サメは色を見分けられない、オーストラリア研究
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【1月19日 AFP】サメは色を識別できないとする研究結果が18日、ドイツの学術誌「Naturwissenschaften」に掲載された。海で泳ぐ人やサーファー、そしてサメ自身にとっても「朗報」だという。
西オーストラリア大(University of Western Australia)の研究チームは、顕微分光測光法と呼ばれる手法を用いて、クイーンズランド(Queensland)州およびウエスタンオーストラリア(Western Australia)州沖で捕獲された17種のサメの網膜細胞を調べた。
17種すべてに共通する光受容器官は棒状の「桿(かん)体細胞」だった。この細胞は光には極めて敏感で暗闇の中でも視界が効くが、色の識別は不可能だ。
また、17種のうち10種で円錐状の「錐体細胞」が全く見あたらなかった。人間の網膜にもあるこの細胞は、光を波長に基づいて個々の色を識別するが、7種で見つかった錐体細胞はすべて、緑色の波長にしか感応しないタイプのものだった。
以上から、サメはグレーの明度は識別できるものの、色相の識別は不可能と考えられるという。
色相の識別が生存のカギとなる陸生動物では、色覚がないことは極めてまれだ。ところが、海洋環境では色覚はさほど重要ではない。海中では底に行くにつれて波長の長い光は吸収され、色相は減っていくため、薄闇の中の餌や捕食者を色の「濃さ」で識別できることのほうが生存を左右するからだ。
なお、クジラ、イルカ、アザラシがもつ錐体細胞も、緑色にしか感応しないことがこれまでの研究で分かっている。
今回の発見を応用すれば、サメの攻撃を未然に防げる水着やサーフィン用品や、サメが誤って底引き網にかかるのを防ぐ漁具などを開発できるかもしれない。(c)AFP
西オーストラリア大(University of Western Australia)の研究チームは、顕微分光測光法と呼ばれる手法を用いて、クイーンズランド(Queensland)州およびウエスタンオーストラリア(Western Australia)州沖で捕獲された17種のサメの網膜細胞を調べた。
17種すべてに共通する光受容器官は棒状の「桿(かん)体細胞」だった。この細胞は光には極めて敏感で暗闇の中でも視界が効くが、色の識別は不可能だ。
また、17種のうち10種で円錐状の「錐体細胞」が全く見あたらなかった。人間の網膜にもあるこの細胞は、光を波長に基づいて個々の色を識別するが、7種で見つかった錐体細胞はすべて、緑色の波長にしか感応しないタイプのものだった。
以上から、サメはグレーの明度は識別できるものの、色相の識別は不可能と考えられるという。
色相の識別が生存のカギとなる陸生動物では、色覚がないことは極めてまれだ。ところが、海洋環境では色覚はさほど重要ではない。海中では底に行くにつれて波長の長い光は吸収され、色相は減っていくため、薄闇の中の餌や捕食者を色の「濃さ」で識別できることのほうが生存を左右するからだ。
なお、クジラ、イルカ、アザラシがもつ錐体細胞も、緑色にしか感応しないことがこれまでの研究で分かっている。
今回の発見を応用すれば、サメの攻撃を未然に防げる水着やサーフィン用品や、サメが誤って底引き網にかかるのを防ぐ漁具などを開発できるかもしれない。(c)AFP