【11月21日 AFP】世界人口の約3割にあたる21億人あまりは過体重か肥満であるとの調査報告書が20日、発表された。この数字は2030年までにさらに増加することが予想されるという。

 米コンサルティング大手マッキンゼー・アンド・カンパニー(McKinsey & Company)の研究部門、マッキンゼー・グローバル・インスティテュート(McKinsey Global InstituteMGI)が発表した報告書によると、世界の死因の約5%は肥満に関連しているとされ、喫煙および武力紛争と同等の悪影響を世界経済に及ぼしているという。

 過体重および肥満の人口は、2030年までに世界の成人人口のほぼ半数に達すると報告書は予測している。

 報告書は、政府、小売業者、飲食物製造業者による「協調的な対応」の必要性を指摘。重点的な対策を実施することで、肥満人口の約20%を10年以内に標準体重に戻すことも可能と主張している。

 報告書では、世界中の人々のウエストを細くする助けになるとする74の介入策が示されている。推奨されるものとしては、ファストフード一食分の分量制限、親への啓発活動、学校や職場への健康的な食事の導入などが挙げられた。

 報告書によると、肥満は現在、医療および生産性損失において、世界GDP総額の約2.8%にあたる2兆ドル(約237兆円)の損失を世界経済に生じさせている。喫煙および武力紛争による損失額はこれより多いが、その差は1000億ドル(約12兆円)程度だという。

 体重(キロ)を身長(メートル)の2乗で割って算出する体格指数(BMI)が25を超えると「太りすぎ」とみなされる。

 報告書は、肥満人口は危機的な数字に到達しつつあり、抜本的な行動が不可欠と結論付けている。(c)AFP