逆上がりを自宅でこっそり練習したい子に贈る3つのコツ

逆上がりの練習を誰にも見られたくない!一人でこっそり上達したい!…と言う人に送るトレーニングメニューです。どうしても出来ないときの心構えも書きました。

逆上がりを自宅でこっそり練習したい子に贈る3つのコツ

Twitterに簡単な逆上がりのコツを書いたら「子供のころに知りたかったなー」という反響を頂きました。

「でも、逆上がりの練習方法なんてネットにゴロゴロ転がってるでしょ?」と思って検索したら、誰かに手伝って貰う練習メニューばかりなんですね。「逆上がりが出来ないママでも正しく教えるには」とか「友達に手伝ってもらって練習しよう」みたいな。

う~ん、逆上がり出来なくて困ってる子が積極的に人を頼ろうとするでしょうか…。しかも逆上がりできない親に付きっきりで見守られるの辛いよね…。(´・ω・`)

そもそも人目につく公園で練習すること自体、運動苦手な子にとって抵抗が大きい気がしました。

逆上がりに必要な動きの多くは鉄棒を使わなくても鍛えられます。体作りさえできてれば実際に鉄棒を使って練習する時間は最低限で済むので、自宅でこっそりトレーニングしてしまいましょう!(๑•̀ㅂ•́)و

逆上がりで失敗する要因

逆上がりで失敗してしまう原因について、まずは問題点を整理します。

  • 鉄棒運動そのものが怖い
  • 腕の力が弱い
  • 蹴りあげる向きがおかしい

鉄棒運動そのものが怖い

鉄棒運動が出来ないから嫌い…というよりも鉄棒そのものが苦手なパターン。盲点かも知れませんが、割と見かけます。

過去に落下で怪我をした経験がある、頭を下にする感覚が怖い、などなど。

恐怖心から鉄棒を握りしめすぎる。体の上下が反転しても手を返せないので結局回り切れずに戻っちゃう。

「大丈夫、ママがちゃんと支えてるから!」みたいなお母さんを見たことがありますが、20Kgの人間が落下する衝撃って結構ありますよ。自分の力さえ信じてない子がそんな簡単に体を他人に預けるでしょうか。

こういう子は早々に鉄棒から引っぺがして別の練習から入ったほうがいいです。

腕の力が弱い

逆上がりに必要なのは、足より腕の力です。

体全体をぐっと鉄棒に引き寄せるだけの腕力があれば、ほとんど助走はいりません。ただ助走ゼロはさすがに体操選手並みの腕力がないと無理なので、普通の人は蹴る力も使います。

腕がメイン、足がサブ。

そして助走ゼロで軽やか舞う内村航平選手の試技をとくと見よ。

蹴りあげる向きがおかしい

個人的に「逆上がり出来ないマン製造装置」だと思ってるのが逆上がりの練習に使う補助板。

逆上がり補助板

あの補助板は三角飛びの壁として使う分には問題ないのですが、そんな動きが出来る人はそもそも普通に逆上がり可能です。

そして逆上がりできない人が使うと、どうしても補助板を駆け上がろうとしてしまいがちです。補助的な役割に過ぎないはずの足に頼りすぎては本末転倒というもの。

指定の使い方が出来る人には不要だし、必要とする人には逆効果になると言う恐ろしい代物ですね。

逆上がり補助板の問題点

逆上がりの練習方法

失敗しがちな理由を確認したところで、具体的な対策に移りましょう。

1:後ろでんぐり返しの練習

運動が苦手な人の多くは、体が回転する浮遊感覚そのものに慣れてません。

まずマットや布団の上で後ろにでんぐり返し(後転・後ろ回り)する練習をしてみてください。落下の心配なく安全にめまいの感覚を体験できます。

学校の理科で習った「力のモーメント」により、体を小さく丸めててた方が回転スピードが稼げます。また、どの辺に力を入れるとスムーズに回れるかを意識しておくと再現しやすいです。

