英国で地球最強のヒストリックカーレースを観てきた話/その1
2017年 09月 16日
いやぁ、本当に貴族というのは存在して、貴族の遊びというのもまた存在するのですね。
イギリス南部はチチェスター郊外にあるグッドウッド・サーキットで開催されたグッドウッド・リバイバル・ミーティング2017を見学してきました。
グッドウッド・サーキットというのはこの辺の領主であるところのリッチモンド公爵家の持ち物で、
グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードとグッドウッド・リバイバル・ミーティングが大きなイベントとして知られています。
マーチ卿に招待された人だけが参加することのできるカーレースで、エントリー可能なのは1966年までに製造されたクルマという贅沢さ。
レジェンドなクルマがレジェンドなドライバーによってガチンコレースを繰り広げるこのお祭りには、3日間で数十万人の観客が訪れます。
朝から晩までありとあらゆるクラシックカー(多分300台くらい来てる)が延々とレースを行い、
ガソリンの匂いとエキゾーストサウンドで充満したサーキットには、50〜60年代を意識した装いの紳士淑女が歓声を上げます。
▲どのクルマがなんなのかはいちいち説明しませんが、とにかくめちゃくちゃに古い車がメチャクチャなスピードで走ると思ってください。
▲キンキンのフォーミュラマシンが爆音を奏でながら駆け抜けます。なんと華奢だこと!!
▲量産車ならまだしも、フォーミュラマシンがサイドバイサイド、テイルトゥノーズで真剣勝負をするというのは恐ろしいことです。
▲レースは年代や形式ごとにカテゴライズされていて、殆どの場合予選/本戦が別日に設けられています。1レースは20分程度ですが、サーキットが短いので迫力満点!
▲普通のクルマというのは何故か左右非対称な乗り物なんですよね。とにかく知らないクルマでも美しいし、カッコいい。
▲バリー・シーン・メモリアル・トロフィーは唯一の二輪部門。往年のライダーが往年のマシンでかっとびます。ガチなので、コケたりします。正気か?
▲レースの合間も貴重なマシンがドロドロと音を立てて走っていくので休む暇がありません。ひたすらコースの回りをうろうろうろうろ……。
▲とにかく異常な量のGT40が出てくるので頭が混乱してきます
▲伯爵に呼ばれちゃうくらいなので、運転しているのは大概おじいちゃんだと思っていいです。
▲生で観て初めて理解したんですが、GT40マジでぺったんこ。カウンタックとタメ張るくらいぺったんこです。
▲奥まで全部GT40ですからね……どうかしてますよ……。
▲ペースカーやサポートカーもクラシック限定。これ、ウェザリングしてあるんじゃなくてマジの塗装ハゲ&錆でした。
▲マシンやドライバーの名前がわからなくても、パンフレットに全部書いてあるので親切。
▲ワイルド・スピードを観ても、「古いのに速くて強いクルマ」というのの意味がわからなかったんですが、ガチガチにチューンされた古い車は本当に暴力です。
▲コブラの何がええんじゃ、と思っていた自分を恥じたい。コブラ最高。
▲クーペタイプのクルマは例外なく超ロングノーズ・ショートデッキで、安全とか空力とか知りません感がすごい。とにかくカッコが優先された時代や……。
▲毎朝開催されるFIAT500のパレード。100台以上がクラクションをパッパカ鳴らしながら楽しそうに走ります。これだけでもクソ感動する。
▲お金持ち&良家はお金持ち&良家と結婚するので基本的に美男美女が生成されやすいっぽいです。とにかく美男美女がうじゃうじゃいて人生やり直したい。
▲上流階級とは何か!!!!!と叫びながら撮影していました。
▲グリッドガールたちもこのとおりだぜ……何もかもがタイムスリップしてるんですよ……。
▲個人的に最高優勝をあげたいクルマ、1930年のベントレーです。これがもうべらぼうに速いし滅法うるさい。速攻でプラモデル買いました。
▲こういう物体が目測で150km/hくらいでぶっ飛んでいくんですけど、壊れないんでしょうか。
▲工具だって当時モノ。実用性とクラシカルさの狭間で、みんなガチなんです。
▲昔のレーサー、狭すぎて車体の外にシフトレバーとかサイドブレーキ飛び出しがち。腕がマシンの外に出てるの当たり前ですごい。
▲なかには女性ドライバーもいらっしゃいます。
▲レース後、追いかけて撮っちゃいますよね……。
▲たわむシャーシ!歪むスポークホイール!ねじれるストラット!浮くタイヤ!!! しかしこのクルマが本イベントでも最強クラスのスピードを誇る悪魔のマシン。
▲うおー300SLじゃんかっこいー!と写真をバシャバシャ撮って、レースを楽しむじゃないですか。
▲レース終わって出てきたドライバーがヨッヘン・マスでぶったまげたりします。
さっきからちょいちょいディテール写真やピットの風景が出てきてどうなってんだこれ、とお思いかもしれませんが、
このイベント、パドックもピットみんなが見られるようになっていて(ピットの中に入っての撮影にはパーミッションが必要ですが……)、とにかくオープン。
エントラントがドライバーとMTGしているのも、メカニックがエンジンをばらして唸っているのも、丸見え。
しかしお客さんは完全に紳士淑女なので移動中のマシンの邪魔をしたり触ったり壊したりはしません。マナーがすごいです。
▲お客さんの通るところはレースカーが通るところでもあるので、こういう写真が撮り放題……。
▲機嫌が良ければドライバーやメカニックと談笑することもできます。この人ポール・ウォーカーに激似でマジビビった。
▲お客さんがドレスコード遵守しまくりなせいで、彩度を下げると時代感覚がバグってきます。
▲なにせお客さんが乗ってくるクルマもこんなんばっかりで、駐車場観ているだけでも1日終わるんだとか。そんな暇ないけど。
▲'50年代のF1マシンを駆るのは当時のパイロット……芳醇すぎ……。
▲これも。
▲こんなにカッコイイおじいちゃん見たことないです。
▲見た目もスピードもぶっちぎり、3気筒MVアグスタ。
▲アナログなエンジンとアナログな作業。延々見てられます。
▲これだけ手塩にかけて大事に大事に保存され、チューンされ、準備もしっかりしてきたであろうマシンたちが乱舞するだけでもすごいのですが……
▲ドライバーはガチなのでときにコースオフし……
▲ときにガチでスピンします。パーツ吹き飛んでるクルマとか白煙上げるクルマも多数。
▲陽が降り注いだかと思えば
▲突如として豪雨が降り……(1時間おきに天気がバンバン変わるの、イギリスっぽい。)
▲互いの健闘を称え合い……
▲陽が傾いてもレースは続き……
▲出店や駐車場は泥沼と化します。何もかもがビチャビチャのどろどろですが誰も嫌な顔しません。イギリス人すごい。紳士淑女、すごい。
……ということで、グッドウッド・リバイバル・ミーティングの様子でした。
と言いたいところなのですが、写真がこれだけで終わるわけもないし、そもそもこれがどういうイベントなのか感想が書けていません。
すなわち、このイベントの全容を語るにはブログエントリがこの密度であと3回くらい必要なのです……。
とにかくヤバイもんを見た、というのが正直なところでありまして、皆様、辛抱強く次回更新をお待ち下さい。
(ちなみにより詳しい内容やアカデミックな話とか資料価値のある話はいずれ紙媒体でお届けされるはずですので、こちらもお待ち下さい。)
続きは以下のリンクより!
by kala-pattar
| 2017-09-16 21:23
| 行ってきた