英総選挙、あえぐ中産階級「アルディの母さん」取り込みが焦点
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【4月1日 AFP】デービッド・キャメロン(David Cameron)首相率いる保守・自民連立政権の下、経済回復を遂げているにもかかわらず、英国の中産階級は悪戦苦闘している。
5月の総選挙に向けた選挙戦で焦点が当てられているのが「ウースターの女性(Worcester Woman)」とか「アルディの母さん(Aldi Mum)」と呼ばれるこの層だ。「ウースター」とは浮動票が多い、イングランド西部ウェストミッドランド(West Midlands)のウースター(Worcester)の選挙区のこと。「アルディ」とは、緊縮財政下の英国で人気を広げてきた格安スーパーマーケットのことだ。英全土で低所得にもがく有権者の取り込みを狙う政治家たちが、この層をひとまとめに言い表すために作り出した造語だ。
■物価上昇に追いつかない賃金、世論が共有する不安
現在は保守党が議席を握るウースター市で、国民保健サービス(NHS)に勤務する妻のローラさんと暮らすフィル・バーチェリーさんは「物価は毎年上がっていると思うが、賃金は同じままだ」と話す。国際金融危機のあおりで2009年にピークに達した財政赤字を半減させようと、キャメロン首相率いる連立政権は翌10年の発足以降、厳格な緊縮財政を断行してきた。その結果、公共部門の給与は大幅に削減されたか、据え置かれたままだ。英統計局の発表によると、ここ数か月でインフレ率の伸びは急速に鈍化したが、物価は過去5年で11.5%上昇。一方、賃金は7.5%しか上昇していない。
ウースター市内にある格安スーパー、アルディの店舗で会ったスー・ブレナンさんは、介護福祉士をしていたが引退。警察関連の仕事をしていた夫も職を失った。この格安スーパーで食品を購入したり、ボイラーを取り替えたおかげで貯金を続けてこれたという。史上最悪規模の債務危機にあえぐユーロ圏の国々について「私たちは悪戦苦闘している。国内的にも国際的にもね。キプロスもギリシャも苦しみ、今度は私たちの番かもしれない」と懸念する。世論はこうした不安を広く共有しており、高い経済成長率により政治的利益を享受するはずの保守党は、その恩恵を被っていないようにみえる。