【2月8日 AFP】(一部更新)人類はサルから進化したとされているが、そのはるか昔には虫を食べる小さな4足歩行動物だったとする研究論文が7日、米科学誌サイエンス(Science)に発表された。

 6年に及ぶ国際研究では、現代と先史時代のさまざまな種の遺伝的・身体的特性を含む大量のデータを分析し、哺乳類の進化の詳細な系譜を再現。中でも、人類やウマ、クジラなどを含む胎盤哺乳類に焦点を当てた。

 これまで広く受け入れられていた仮説では、地球上の恐竜を含む全生物種の70%が消え去った大量絶滅以前にも多様な胎盤哺乳類が存在していたと考えられていたが、国際研究チームが導き出した結論はこの通説を覆すものだった。

 従来説は遺伝データのみに基づいていたのに対し、今回の研究では遺伝的証拠と解剖学、化石に残された証拠を組み合わせ、より詳細な胎盤哺乳類の進化史を描くことに成功した。特に重要な発見は、進化の分岐点を恐竜の絶滅後と特定したことだ。

 論文の主執筆者である米ニューヨーク(New York)・ストーニーブルック大学(Stony Brook University)のモーリーン・オリアリー(Maureen O'Leary)氏は、「げっ歯類や霊長類は鳥類を除く恐竜たちと共存していたわけではなく、恐竜が絶滅してから間もなく、せわしなく動き回って虫を食べていた小さな動物から枝分かれした」と説明している。

 新説によると、恐竜が絶滅してから20万~40万年後、小さな胎盤哺乳類がさまざまな種に枝分かれを始め、驚異的な多様性を持つに至った。こうした進化の末に、現在の地球上には5100種以上の胎盤哺乳類が暮らしているのだという。

 研究チームは今回の研究結果について、過去に何度か起きた気候変動を哺乳類がどう生き抜いたのか、地球温暖化に直面している現代の人類はそれをいかに役立てることができるかという、極めて重要な問いへの答えを与えてくれるかもしれないと話している。(c)AFP/Naomi Seck