オバマ氏ら3首脳、マンデラ氏追悼式で「自分撮り」 不適切との声も
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【12月11日 AFP】米国のバラク・オバマ(Barack Obama)大統領は10日、南アフリカのソウェト(Soweto)で執り行われたネルソン・マンデラ(Nelson Mandela)元大統領の追悼式に出席し、多数の参列者の心を揺り動かす弔辞を述べたが、同日ソーシャルネットワークをにぎわせたのは、オバマ氏がデンマーク、英国の首相と笑顔で撮った「セルフィー(自分撮り写真)」だった――。
オバマ氏と共にこのセルフィーに収まったのは、デンマークのヘレ・トーニングシュミット(Helle Thorning-Schmidt)、英国のデービッド・キャメロン(David Cameron)の両首相。3首脳は追悼式の会場となった2010年サッカーW杯南アフリカ大会(2010 World Cup)の決勝戦が開催されたスタジアムで並んで腰を下ろし、シュミット首相が中央で自分のスマートフォンを掲げ、オバマ氏がそれを横から支えるようなしぐさで3人そろってにっこりと笑顔を見せている。
これとは対照的に、オバマ氏の左横に座るミシェル・オバマ(Michelle Obama)米大統領夫人は打ち解けた様子の3首脳には加わらず、5日に95歳で死去した南アフリカの反アパルトヘイトの英雄であるマンデラ元大統領に対し世界の指導者らが追悼の言葉を捧げる演壇の方をじっと見つめていた。
3首脳がセルフィーを撮る写真を大手国際メディアが紹介すると、すぐさまソーシャルメディア上に広がり、多くの利用者からはこの楽しそうな様子は追悼式の場には不適切ではないかと疑問視する声が上がった。これについて3か国の政府からはコメントは出されていない。
このセルフィー撮影の瞬間を捉えたAFPのロベルト・シュミット(Roberto Schmidt)カメラマンは、普段非常に管理された環境下でしか目にすることのない政治家の人間らしい姿を見ることは興味深かったとしながらも、この写真が世界にインパクトを与えたために類まれな偉人の功績をたたえる式典の印象がかすんでしまうことを危惧した。
「AFP取材班は、父と慕う人物を失った南アフリカ国民の様子を報じようと尽力した。国民の心からの感情を伝えようと約500枚の写真を配信したが、取るに足らないと思われた写真が他のあらゆる写真よりも目立ってしまった」として、「これは、われわれが時に社会全体として、日々の何でもない出来事の方に目を奪われてしまうという残念な事実の反映という気がする」と同カメラマンは語った。(c)AFP