【9月14日 AFP】メキシコの首都メキシコ市(Mexico City)で13日、エンリケ・ぺニャニエト(Enrique Pena Nieto)大統領が進める教育改革に反対して市中心部のソカロ広場(Zocalo Square)に泊まり込んでいた教師らを治安部隊が強制排除した。

 約3週間前から反体制的な教職員組合「National Education Workers CoordinatorCNTE」などがメキシコ市で抗議行動を行っていた。機動隊がソカロ広場に突入し、放水銃や催涙ガスを使用して教員らを排除した。教員らは石や火炎瓶を投げるなどして抵抗した。ソカロ広場付近の道路でも数百人が機動隊と衝突した。

 赤十字(Red Cross)によるとこの衝突で少なくとも29人が負傷した。治安当局は少なくとも11人の警察官が負傷し、「無政府主義者」29人の身柄を拘束したと発表した。

 デモ隊は国際空港へ続く道路を2度にわたって封鎖し、普段から混雑している市内の交通は一層混乱。「チランゴ(Chilangos、メキシコ市の市民)」たちの多くをいら立たせ、日刊紙レフォルマ(Reforma)が先月行った世論調査ではデモ隊の強制排除を支持する市民は59%に上った。

■改革に大なた振るう新政権

 メキシコの教育制度は経済協力開発機構(OECD)加盟34か国で最悪とされており、政府は改革を進めている。ぺニャニエト大統領は今週、教育に対する教職員組合の影響力を低下させ、教師の能力評価を義務化する改革法に署名した。

 教師らは、新たな規則は教職員の労働者としての権利を侵害している上、地方や先住民の多い地域の現状に対する配慮がないと反発している。

 ぺニャニエト大統領は昨年12月の就任以来、教育制度改革をはじめとする大規模な構造改革を進めている。国の管理下にある石油産業を民間にも開放する計画も大きな反発を受けた。しかし与党・制度的革命党(Institutional Revolutionary PartyPRI)はすでに保守派と左派との間で、全勢力がその必要性を認めている改革の遂行に向けた協定を結んでいる。(c)AFP/Yemeli ORTEGA