【6月5日 AFP】米大リーグ(MLB)が、ドーピングへの関与が疑がわれているニューヨーク・ヤンキース(New York Yankees)のアレックス・ロドリゲス(Alex Rodriguez)ら20人の選手に対して出場停止処分を検討していると、米スポーツ専門局ESPNが4日に報じた。

 これほど多数の選手が運動能力向上薬使用で出場停止を科せられれば、米国のスポーツ界史上最大規模のドーピングスキャンダルとなる。同局によると、数週間のうちに決定が下される。

 同局は匿名の情報提供者の話として、米フロリダ(Florida)州マイアミ(Miami)にクリニック「バイオジェネシス(Biogenesis)」を設立したアンソニー・ボッシュ(Anthony Bosch)氏が今週、MLB側と調査の協力で合意し、同クリニックが禁止薬物を提供した選手名を報告すると伝えている。

 この情報が、MLBが処分を科すための決定的理由となり得る。

 ESPNがウェブサイトで報じたところによると、MLBのコミッショナー、バド・セリグ(Bud Selig)氏は、ロドリゲスやミルウォーキー・ブルワーズ(Milwaukee Brewers)のライアン・ブラウン(Ryan Braun)らに対して100試合の出場停止処分を科す可能性があるという。

 100試合の出場停止は、2度目の禁止薬物使用の処分に相当する。ボッシュ氏との関わりがあれば、それを1度目の違反とみなし、ドーピングやボッシュ氏とのつながりを否定する発表を行えば、これを2度目の違反とみなす。

 1か月以上に渡る調査を通じて複数の選手がMLBの捜査線上に挙がっているが、これまでボッシュ氏の協力がなく、裏付けが取れていなかった。しかし、今後1週間でボッシュ氏が関与した選手名を挙げれば、これまで浮かんでいなかった選手も出てくる可能性がある。

 処分を受ける可能性のある選手としてESPNは、トロント・ブルージェイズ(Toronto Blue Jays)のメルキー・カブレラ(Melky Cabrera)、オークランド・アスレチックス(Oakland Athletics)のバートロ・コロン(Bartolo Colon)、サンディエゴ・パドレス(San Diego Padres)のヤスマニ・グランダル(Yasmani Grandal)、ヤンキースのフランシスコ・セルベーリ(Francisco Cervelli)、テキサス・レンジャーズ(Texas Rangers)のネルソン・クルーズ(Nelson Cruz)、ワシントン・ナショナルズ(Washington Nationals)の投手ジオ・ゴンザレス(Gio Gonzalez)を挙げている。

 カブレラ、コロン、グランダルの3人は、禁止薬物使用により昨年50試合の出場停止処分を受けている。

 しかし、ゴンザレスが同クリニックから受け取った薬物は合法的なものであるとして、ESPNは同選手の疑惑が晴れる可能性も報じている。

 今年1月に疑惑が発覚した際、ロドリゲスとブラウンは違反行為を完全に否定している。(c)AFP