2:体操すわりでゆらゆらする

膝を抱えてゆらゆらする

そもそも後ろ回りができない場合は、腹筋と背筋の動きが連動してません。仰向けに寝たところから膝を抱えて、体育座りのような姿勢でユラユラしてみてください。

テレビ見ながらでも構わないので、後ろ回りできるようになるまで続けます。

おなかひっこめる効果もあるので、家族みんなでフィットネス代わりにどうぞ。←怪しい

3:ひじを曲げて鉄棒にぶら下がる

後ろ回りの練習と並行して、腕の力をチェックします。ひじを曲げて懸垂するように鉄棒にぶら下がってみてください。

自宅でできる練習と書いておきながら外での作業になりますが、逆上がりを練習するのに比べたら恥ずかしくないと思うのでサッと試しちゃいましょう。

5秒くらい耐えられるようなら全く問題ありません。このとき、ワキとヒジを締めると力が逃げません。

腕力が足りないのであれば腕立て伏せを…と言いたいところですが、発育途上の子供にとって腕立て伏せはかなり負荷が高いです。どうしても基礎体力を底上げしたい場合は、壁に手をついて腕立てっぽいことをするとあまり痛めずに済みます。

動画を参考にするときの注意点

イメージトレーニングとしてYouTube動画などを参考にするときの注意点を少々。

お手本として体操選手の逆上がりを見るのはいいんですが、それと並行して同じくらいの年齢(または似た体格)の人による逆上がりも参考にしてください。

体操選手による試技は非常に美しいのですが、普通の人とは身体能力が違いすぎて参考にならないことも多いです。特に体操選手は軽々と技を成功させるのも見せ場のうちなので、運動経験が浅い人には「いつどこに力を入れてるのか」さえ見分けがつかなかったりします。

それに身長が違うと腕の形や回転の軌跡も変わります。

神レベルの技を理想としつつ、身近な目標を設定するのがイメージトレーニングのコツです。

実際に鉄棒で逆上がりをする

後ろ回りと鉄棒ぶら下がりが出来れば素材に不足はないでしょう。実際に鉄棒を使ってトライします。

鉄棒の高さが選べるときは、みぞおちから胸くらいの高さのものを。腕の力や握り方の癖で多少の個人差があると思うので、腕のひきつけやすさを優先すると良いです。

そしていつもより一歩前に出ましょう。

逆上がり苦手な人は、助走をつけようとして体を引き気味にしてしまいがちです。鉄棒から体が離れていては今までの練習が水の泡。鉄棒をつかむときは、必ずヒジを曲げていられる距離に立ちましょう。

あとは今までの練習を振り返り、上に向かって跳ぶことをイメージして、腕を引きながら小さく回ればOKです。

まとめ

  • ヒジを曲げて鉄棒を持つ
  • 腕を引くことを意識する
  • 上に向かって跳ぶ

最後に裏技をご紹介。ヒジを固定する感覚をつかむために逆上がり補助ベルトというものがあります。

逆上がり補助ベルト

鉄棒から体を離さないための補助具です。今回紹介した練習メニューに組み込んで使うことが可能です。スポーツタオルなどでも代用できますが、落下防止のために大人の補助が必要なので、ここでは参考程度としておきす。

また、この文章を子供向け文体にすることも考えたんですけど、逆上がりが対象となる学年がよく判らなかったので大人向けに書きました。練習する気はあるけど練習するところは見られたくない…みたいな子がいたら適切に翻訳してあげて下さい。

どうしても出来ないときは

特別な事情がなければここまでの練習で出来るようになると思うのですが、体格上の理由などでどうしても出来ないときの心構えも書いておきます。

一般に鉄棒運動は体が小さい人のほうが有利です。特に逆上がりは腕の力が重要なので、体重が増えるにつれ支えきれなくなりがちです。子供のころに逆上がり出来ても大人になるにつれ出来なくなる人が増えるのはそのため。

十分な努力をしたにもかかわらず出来ない人がいても仕方ないことだと思うのですが、本人なりの進展を一切認めずグズグズ文句を言うスポ根野郎というのは残念ながら存在します。不幸にもそのような輩に遭遇したら、右から左に聞き流しましょう。具体的な提案をしない奴に人の悪口を言う資格はありません。

運動というのは自分の体を使った人体実験です。努力したところで一流プレイヤーになれる確率はほぼゼロですが、現状を分析して足りないものを補えば確実に上達します。

バカのひとつ覚えのような根性論を振りかざす人を見ても「高校物理からやり直して来いよ」って感想しかないので、ニュートン力学以前の古い考えの人が何か騒いでると思ってれば良いのではないでしょうか。

また、医学的な理由で激しいトレーニングが難しい時は早めにドクターストップの診断書を貰っておくことをお勧めします。

繰り返しますがスポーツは科学です。前時代的な暴力に屈して心や体を壊す必要はどこにもありません。

それではよい逆上がりライフを。(´ω`*)