もしや地球外生命体?サハラ砂漠から極小の細菌が発見される!

サハラ砂漠から画期的な細菌が発見されました。これまで「生命体として構造上ありえない」とされているサイズで、生命の起源に迫るかもと期待されます。

もしや地球外生命体?サハラ砂漠から極小の細菌が発見される!

広島大の長沼毅 准教授らの研究により、サハラ砂漠から未知の細菌「Oligoflexus tunisiensis オリゴフレキサス・チュニジエンシス」が発見されました。

このニュースのポイントと思われる点は大きく2つ。

  • 系統学的に全く新しい分類(綱:class)に属すること
  • 0.2 マイクロメートル径フィルタの濾液から見つかったこと

え、何それすごいんだけど。(⊙Д⊙)

綱ってなに?

よく「新種が見つかった!」などとニュースになりますが、「綱」というグループはもっと大きな分類にあたります。例えばヒトとシイタケを上から辿っていくとこんな感じ。

分類 実際の分類例
界 kingdom 動物界 / 菌界
門 phylum 脊索動物門 / 担子菌門
綱 class 哺乳綱 / 真正担子菌綱 arrowleft ココ
目 order 霊長目 / ハラタケ目
科 family ヒト科 / キシメジ科
属 genus ヒト属 / シイタケ属
種 species ヒト / シイタケ

もっと細かく分けたり違う分け方をすることもあります

この「綱」を新設すると言うことは、哺乳類・昆虫・双子葉植物、そういうレベルで1グループ現れたことになりますね。何それすごい。

0.2μmフィルタの濾液から発見されたと言うこと

細菌だから小さいのは当然なんですが、驚くのは0.2 マイクロメートルという、その数字。

生命を形づくる構造物の分子サイズはそれぞれ決まっているので、生命維持に必要な最低限を揃えれば必然的に最小サイズが決まると考えられます。そのサイズはこれまで0.2 マイクロメートル(μm)とされていました。つまり、それ以下の生物は地球上に存在し得ないと見られていた。

しかし今回その0.2μmフィルタで『濾し取られた液』から発見されました。

別の表現をすると『完全除菌用HEPAフィルタをもすり抜ける新たな生命体が確認された』と言えるかも。:;(∩´﹏`∩);:

GEANEE 【PM2.5をはじめとする0.3μmの微粒子まで99.97%以上除去するHEPAフィルターを採用】 空気清浄機 AP-01 【適用面積目安:約20畳】

世界最小生物?

私の認識が間違ってなければ、本研究チームの長沼毅先生や 極限環境細菌をご専門とされるJAMSTECの高井研先生らは この0.2μmというサイズをとても強く支持していました。

「僕らのとこにも新種の細菌じゃないかって鑑定依頼が来るけど、どいつもこいつも小さすぎて話にならんわボケ!」など仰ってたように記憶しております。

なーんか1日経っても大した報道がないようだけど、実は生命の起源に迫る重大発見なんじゃないの?きっと皆さんの元にはこれまで以上に鑑定依頼が舞い込むことでしょう。(-人-){お疲れ様です。

培地が良いと育ちが悪いらしい

個人的にキャッチーだったのがココ!

一般的な微生物学実験で使用されるような富栄養の培地(微生物の培養に必要な栄養成分を含むもの)では生育が著しく悪く、貧栄養の培地でのみ生育が確認されました。さらに、その生育速度は遅く、普通の微生物に比べ長い培養時間(約 1 週間)を要します。

サハラ砂漠と言えば世界屈指の極限環境ですが、良い培地だと生育が悪くなるって何。貧乏学生を高級店に連れて行くとお腹壊す的なアレなの?

それとも他の競合生物が資源を食い尽くした頃に満を持して出てくるの?

rRNAの配列情報はコンクリートと類似

あとこれ。

(rRNAの)配列情報の由来はヒトの皮膚、植物、土壌、海洋、氷河の氷、ミミズの腸内およびコンクリートと多岐に渡っていました

リボソームRNAとは、伝令の助さん・運び屋の弥七と共にタンパク質合成に関わる水戸の隠密です。その秘密文書が人の皮膚やミミズの腸内などと広く類似性が認められたのだとか。

これは、この新綱の分類群に属する微生物が様々な環境に幅広く分布していることを示唆すると考えられます。

「ぽっと出の突然変異種」ではないってことですよね!(・Д・)

プレスリリース読みながら「コンクリートのRNA」で固まりましたが、よく考えたら私の卒論マテリアルは生物由来の堆積岩でした。海より深く反省して稿を閉じたいと思います。続報に期待!

参考:【PDF】サハラ砂漠から新「綱」微生物の発見 (プレスリリース)
参考:IJSEM誌 掲載論文

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立花 隆 /佐藤 勝彦 / 長沼 毅 / 皆川 純/ 菅 裕明 / 山岸 明彦 / 重信 秀治 / 小林 憲正 / 大石 雅寿 / 佐々木 晶 / 田村 元秀 / 自然科学研究機構 (編集)

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極限環境生物として最強との呼び声も高いクマムシも、普通の環境に連れてくると結構弱いみたいです。