年末になってくると秋植え球根がワゴンセールに出てたりしますね。
安いけど本当に咲くのかなーって不安に思いながら手に取ったりひっくり返したりするわけですが、経験的に暖地の地植えだったら年内植え付けでだいたい咲きます!( ・`д・´){You買っちゃいなよ!
良いチューリップ球根の見分け方
brewbooks / CC BY-SA
チューリップの球根は9月頃から出回ります。場合によっては種苗会社の通販カタログを手元に置いて、5月頃から購入の目星を付けているという猛者もいますね。
しかし、一般的には秋に店頭で購入するケースが大半でしょう。良い花を咲かせるために、まずは基本となる球根の選び方について見ていきたいと思います。
良いチューリップの球根
良い球根かどうかの一般的な見分け方は、やはり見た目が綺麗なことです。全体にふっくらしていて適度な重みがあり、目立つ傷が少ない球根を選びましょう。
チューリップの球根に蓄えられている主な栄養素は炭水化物です。身が締まった重い球根はそれだけの養分を溜め込んでるので発芽力も高いです。甘いトマトが水に沈むのと同じ理由ですね。
また、掘り上げられてから管理が行き届いている球根は薄皮に艶があります。薄皮の厚さや丈夫さは品種によって多少異なるので、多少破れてる程度なら問題ありません。
球根本体に大きな傷がないのもチェックしたいところです。輸送途中などで傷がつくと、土に埋めたときに雑菌が繁殖して腐ってしまうことがあるからです。勢い、球根に傷がなければ薄皮は全部むけてても構いません。
良くない球根
反対に、あまり良くない球根は次のようなものです。
持った感じが軽い理由はいくつかあります。掘り上げた時点で球根に十分栄養が溜まってなかった、輸送・販売中に極度に乾燥してしまった、カビの脱水作用で水分が抜けてしまった…などなど。
既に発芽・発根してしまった場合、一度傷ついた球根からは新たな芽や根が出てくることがありません。開花の可能性がグッと落ちてしまうので購入後は速やかに植え付けましょう。
特に、芽の中には花芽も埋まっています。もし芽を数cm切り落としてしまったとして、その中に花首が入っていたら完全にアウトです。
また、球根に大きな傷が出来ると腐敗に繋がります。茶色いかさぶたのような病変がある球根も出来るだけ避けます。
最悪の話、周囲に植えた他の植物にも悪影響を及ぼすことがあります。残念ですが、あまり状態がひどいものは植えずに処分した方が無難でしょう。
球根の植え付け時期は?
暑さも和らいだお彼岸頃からが植え付けのシーズンです。ただし近ごろ流行りの西洋アサガオや枝咲きヒマワリは花期が長いので、秋の台風シーズンが過ぎるまで抜くに抜けないってことも少なくありません。
鉢植えだったら別のコンテナを用意しておく、地植えならボーダーガーデン風にして「あえて見頃が早めに終わるライン」を作っておくと作業に無駄が出ません。
花期の長い品種は便利なんだけど、季節感を出そうとすると善し悪しなんですよね。見頃が過ぎたら花が残っててもばんばん抜いちゃえる人なら気にならないんでしょうけど、貧乏性だとどうも忍びなくていけません。
この辺は金持ちガーデナーと貧乏性の人では栽培計画がかなり変わってくるので、どこに何を植えるか前の年からよく考えといた方が良いです。(いやマジで)
アイスチューリップの遅植え
チューリップの遅植えを、近年増えてる「アイスチューリップ」と普通のチューリップの2パターンに分けます。
冷蔵処理によって開花調整された球根を「アイスチューリップ」と言います。「アイスチューリップ」という種類のチューリップがあるわけではなく、冷蔵による催芽処理したチューリップをそのように呼んでいます。ありふれた品種のチューリップから有名品種まで色々流通してます。
「アイスチューリップ」とは、球根に生来備わった温度センサーを人工的な温度管理によって「春が来た」と勘違いさせる技術です。普通に植え付けたものより短期間に生長・開花するので、秋に植えると冬季に開花して長く楽しめます。
で。この技術を使うと通常より早く成長しますから、通常なら植え遅れとなる年明けに植え付けても春に咲きそろうというわけです。
年明けに買った球根でも「アイスチューリップ」の芽出しポット苗なら通常通り咲くでしょう。東京近郊で1月いっぱいなら問題ないと思います。
植え付ける際に芽や根を傷つけないよう慎重に作業して下さい。
チューリップ・ブック―イスラームからオランダへ、人々を魅了した花の文化史 |
単に植え遅れたチューリップを咲かせたい
実は、本稿はここからが本題です。(^^;
「年末のワゴンセールで買った球根」や「掘り上げたまま完全に忘れ去っていた球根」は、どこまでの遅植えに耐えられるのか!?
