【12月10日 AFP】火星にかつて微生物が生息していた可能性のある淡水湖が存在していたことを示す痕跡を、米航空宇宙局(NASA)の無人探査車キュリオシティー(Curiosity)が発見した。米国の科学者らが、9日の米科学誌サイエンス(Science)で発表した。

 湖があった場所に水はもう残っていないが、ドリルで岩石に穴を明けて採取したサンプルを化学分析した結果、数十億年前に微生物が存在していた可能性があることが示されたという。

 岩石には、炭素、水素、酸素、窒素、硫黄の痕跡が確認された。サイエンス誌が掲載した報告では、これら元素は「微生物に最適な生息環境を提供する」とされている。

 地球上でも、洞窟や海底の熱水噴出孔周辺といったこれと似たような環境で、「化学岩石独立栄養生物(chemolithoautotroph)」と呼ばれる微生物が生息することが確認されている。

 火星の岩石からは、実際に生物は見つかっていないが、サンプルを採取した泥岩や砂岩からは、水が存在していたことを示す粘土鉱物が見つかっている。

 キュリオシティー計画に参加する米カリフォルニア工科大学(California Institute of Technology)のジョン・グロッチンガー(John Grotzinger)氏は記者会見で、これら岩石が35億~36億年前のもので、「火星の歴史上比較的若いもの」だったことが今回の発見の驚きの一つだったと述べている。「これは、地球上で見つかった最古の微小化石の時期と一致する」という。(c)AFP/Kerry SHERIDAN