【7月8日 AFP】第1子の誕生を控えた英国のキャサリン妃(Catherine, Duchess of Cambridge、31)が、自身は会うことのなかった義理の母、故ダイアナ元妃(Princess Diana)と比較される状況が続いている──。

 結婚前のキャサリン妃がウィリアム王子(Prince William)と出会ったのはダイアナ元妃の不慮の死から4年後。その後、ウィリアム王子とキャサリン妃が婚約した際、王子はダイアナ元妃の形見のサファイアの指輪を「2人をつなぐものとしてふさわしい」とキャサリン妃に贈っている。

 キャサリン妃はしばしば、はっきりした物言いとその魅力的な外見で大衆を引きつけたダイアナ元妃と何かと比べられる。ただ英王室の若いメンバーたちから高い人気を博しているにもかかわらず、キャサリン妃に対する評価は不当なものになりがちだ。中にはキャサリン妃を「ダイアナ・ライト(Diana lite)」などと評するコラムニストもいる。

 ダイアナ元妃に関しては、彼女の持つ人間味そのものが元妃を強力な「シンボル」にした。「民衆のプリンセス」とも称され、元妃自身も生前、「人々の心の女王でありたい」と語っていた。

 ダイアナ元妃同様にキャサリン妃も非公式に病気の子どもたちを見舞ったり、慈善団体の支援活動などを行っている。また、ファッションに関しても同じように注目を浴び、キャサリン妃が着た服を求めて女性が洋服店に殺到するなど、流行も作り出している。

■絶え間なくつきまとうメディア

 キャサリン妃本人はこれまでのところ、公的には控えめでいることを選択しているようだ。事実、英誌OK!は4月、キャサリン妃が慈善活動に関する声明を発表する際、「ケイト・ミドルトン(Kate Middleton、結婚前の名前)の声を初めて聞こう」などと伝えた。

 両妃ともに、現代の王室が直面する最大の試練──絶え間なくつきまとうメディア──に耐えてきた。

 キャサリン妃が慎重になる理由の1つには、仏パリ(Paris)でパパラッチに追いかけられて起きたとされている交通事故で、ダイアナ元妃が死去したことがある。36歳の若さで元妃が死去したことを受け、王室は、このような苦悩や悲劇が二度と繰り返されることがあってはならないと決意したといわれている。

 一方で夫妻がダイアナ元妃の人生で踏襲したいと願っている点もある。英王室の慣習に反して、元妃が常に2人の子供たちのそばにいようとした点だ。

 元妃の私設秘書だったパトリック・ジェプソン(Patrick Jephson)氏はAFPに対し、「元妃は王室の型を破った」、「公務にはウィリアム(王子)を連れて行ったし、子供たちを寝かしつける時間に帰宅できるよう常に気を使っていた」と語った。

 また、公務で外国に出かけた時にも、元妃は子供たちと電話で話すために、英国との時差を考慮して宿泊先に戻っていたという。ジェプソン氏はさらに「どこにいようとダイアナ元妃の心には、いつも2人の息子がいた。きっとキャサリン妃もそうなるはずだ」と語った。

■キャサリン妃は強い意志を持った女性

 キャサリン妃が出産予定のロンドン(London)市内のセント・メアリー病院(St Mary's Hospital)は、ダイアナ元妃が1982年にウィリアム王子を出産した病院。当時、王室のメンバーが王宮外で出産することは異例のことだった。

 メディアに追いかけられ続けたダイアナ元妃だが、その一方で元妃もメディアを利用してもいた。インタビューでは、チャールズ皇太子(Prince Charles)との離婚について自らの立場を主張し、批判を交えて英王室メンバーたちとの関係についても語っていた。

 キャサリン妃は元妃とは異なる道を進んでいるように見える。息苦しさはある程度薄れ、王室にも溶け込んでいるようだ。

 外見上は控えめなキャサリン妃だが、「切れ味鋭い一面」をのぞかせることもある。「ウィリアム王子と付き合えるなんてラッキーね」との大学の友人の言葉に対し、キャサリン妃は「私を彼女にできた彼がラッキーなのよ」と返したという。

 ジェプソン氏も、キャサリン妃が王室の一員としての多くの資質を備えていると考えているようだ。「(キャサリン妃は)強い意志を持った女性だ。自身が置かれた地位についてのしっかりとした考えを持っている。将来、王妃になる心構えもある。彼女が現在すべきことは、その準備であることも理解している」 (c)AFP/Judith EVANS