あくまで私や知人の個人的な栽培経験になりますが、太平洋側の暖地で年内の地植えなら高確率で咲く印象です。うまくいくと成人式くらいまで何とかなります。
コンテナ栽培だと環境の変動が激しいので確率が下がるかも知れません。
日当たりの良い場所に地植えする
チューリップの球根は一年以上の掘り上げに耐える力がないので、翌シーズンに持ち越すことが出来ません。既に手元に球根がある場合はダメ元で植えて下さい。
その際、明らかにカビが生えまくってる球根や茶色く腐ってる球根は処分します。表面が乾燥気味で多少ショボショボになってることもありますが、そこは大目に見ましょう。干物みたいに軽くなければ中の方は生きてます。
生育期間が限られてるので、出来るだけ日当たりの良い(地温が高い)場所を確保してやって下さい。法面など「日当たりは良いけど割とどうでも良いスペース」があると精神衛生上よいです。
「咲くか咲かないかも判らない球根に日当たり良い場所なんか使えないわ」という場合は残念ですが処分して下さい。どうしてもコンテナしか使えない場合は出来るだけ大きい鉢を用意して下さい。野菜用の大型プランターなどがおすすめです。
アップルウェアー ファームプランター 深型55 グリーン |
植え付け後すぐには水をやらない
はやく芽を出して欲しくて植え付け後すぐ水をかけたくなりますが、植え遅れの球根は大体乾燥してて水分が抜けてます。乾いた球根が一気に水を吸うと、割れた傷口から腐ることがあります。よほど乾燥してない限り、植え付け後3~4日は水を掛けないほうが無難です。
余談ですけど、給水作業が必要とされるラナンキュラスなどの球根も植え付け後の水やりを控えれば乾燥球根をそのまま植えても結構いけます。(あくまでズボラ栽培メソッドなので、希少種を確実に発芽させたかったら給水させたほうが無難です。コストパフォーマンスを秤に掛けて決めて下さい。)
植え付け後、一週間くらいから普通に水やりします。土がむきだしだと寂しいので、上にパンジーやビオラの開花苗を植え付けると水やりを忘れません。一石二鳥なのでおすすめです。
遅咲きチューリップ後の夏花壇計画も忘れずに
遅植えチューリップが無事開花しても油断は禁物です。遅植えした分、たとえ咲いても咲き始めは相応に遅くなるからです。遅咲き品種だと6月にずれ込むことも珍しくありません。
要するに翌夏の作付け計画が通常パターンと狂うので、咲いても後のことを考えておく必要があるんです。考えられる対処は主に二つ。
花が終わったら球根を育てず即抜く
まず一つめの選択肢は、花が終わったら翌年の球根を育てずに抜いてしまう。
そもそも植え遅れてますから、来シーズンに向けての新球根はあまり期待できません。どうせ新球の取れる見込みがないならさっさと抜いてしまって夏花壇に切り替えるという計画です。その場合でも更新作業は5月末くらいになるので、種の直まき栽培は出来ないと思って下さい。
夏花壇はポット育苗か苗を購入して作り込むことになります。
抜かずにどんどん植え足す
もう一つは咲いたあとのチューリップを抜かずに、そのまま夏花を植え足す方法です。チューリップの球根は出来るだけ葉を残して球根を太らせ、掘り上げないまま土中で夏越しさせます。
梅雨をまたぐので、なるべく水はけの良い土に植え付けて下さい。球根が育ってるかどうかは、夏花壇が終わったあとに掘り上げてみて出たとこ勝負です。翌年の開花球が採れる見込みはやっぱりどうしても低いんですが、相性が良ければ採れます。古い残渣を外してそのまま植え直します。
