数量の瞬時判断能力が「数学」得手不得手の分かれ目か、米大学
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【9月8日 AFP】人には数量を直観的に判断する能力が生まれつき備わっているが、これには大きな個人差があり、数学の能力とも密接にかかわっている。米ジョンズホプキンス大学(Johns Hopkins University)のこうした研究が、7日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。
米国で10代の子どもたちに行われた実験で、数量を瞬時に概算する能力(approximate number system、ANS)が高度に発達した子どもでは学校の「算数」でも早い時期から好成績を収めていることが明らかになった。
サル、ネズミ、そして生後4か月の乳児にもANSが備わっていることは、これまでの研究で確認されている。ANSが進化の根源になっている可能性も指摘されている。同大の認知科学者、ジャスティン・ハルバーダ(Justin Halberda)氏は、「食べ物を探すとき、バスで座席を見つけるとき、鳥の鳴き声の種類を聞き分けるときにも、ANSが必要とされる」と説明する。
これまでの研究で、ANSは「頭頂間溝」という脳の非言語分野で統括されていることがわかっている。だが、算数や厳密な計算をする時には、脳の別の分野が統括する「言語」が必要とされる。
■「数の当て推量」得意な子どもは算数の成績もよい
チームは、14歳児64人に対し、10から32個の青色と黄色の点が混在した画像を5分の1秒間見せ、それぞれの画像で数が多い方の色を答えてもらうという実験を行った。すると、一部の子どもは高い正答率を示した。その子どもたちは10年前に幼稚園児を対象に行われた算数のテストでも好成績を収めていた。また、正答率が低い子どもでは同テストの成績が低かった。
この結果から、知能指数などの要因を差し引いても、ANSと算数の成績に相関性が認められると、チームは指摘している。
先のハルバーダ氏は、「ANSが低いと数学が得意にはならない、または、ANSが高いと数学が得意になる、ということにはならない」と念を押す。また、練習やトレーニングによってANSを開発することが可能なのか、それによって数学の成績を伸ばすことができるのか、といった点についても現段階では不明だという。(c)AFP
米国で10代の子どもたちに行われた実験で、数量を瞬時に概算する能力(approximate number system、ANS)が高度に発達した子どもでは学校の「算数」でも早い時期から好成績を収めていることが明らかになった。
サル、ネズミ、そして生後4か月の乳児にもANSが備わっていることは、これまでの研究で確認されている。ANSが進化の根源になっている可能性も指摘されている。同大の認知科学者、ジャスティン・ハルバーダ(Justin Halberda)氏は、「食べ物を探すとき、バスで座席を見つけるとき、鳥の鳴き声の種類を聞き分けるときにも、ANSが必要とされる」と説明する。
これまでの研究で、ANSは「頭頂間溝」という脳の非言語分野で統括されていることがわかっている。だが、算数や厳密な計算をする時には、脳の別の分野が統括する「言語」が必要とされる。
■「数の当て推量」得意な子どもは算数の成績もよい
チームは、14歳児64人に対し、10から32個の青色と黄色の点が混在した画像を5分の1秒間見せ、それぞれの画像で数が多い方の色を答えてもらうという実験を行った。すると、一部の子どもは高い正答率を示した。その子どもたちは10年前に幼稚園児を対象に行われた算数のテストでも好成績を収めていた。また、正答率が低い子どもでは同テストの成績が低かった。
この結果から、知能指数などの要因を差し引いても、ANSと算数の成績に相関性が認められると、チームは指摘している。
先のハルバーダ氏は、「ANSが低いと数学が得意にはならない、または、ANSが高いと数学が得意になる、ということにはならない」と念を押す。また、練習やトレーニングによってANSを開発することが可能なのか、それによって数学の成績を伸ばすことができるのか、といった点についても現段階では不明だという。(c)AFP