、その詳細についてはよく分かっていないのが現状だ
■氷山の一角
性行為を通じた妊婦への感染で胎児への影響はあるのか? なぜ一部の新生児にのみ先天性異常が生じるのか? そのリスクは誰にあるのか? ──ボー医師は、これら疑問への答えを見出すためには「ビッグデータ」を調査する必要があり、そこに隠されたパターンを読み解く必要があると説明する。
そして、これまでに報告された症例は「氷山の一角」に過ぎない可能性もあると指摘した。
今回、呼びかけの対象となった婦人科医や産科医は4000人以上に上っている。すでにその一部は患者についての匿名のデータを、標準化されたフォーマットに記入するかたちで提供している。
ボー氏ら4人の医師は、この取り組みついて、医学誌「ランセット感染症ジャーナル(Lancet Infectious Diseases)」で説明している。(c)AFP/Marlowe HOOD