小さい球根は翌春咲かないかも知れませんが、翌々年まで埋めとけば咲くかも知れないし咲かないかも知れません。当たるも八卦当たらぬも八卦…。(^^;
遅植えのおすすめは原種系チューリップ
こんにち品種改良が進んだチューリップは花を楽しむと翌年の球根が採れないことも多く、一年草として扱う人も少なくありません。
花いっぱいのガーデニングを目指す場合、遅植えすると高確率で翌年の栽培計画に響きます。計画通り勧めたい方には正直あまりおすすめ出来ないです。
でも「咲いたらラッキー」的な、おおらかなガーデニングを目指してる人だったら十分楽しめると思うので是非チャレンジしてみて下さい。(・∀・)
ワゴンセールでチューリップを買うコツらしいコツと言えば、狙いめは小型種です。翌年の球根を作る力も強いので、比較的長く楽しめます。手に入りやすい品種の中では「バレリーナ」がおすすめ。
国華園 球根 チューリップ バレリーナ 10球 |
「原種系チューリップ」「植えっぱなし球根」などの惹句がついてる小型種は特に丈夫です。クロッカスを二回り大きくした草姿で、いわゆるチューリップらしさは少ないですが、ナチュラルガーデンには良く合います。
あと、意外なところで八重咲きの「アンジェリカ」も良いですよ。翌年以降の花は小さくなるし消えちゃうこともあるけど、ゴージャスな割にかなり頑張ってくれます。
チューリップ球根 アンジェリケ |
色々育ててみて、お気に入りの品種が見つかると良いですね。(´ω`*)
こんにちは
去年の8月、オランダの空港で買いましたチューリップの球根、ICE CREAMとMADONNAという名前ですが 置きっ放しにしてしまい 今気がついたら芽が出て来ていました。
今から
この場合、どうしたらいいのか教えていただけませんか?
球根も綺麗ですしいい状態です
15,6個ほどありますが だいたい出て来てしまっています。
宜しく御願い致します。
>Maedaさま
発芽してしまった球根の処置は本文中にある通りです。
チューリップの球根は掘り上げた状態で何年も置いておくことができません。望み薄でも育ててみたい場合はすぐに植え付けてください。
ただし3月末ですと時期的にかなり厳しいです。お住まいが暖地の場合は夏前に雨でやられてしまうことも覚悟してください。これから植えるのであれば水はけの良い用土をおススメします。
品種別に言うと、’アイスクリーム’はかなり難しい品種で、丁寧に育てても日本だとうまく咲かないこともあります。’マドンナ’(緑班が入るタイプでしょうか?)のほうが若干有利かもしれません。
おちさま
お返事ありがとうございました!
神戸市でどちらかというと暖地になるでしょうか
ダメ元で植え付けてみます
ありがとうございました
おちさま
ちゃんと送れなかったかもしれないので
再送します
お返事ありがとうございました
神戸市なので暖地になるのでしょうか
一度ダメ元で植え付けてみます
MADONNAは白地に緑の斑入りです
アイスクリームは難しいんですか
何も知らずに 珍しいので選びましたが…
素人ですね 苦笑
ありがとうございました
>Maedaさま
お返事遅くなりました。
園芸でざっくり暖地というと、東京以西の太平洋側の海沿いを指します。局所的に寒風が強い地域などは少し深植えにすることも。この辺は試行錯誤でお住まいの土地の癖を見つけてください。
チューリップは品種ごとに育てやすさが結構変わるのですが、裏を返せばそれも栽培の魅力と言えるかも知れません。変わった品種をみたら欲しくなる気持ちはわかります!うまく咲くと良いですね。