昨日、隣家から吹き込む柿の落ち葉を掃除してたら、焼けた鉄を押し当てたような痛みに襲われました。イラガです。
柿につく虫だと判っていながらの不注意でした。手袋してたけど七分袖だったから隙間を刺されたー! ><
イラガとは「デンキムシ」の異名を持つ蛾の仲間です。幼虫に刺されると 超絶痛いしメチャクチャ腫れます。
イラガに刺されたときは…
感電に似た強い痛みが特徴です。
イラガに刺されたら、一に洗浄、二に毒出し、余裕があれば虫さされ軟膏などを塗っておきます。
慌てて患部をこすったり、かきむしらないのが大切。初動が早い方が効果的です。…とは言うものの、めちゃくちゃ痛いのでこすりたくなる気持ちは良くわかります。
症状が酷いようなら皮膚科へ。
ポイズンリムーバー
フィールドに出る人や園芸趣味の人は、ポイズンリムーバー持ってると便利です。
ポイズンリムーバーとは、その名の通り毒を除去する道具のこと。吸引器の一種です。
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蜂やムカデや毛虫に刺された時、すみやかに毒を排出すると炎症を最小限に抑えられます。
吸引の応急措置としてストローで強く吸うって手もありますが、実際にやってみると結構難しいんですよね。気休め程度に持ってると、意外と出番があると思います。
イラガとは…
イラガ幼虫は夏から秋に発生します。
イラガの好む木・食草
よく発生する樹種は カキノキ(柿)、バラ科(バラ、サクラ、ウメ、ナシ、ベニカナメモチなど)、カエデ類、ヤナギ類、クリ類など。私個人は柿とバラ科が特に多いと感じています。
秋は落ち葉に隠れてることもあるので、吹きだまりなどには気をつけてください。
【2017-10-11追記】先日、ハコネウツギ(スイカズラ科)についていたヒロヘリアオイラガに刺されました…。><
イラガってスイカズラ科にもつくのかよ!…と検索してみたら、複数のガーデニングブログでハコネウツギのイラガ報告を見つけました。スイカズラ類にイラガは珍しくないようです。
ほかにツツジ科にイラガがいたという話も複数ありました。ツツジ科は、いわゆる植え込みツツジの他にもブルーベリーやクランベリーなど新樹種のベリー類が多いので、注意して下さい。
もはやリストアップするのが無意味なくらい広範囲な気もしますが、とりあえず自分の備忘録のためにイラガの食草をまとめておきます。
※イラガと一口に言ってもアオイラガやヒメクロイラガなど数種類います。それぞれ食草には好みの傾向があるので、樹種によって発生頻度に差がある可能性もあります。本稿の主旨は「これらの木を迂闊に触ると超痛いことがあるかも知れない」という注意喚起が目的なので、イラガの生態としておかしなことを言ってたらこっそり教えて下さい。
イラガの繭
冬季に鳥の卵のような殻を作るのも大きな特徴です。
この繭の中で春になるのを待ちます。繭そのものは非常に固く、この状態でちょっとつついたくらいでは全く壊れません。
ヒロヘリアオイラガなど、茶色一色の繭を作る種類もいます。
ヒロヘリアオイラガ
【2017-10-11追記】近ごろ関東でも良く見る外来種です。オレンジ色のツノがポイント。
元は南方の虫です。日本には九州だけだったのが次第に生育地を広げているとのこと。国立環境研究所の侵入生物にも指定されています。
イラガの別名(方言)いろいろ
地方ごとにたくさんの別名を持つことが知られています。
デンキムシ
刺されると、まさに感電したかと思うほどの痛みです。
ハチクマ
漢字だと「蜂熊」。毒針からの連想でしょう。
オコゼ
同様にとげとげした姿で毒を持つオコゼ(魚)になぞらえて。
キントキ
小さくても力持ちな金太郎ってことでしょうか。金太郎の本名を坂田金時と言いますね。
ちなみに、彼の息子「坂田金平」は髪が逆立つほどの剛毛だったと伝えられていて「きんぴらごぼう」の由来にもなってます。つんつん頭という意味では「キンピラ」でも良かったかも。
オキクサン
四谷怪談より、番長皿屋敷のお菊さんでしょうか。顔を刺されたら腫れ上がってそっくりさんに大変身ですね…。:;(∩´﹏`∩);:
シバムシ
「芝のような鮮やかな若葉色だから」という記述を何カ所かで見ましたが、芝生って戦後の文化ですから「柴」じゃないですかね。「おじいさんは山へ柴刈りに」の「柴」。焚き付けに使うような小枝のことです。よく葉っぱの裏に隠れてますし。
イラガの別名集めてる方のページを見たら、バリエーションの多さに驚きました。一度刺されたら忘れない強烈なキャラクターですし、土地土地に根付いてるんでしょう。
ところで、正面から見ると島本和彦作品のデフォルメ顔に似てる。
イラガの繭は炒ると美味しいらしい
この毒毛虫、なんと食べられるそうです。昆虫食に詳しい蟲喰ロトワさんに教えて頂きました。
@02320_ochi イラガは(ヒロヘリアオイラガ以外)能動的に注射する針しか持っていないので、越冬の間は刺さないんです。ピスタチオのように殻ごと炒ってお食べください。もし食べない場合も安全ないまのうちに駆除されると良いかと思います!
— 蟲喰ロトワ(むしくろとわ) (@Mushi_Kurotowa) 2014, 4月 23
ピ…ピスタチオかー。(((( ;゚Д゚)))
毒持ちの虫は「死んでても触ると痛い虫」と「動いてるときしか刺さない虫」に分かれますが、イラガは後者にあたります。
つまり、越冬中で繭の中に入ってるときのイラガは食べられるのだそうです。やられる前にやれ…!ってやつですね。確かに食べてしまえば今後の被害が減るかも知れません。
また、サナギ中でも刺すというヒロヘリアオイラガについて、蟲喰ロトワさんのブログでは『「明らかに危険」と蛍光色で教えてくれるケムシ』と紹介されています。
味見の困難な虫:ヒロヘリアオイラガ – 蟲ソムリエへの道
でも自然界において蛍光色って意外と目立たないというかむしろ保護色くらいの勢いですからね。スタンガン押しつけられたら絶対こんな感じ!ってくらい痛いのでお互い気をつけましょう…。(´・ω・`)
なお、イラガに刺されると一週間くらい腫れ上がるんですけど今回は少し赤くなっただけで済みました。人類の叡智万歳!
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【 更新履歴等 】
【 2017-10-11 】食草情報とヒロヘリアオイラガの写真を追加しました。あとSNSでの虫テロ対策としてアイキャッチを幼虫から繭にしました。
【 2015-07-12 】初稿時に参考にしたイラガの別名を調べたページが消えてしまったので、Googleマップに差し替えました。(http://exasuka.blog.ocn.ne.jp/staff_room/2009/05/post_fd03.html アナタの地方では、イラガの幼虫のこと、何と呼んでますか? – エクステリア明日香:スタッフルーム)
旧題:猛毒イラガの痛みから逃れる方法3つ!長袖・毒出し・炒って食う
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