【10月21日 AFP】香港(Hong Kong)の梁振英(Leung Chun-ying)行政長官は、外国メディアとのインタビューで、次期行政長官選挙についての民主派デモ隊の要求に応じれば、選挙結果は香港の低所得層に左右されることになると語った。

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street JournalWSJ)とインターナショナル・ニューヨーク・タイムズ(International New York TimesINYT)が掲載したインタビューの中で梁長官は、自由選挙は不可能との見解を改めて示した。

 香港では、民主派デモ隊が3週間以上にわたって座り込みや道路占拠を続けているため、一部の都市機能がまひ状態に陥っている。中国政府は、2017年の行政長官で香港市民に1人1票の直接選挙を認める選挙改革を発表した。だが、指名委員会の選定により立候補者は中国政府寄りの人物に限られる見込みで、民主派デモの参加者たちは「偽物の民主主義」だと非難している。

 WSJとINYTの両紙によると、梁長官は行政長官選挙について「全て数の論理に基づくならば、香港市民の半数にあたる月収1800米ドル(約19万円)未満の人々に向かって話しかけることになるのは明らかだ」と語った。

 香港は、世界で最も貧富の差が大きい地域の一つ。先週末に警官隊との衝突に発展した抗議デモの背景には、広がる格差や法外な不動産価格への不満もある。

 デモ参加者らからは、梁長官が現実を直視せず金融中心地としての香港を支配する少数の富豪の気まぐれに迎合しているとの批判が上がっており、今回報じられた発言によって、デモ隊の怒りはさらに高まる可能性が高い。(c)AFP