フォアグラ販売、最後のスーパーが撤退 デンマーク
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【1月17日 AFP】フランス料理の珍味でありながら、動物虐待に関する批判が絶えないフォアグラの販売をデンマークで唯一継続していたスーパーマーケットチェーンが、その取り扱いを中止した。
同国のスーパーチェーン大手「スーパーベスト(SuperBest)」幹部のマルティン・ブリンシ・エーンケ(Martin Brinch Joehncke)氏は16日、同国で動物愛護に関する議論が広く交わされていることに触れ、その観点に立てば「フォアグラの販売継続は正当化のしようがない」と述べた。
同社はデンマーク国内に92店舗を展開する比較的小規模な小売チェーン。各店舗は地元実業家などによるオーナー経営となっている。うち、これまでフォアグラを取り扱っていたのは10~20店舗だったという。同氏は「わが社が(フォアグラを)最後まで販売していたスーパーだった。合法な製品だが、議論の的になりやすい製品だ」と語っている。
これにより、同国内で現在もフォアグラの販売を続けているのは、チェーンなどに属さず独立した一部の小売店のみとなった。
フランス語で文字通り「脂肪肝」を意味するフォアグラについては、世界各地の動物愛護活動家たちが数十年前から反対運動を展開してきた。フォアグラの生産過程で、カモやガチョウを動くことはおろか翼を広げることすらできない狭いケージに押し込め、喉にプラスチックチューブを通して飼料を胃に直接に流し込む「強制肥育(ガバージュ)」を行っているとして、生産者は強い非難を浴びている。
フォアグラの販売は米カリフォルニア(California)州で禁止されている他、英上院のレストランではメニューから一掃され、またインターネット小売大手アマゾン(Amazon)も同社サイトでのフォアグラの販売を禁止している。
しかし、フォアグラはフランスではクリスマスをはじめ、さまざまな祝いの席でふるまわれるご馳走の定番。フォアグラ愛好家は、野生の鳥も長距離移動する渡りの際には餌を大量に食べるものだと主張して、フォアグラを食べる習慣を擁護する姿勢を崩していない。(c)AFP