【9月4日 AFP】メキシコ北部チワワ(Chihuahua)州シウダフアレス(Ciudad Juarez)の警察当局は3日、性的暴力への報復としてバス運転手2人を殺害したとみられる女の行方を捜査中であることを明らかにした。

 地元メディアには、「性的虐待への復讐だ」という「バス運転手ハンター・ダイアナ」との署名入りのメッセージが送り付けられた。シウダフアレスは、女性が被害に遭う犯罪が多発していることで知られる。

 メッセージには、「私も同僚たちも黙って苦しんできたが、もう黙っていることはできない。私たちはフアレス(にある工場)で夜間に勤務する運転手たちから性的暴力を受けた被害者だ。多くの人たちが私たちの苦しみを知っているのに、誰も私たちを守ろうともしてくれない」と書かれていた。さらに、今後も復讐を続けると警告していたという。

 チワワ州検察局の報道官、アルトゥーロ・サンドバル(Arturo Sandoval)氏は先週末にAFPに送った電子メールで、地元メディアに送られたメッセージも捜査対象になっていることを明らかにした。また、当局は容疑者の似顔絵を作成し、おとり捜査官をバスに乗せるなどの捜査を開始している。

■通勤途中に被害相次ぐ

 事件の目撃者らによると、バスが停車した後、金髪のかつらをかぶった女が運転手らの頭を撃った。女は50代くらいで身長は約165センチ、浅黒い肌をしていた。サンドバル氏によると検察は、一時の激情に駆られた犯行、または復讐だとみている。

 被害者は同市のマキラドーラ(Maquiladoras、輸出保税加工区)の組み立て工場群に勤める女性たちが利用するバスの運転手だった。夜勤の女性たちは日常的に、通勤途中で性犯罪の被害に遭っているという。

 米テキサス(Texas)州と国境を接するシウダフアレスは1990年代、極めて残忍な性的虐待を受けた痕跡のある女性数百人の遺体が砂漠で発見されたことで広く知られるようになった。

 被害者の大半は、北米自由貿易協定(North American Free Trade AgreementNAFTA)の締結によってもたらされた製造業の急成長により、同市の製造工場で働くようになった別の地域出身の女性たちで、夜明けに勤務を終え、工場を出た後に行方不明になった人たちもいた。(c)AFP