「保護者が消えた子供たち」が語る虐殺の光景 中央アフリカ
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【12月24 日 AFP】中央アフリカ共和国の首都バンギ(Bangui)での激しい戦闘から逃れた避難民が騒然と暮らすキャンプに、子供たちは1人で連れてこられた。肉親はおらず、バンギでの虐殺を目撃して心に傷を負っている。激化した宗教間の武力衝突が首都まで迫り、旧宗主国フランスは、アフリカ連合(AU)の平和維持軍を支援するために兵士1600人を派遣した。
「子供たちは、武装した男たちが家に押し入ってきたと言っている」と、ドン・ボスコ(Don Bosco)のキャンプで働く国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)のエロージュ・ルサンビャ(Eloge Lusambya)氏は話す。「男たちは父親を外に連れ出して銃殺し、逃げようとした母親も撃ち殺した。子供たちは家の中でうずくまっていたそうだ」
この避難民キャンプには約2万1000人が暮らしている。ユニセフの大きな白いテントの横では10代の子供たちがバレーボールをして遊んでいる。大きなマンゴーの木陰では、ボールの代わりに小さなみかんを使ってテーブルサッカーで遊ぶ子供や、演劇のワークショップで平和の詩を朗読する子供たちもいる。
その喧噪の中で、ユニセフのピエール・クラベール(Pierre Claver)氏は、人道支援用語でいう「保護・養育者のいない子供」たちの名簿を手に立っていた。「まだ全員の人数は把握しきれていないが、この状況下で、孤児になった74人を含めて230人いる」。クラベール氏のいう「この状況」とは、過去10日間で600人以上が犠牲になったイスラム教徒とキリスト教徒の衝突による惨劇だ。
悪夢の後にバンギの街から人影が消えたとき、気付くと独りになっていた子供たちもいる。親たちは死んでいるとは限らないが、行方不明のままだ。クラベール氏は「子供たちにとって重要なのは、安全だと感じられること。そうすれば、何もかも失った後に再び、また生きようという意欲が湧く。たばこを吸っている子供も見ました。自分を見失いかけているんだ」と述べた。
子供たちの証言から、キリスト教の民兵がイスラム教徒を虐殺した12月4日から5日かけての夜の恐怖をうかがい知ることができる。それは3月にクーデターで政権を奪取したイスラム教系の反政府連合セレカ(Seleka)の民兵だった者たちが、キリスト教徒を襲撃したことに対する報復だった。
ジョセリン君(12)は、首都から400キロほど離れた都市ボズム(Bozoum)で祖母と一緒に暮らしていたが、クーデター後に国が混乱に陥ると家から逃げ、バンギにいた姉妹の元に身を寄せていた。あの夜、バンギで虐殺が始まったときは独りだった。「4人見た。2人はなたを持って、2人は銃を持っていた。彼らは近所の子供たちを殺した。何度も思い出すし、怖くなる」と静かに語った。
サッカー場の横で会ったサンシル君(13)は「セレカが僕たちの地区に来て、攻撃してきたんだ」という。「家に一軒一軒押し入って、物を奪って、人を殺したんだ」。近所の人がサンシル君をドン・ボスコの避難キャンプに連れて来た。家族や親戚の消息は分からない。「親やおじいちゃん、おばあちゃんのことをよく考える。死んでいるかもしれないし、分からない」
ジョセリンちゃんは、聖アンネ児童養護施設に入れられた。10日前に虐殺が起こる前からいた約40人の孤児に新たに8人が加わった。
バンギで子供たちの回復と育成を支援するレオン神父は「学校やいろいろな活動がないと、この子たちは常に危険に晒されることになる。もしも、道端で金をもらえると約束でもされたら…」と案じた。(c)AFP/Stéphane JOURDAIN