冬の花壇を彩るハボタン。
アブラナ科の一種で、キャベツやブロッコリーの仲間です。もう少し掘り下げて説明すると、ヤセイカンランと呼ばれる原種から観賞用に特化した園芸種がハボタンです。
他にケール(青汁の原料)、カリフラワー、メキャベツ、コールラビなども全て同じルーツを持ってます。仲間の植物が軒並み野菜であることから「もしかして食えるの…?」という疑問が湧くわけですが、結論から言うと食べられます。
ただ、ハボタンの味については「食べられないことはないけど、あまり美味しいものではない。積極的には勧めない。」みたいな表現を良く見かけるので残念に思っていました。
「それって普段料理しない人の意見では?」ってのが正直な感想です。それに見かける情報の7割方は誰かの受け売りで、実際に自分で食べてませんし。
ハボタンは本当にまずいのか
葉ぼたん 紅衣 サカタのタネ |
かつてハボタンと言えば直径が50cmを越えるような大葉品種がメインでしたが、平成2桁くらいから手のひらサイズの小輪品種が目立つようになりました。現在では更に小型の品種群も増え、いっそう可憐な雰囲気になってます。
確かに「ドスコイ」な存在感を持つ大葉品種は葉も分厚くそれなりに固いんですけど、小型品種は大型種に比べればずっと葉もしなやかです。
野菜も小型品種の台頭によって「火を通すしかない→サラダにも使える」と認識が変化したように、小型品種の登場は単純に食味の底上げに繋がってるはずなのだ…というのが目下の持論。
「ハボタンの葉が固くて口に残る」という通説は、前世紀に広まった話が更新されてないだけという気がします。
キャベツだって外葉は固い
「実際にハボタン調理してみたけどまずい」」って言ってる人、外葉も一緒に茹でてませんか?
キャベツだって外葉はあまり美味しくないです。スーパーで剥いて捨てられるような外葉も筋っぽいですけど、収穫もされずに畑に残される外葉はもっと固い。
キャベツ 金系201 サカタのタネ |
ブロッコリーなんかだと花蕾(食用部)すぐ近くの葉でもかなり口当たりが悪いですよね。
キャベツが癖もなく柔らかいのは、結球によって軟白されてる要素も大きいです。太陽をさんさんと浴びたハボタンの味を比較するなら、せめてキャベツの外葉と比較しないと。
収穫のコツ
ほっこり感が売りの葉茎野菜は「ポキッと自然に折れるところで収穫する」のが基本です。よくスティックブロッコリーやグリーンアスパラガスの農家さんが口を揃えていってますね。
食用に特化した野菜だって柔らかいところしか美味しくないって言ってるんだから、わざわざ悪い条件で調理して文句を言うのはフェアな勝負じゃないと思うの。(。•ˇ‸ˇ•。)
実食
…ということで、実際にハボタンの試食をします。葉緑素が薄い中心部を狙って素直にポキッと折れたところを収穫していきましょう。(・∀・)
とりあえず、エディブルフラワー(食用になる花)として綺麗だと思いませんか?
柔らかい部分しか取ってないので、野菜好きなら生でもいけます。キャベツに比べると多少の癖はあるけど、「味が濃い」「こういう西洋野菜」って言われたら気にせず食べちゃうレベルじゃないでしょうか。
白いハボタンは塩茹でしただけでも十分美味しいし、スープの浮き実なんかにも良いですね。暖かくなって出てきた花蕾は、茹でると色が濃くなります。
紫ハボタンは白と比べると若干癖がありますが、味の方向性としては紫キャベツと同じです。紫キャベツと同様にビネガーでマリネするとマイルドになって色も綺麗。ほんのり苦みがあるので、レモン汁など柑橘系の酸味と良く合います。
ハボタンの先端を詰む効能
ちなみに、ハボタンの先端を詰むのはガーデニング上の効能もあります。春先のハボタンは花芽が上がって迫力のタワーになりますが、あの草姿が好きじゃない人は早めに先端を詰んでおくと春先の伸びが抑えられます。
うまく夏越しできれば脇芽が上がって翌シーズンに「踊りハボタン」としても楽しめます。いつもと違う花壇にしてみたい人は、趣味と実益を兼ねて試してみて下さい。(๑•̀ㅂ•́)و
ハボタンの毒性について
なお、一般的に観賞用として流通する植物を食べる上での注意点も書いておきます。
残留農薬について
市販の花苗だと残留農薬の心配があります。ハボタンを食べる場合は、種から育てた株を使いましょう。
…とは言うものの、アブラナ科植物を無農薬で育てるのは割と大変なので、薬を使う場合は野菜用の農薬を適切にご使用下さい。
有毒植物の確認
食用として流通していないものを食べるときは、あらかじめ毒性について確認しておく必要があります。
手元に有毒生物の資料があると確実ですが、持ってない場合でも厚生労働省のサイトでチェックすると良いでしょう。毒性の高い代表的な自然毒について最低限のリストがあります。
自然毒のリスクプロファイル |厚生労働省
今回は、調べた限り Brassica 属の植物に致命的な毒性が報告されてないので食べました。
アジサイみたいに食用にされてる植物と近縁でも有毒だったり、ギンナンみたいに少量は良いけど大量はダメってことは結構あります。一般に流通しない生き物を食べるときは下調べしてからが吉ですね。
人もペットも気をつけたい 園芸有毒植物図鑑 土橋 豊 |
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